よりよい放送のために

放送と青少年/「放送と青少年問題」対応策の進捗状況

「放送と青少年問題」対応策の進捗状況(2001.8.21)

 

1.青少年向けの放送番組の充実

 

(1) 少なくとも週3時間放送の「青少年に見てもらいたい番組」

a) 民放連加盟の全テレビ局が、それぞれ春・秋の改編期ごとに決定し、発表している。(「青少年に見てもらいたい番組」)

b) このほか、「日テレ式フォーラム」の開催と放送(日本テレビ)、10代の本音主張ドキュメント「大人よ黙って聞け」の放送(TBS)、若い視聴者と番組制作者との直接対話イベントと放送(フジテレビ)、「子ども番審」の開催と放送(読売テレビ)など、青少年や保護者との対話及び番組化が恒例化している。

 

(2) NHK・民放連共同企画番組

青少年とテレビのかかわりを考える特集番組として、年2回(NHKと民放が1本ずつ)制作、本放送は制作局で再放送は相手局で行う。

◇ 「テレビは子供とどう向き合っているか」(NHK制作) -海外の子ども番組と放送局の制作姿勢を紹介、子供番組の在り方を探った教養番組。 <99年12月 NHK教育テレビで放送、2001年1月 日本テレビ系列で再放送>

◇ 「テレビのふしぎ大図鑑」(日本テレビ制作) -中学生5人組が番組制作の現場を訪ね、疑問を解き明かしながらテレビに対する理解を深めるメディア・リテラシー番組。 <2000年6月 日本テレビ系列で放送、2000年7月 NHK教育テレビで再放送>

◇ 「私もテレビに出てみたい~中学生日記オーディションから~」 -毎年多くの中学生が出演を望む「中学生日記」。子どもたちにとって、テレビに出ることはどんな意味を持つのかを探る番組。(NHK制作 仮題) <2001年2月 NHK教育テレビで放送予定、2001年3月 TBS系列で再放送予定>

◇「全国初!テレビ観察子どもプロジェクト 21世紀のテレビはこうなってほしい!!」

-高知市立旭東小学校の「テレビ観察」授業を取り上げ、子どもたちがどのように情報を読み解く能力(メディア・リテラシー)を身につけていくかを伝える、教育の最前線を紹介する番組。(TBS制作) <2001年4月から5月 TBS系列で放送、2001年5月26日 NHK教育テレビで再放送>

◇2001年秋から2002年春にかけては、NHKとフジテレビ系列で実施する。

 

2.メディア・リテラシーの向上

(1) 民放連制作・著作の「てれびキッズ探偵団~テレビとの上手なつきあい方~」を99年11~12月に全加盟テレビ局で放送するともに、収録ビデオを各都道府県の教育委員会やPTA協議会、研究者に配付した。さらに、2000年9~10月に全国で再放送も行った。

 

(2) メディア・リテラシーの知識普及と関係者の交流促進を図るため、2001年度から、「民放連メディア・リテラシー・プロジェクト」を実施する。2001年度は、長野、愛知の2地区でパイロット研究を行い、2002年3月に開催予定のシンポジウムにおいて、成果とノウハウを発表する予定。

 

3.青少年と放送に関する調査等の推進

 99年度末に、「テレビと児童・青少年に関する調査」報告書をまとめ、公開シンポジウムを開催。2001年度以降は、「放送と青少年に関する委員会」で中長期的な調査を実施していただく。<下記4の(2)のC項参照>

 

4.第三者機関等の活用

(1) 「放送と青少年に関する委員会」の発足(NHK・民放連)

a)  NHKと民放連は、2000年4月1日、視聴者から寄せられる青少年に対する放送の在り方や放送番組への意見を受け付ける第三者機関、「放送と青少年に関する委員会」〔略称:青少年委員会〕を放送番組向上協議会に設置した。

b)  委員会は、寄せられた意見を各放送局へ伝達するとともに、その意見の審議を行い、その審議結果と放送事業者の意見への対応等を公表する。また、青少年が視聴する番組の向上に向けた意見交換や調査研究も実施する。こうした活動によって、委員会は、視聴者と放送事業者を結ぶ回路としての役割を果たす。

c)  委員は、放送事業者を除く有識者7名で構成。委員長:原寿雄(ジャーナリスト)、副委員長:尾木直樹(教育評論家)、委員:岩男寿美子(武蔵工業大学教授)、川浦康至(横浜市立大学教授)、後藤弘子(富士短期大学助教授)、無藤隆(お茶の水女子大学教授)、山谷えり子(生活ジャーナリスト)。なお山谷えり子氏は6月5日に辞任し、後任には7月5日付で見城美枝子氏(エッセイスト)が就任した。

 

(2) 「放送と青少年に関する委員会」の活動報告 (放送番組向上協議会)

a) 視聴者からの意見の受付
 青少年委員会の発足と同時に、視聴者からの意見を郵便、FAX、電話によって受け付けた。6月からは、Eメールによる受付も開始した。99年3月末日までの間に寄せられた意見は、電話777件、FAX196件、郵送134件、Eメール1,165件の総計2,272件にのぼる。

b) 青少年委員会の審議と見解
 委員会は原則として毎月1回会合を開き、視聴者から寄せられた意見を分析するとともに、テーマを設けて放送番組の在り方などを討議することにしている。委員会は、視聴者からの苦情と批判の中にバラエティー系番組の占める比率の大きいことに注目し、バラエティー系番組の在り方を議論してきた。まず青少年とのかかわりの深い「暴力表現」や「性描写」の問題があると思われる3番組を選んで視聴し、そのうち2番組を取り上げ、具体的に問題点を検討しながら、バラエティー系番組の在り方について6回の会合で討議を重ねた。その過程で2番組の制作責任者に委員会への出席を要請し、質疑応答も行った。~  この一連のプロセスを経て、『バラエティー系番組に対する見解』をまとめ、2000年11月29日に全国の放送局に通知するとともに、記者会見で公表した。記者会見の模様は在京テレビ7局をはじめラジオ・新聞のニュース枠で報道され、大きな反響を呼んだ。見解発表後、12月12日までに寄せられた視聴者からの反響は568件あり、そのうちEメールが548件で、10代から20代の男性からの意見が大半を占めていた。
 なお、毎月の委員会の議事概要及び前記委員会見解は、『放送番組向上協議会月報』と『放送番組向上協議会ホームページ』で公表している。

c) 青少年へのテレビメディアの影響調査
 放送と青少年に関する調査研究については、4年間かけて小学5年生の子どもたち(1,500人)を中学2年生になるまでフォローし、テレビが子供に与える影響を子供の発達の中で調べる。無藤委員、川浦委員が中心になって「青少年委員会・調査研究プロジェクト」を発足させ、2001年2月に初年度の本調査を実施。7月に「第一次基礎調査 概要」を発表した。

d) 公開シンポジウムの開催
 2001年2月28日、千代田放送会館において公開シンポジウム『番組制作者に何が問われているか~青少年委員会「バラエティー系番組に対する見解」をうけて~』を開催。原委員長から基調報告があった後、パネリストに尾木副委員長、石川利勝氏(PTAマスメディア調査委員会委員長)、西条昇氏(お笑い評論家)、遠藤龍之介氏(フジテレビ編成局編成部企画担当部長)を迎え、「番組制作に望むこと」と題してパネルディスカッションを行った。

e) フォーラムの開催
 2001年7月24日、abc会館ホールにてフォーラム『青少年のための新テレビ論』を開催。無藤委員による「青少年へのテレビメディアの影響調査」報告のほか、中学生、保護者、教師、番組制作者、委員による公開討論「テレビはこのままでいいのか 中学生とともに考える」を実施した。番組の模様は8月17日、NHK『金曜フォーラム』にて放送予定。

f) 周知・PR活動
 ポスター1,000枚、リーフレット6万部を作成して全国の放送局や協力団体等を通じて配布。また、PR告知スポット〔テレビ:15秒・30秒、ラジオ:20秒・40秒〕を作成して、全国の放送局から放送している。

 

(3) 民放連の「放送と青少年に関する委員会」への対応

a) テレビ5系列とも青少年委員会の見解を当日のニュース番組で報道した。
 また、青少年委員会が見解のなかで、具体的に番組名・コーナー名を挙げて意見を述べた2局については、フジテレビが「見解を真摯に受け止め、今後の番組制作にあたる。指摘のコーナーは、局内で議論を重ね、改善策を見いだすまで放送は控える」旨発表。テレビ朝日は「見解を重く受け止める。指摘を受けた部分を含め局内で議論を重ねており、番組内容の改善を予定している」旨発表したのに続き、同コーナーを年内で中止することを決定した。

b) 各局とも今後、スポットの放送や番組内で、青少年委員会のPRにより一層協力する。同時に、青少年委員会から意見照会があった場合、その照会内容と自局の回答を自局ホームページに掲載するなどの周知活動にも力を入れる方針。

c) 民放連としても見解の趣旨を真摯に受け止め、放送基準の番組制作現場への周知徹底を図るため、現在は年1回開催しているATPと共催の「放送倫理セミナー」を来年度から年2~3回開催する。

 

5.放送時間帯の配慮

 「民放連放送基準」第3章「児童および青少年への配慮」に、下記の条文及び解説文を99年に新設した。これに基づく自主規制を各局が実施している。

 

<第18条> 放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分、配慮する。

(解説)  放送時間帯によって児童・青少年の視聴の程度や態様が異なり、放送が与える影響にも差がある。このことを念頭において、放送時間帯や番組内容に配慮しなければならない。特に暴力・性などに関する内容については放送時間帯に細心の注意が求められる。
 テレビでは、午後5時~9時に放送する番組について、とりわけ児童の視聴に十分、配慮する。

 

6.番組に関する情報提供の充実

a) 99年6月、民放連放送基準審議会として以下の取組を行うことを申し合わせた。
「欧米のレイティングのような表示は、不正確である上、かえって青少年の好奇心をあおる恐れもあるため、実施しない。ただし、暴力・性などの表現について児童・青少年への配慮が不可欠と各放送事業者が判断した場合、次の方法などによる「事前表示」を行う。

    • テロップやスーパーインポーズによる文字表示の方法。
    • 番組宣伝枠を使用する方法。
    • 映画番組の事前解説枠で説明する方法。
    • 活字媒体、インターネット等を通じて番組の情報を提供する方法。」

b) 2001年7月、上記取り組みの一層の充実を図るため、放送基準審議会は以下のとおり「『番組情報の事前表示』に関する考え方について」を策定した。10月から各局で実施する。
民放テレビ各社では、児童・青少年の番組視聴に対する配慮として、「放送時間帯の配慮」を中心に自主的対応を進めてきている。これは、各時間帯に応じて段階的に児童・青少年の視聴に十分配慮するとともに、午後5時~9時に放送する番組については、とりわけ児童の視聴に十分配慮するというものである。
 この「放送時間帯の配慮」についての方針を踏まえたうえで、「番組情報の事前表示」についても一層の充実を図るため、その実施にあたっては下記の考え方を当面の方針としたい。
 なお、「番組情報の事前表示」とは、児童・青少年の番組視聴について参考としてもらうために、保護者に対して番組情報をあらかじめ提供することを指す。

1.放送時間帯に応じた児童・青少年への配慮を優先させ、その時間帯からみて番組情報を事前表示しなければならない番組は、極力編成しないことを原則とする。

2.ただしケースは多くないとしても、午後9時以降の劇場用映画やドラマなどにおいて、保護者による児童・青少年への配慮が必要であると各放送事業者が判断した場合、番組冒頭での事前表示や他の有効な方法による事前表示を行うこととする。

3.こうした番組の再放送にあたっても、事前表示を行うこととする。

4.午後11時以降の番組については、主として保護者が児童・青少年の視聴について責任を負う時間帯と考え、原則として事前表示は行わないこととする。

 

<各局が独自に実施している番組での事前表示の例>

  • ゴールデンタイムに放送する海外情報番組の番宣スポットで、「この番組には一部刺激の強い内容が含まれております。保護者の配慮をお勧めします」とスーパーインポーズ表示。
  • サスペンスドラマを土日午後帯に再放送するに当たり、番組の冒頭に「保護者の皆様へ この番組については児童および青少年の視聴に配慮が必要と思われる場面があります。ご注意ください」とスーパーインポーズ表示。
以上
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