一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

広瀬会長会見

【日 時】 平成18年5月25日(木) 午後3時30分~4時30分
【場 所】 赤坂プリンスホテル「ロイヤルホール」

1.放送制度をめぐる諸検討について

  • 記者:総務省「通信・放送の在り方に関する懇談会」議論の進捗状況について。
  • 広瀬会長:報告書の骨子案が発表されたが、当初に比べ現実的になり、放送事業者に対する理解が深まってきた。ハード・ソフト一致の見直しや県域免許制度の抜本的見直しがなくなっている。デジタル技術が発達すれば当然、周波数帯の空き枠が出るとか、ハイビジョン放送ではなくスタンダードの放送ならば空き枠が出るので、そこに新規参入を促進するという案も、骨子案では、放送事業者が別のサービスをすることを認めるとなった。このような評価できる点とともに、残った問題もある。一番大きいのは、「地上波デジタル放送をIPマルチキャストで再送信する際には、地域制限を設けるべきではないのではないか」との点である。「再送信」である以上、元の放送サービスが行われている地域に厳に限定すべきである。 また、「法体系をいずれは抜本的に見直す」という点も、その意味するところは分からないが、ハード・ソフト分離のことまで含めた改正であれば、そう簡単に賛成できるものではない。会員社の間にも不安があるので、6月下旬に政府の「骨太の方針」が最終決定するまで、引き続き放送事業者の考え方を理解いただけるよう努めたい。
  • 記者:マスメディア集中排除原則の緩和について。
  • 広瀬会長:経営の選択肢を拡げるという点で賛成だ。問題は緩和の形である。ローカル局の経営は厳しく、デジタル化は大きな負担となるなかで、ローカル局の基本である番組制作や自社取材が難しくなりそうだ、というときに系列局やキー局が支援できるようにしたいということはよく言われる。その際、キー局が(出資制限枠の)20%を超える出資を行い支援するということであれば、別段問題はないだろうが、現在の置局政策のもとで、地域ごとにある程度競争の土台ができているところに、ある特定の局だけがキー局の格別の支援を受けることは、現在の秩序を破ることになる。あるいは、例えば新聞とテレビの間の簡単な規制緩和というのは問題を残すものと思う。
  • 記者:地上デジタル放送のIPマルチキャスト再送信について。
  • 広瀬会長:「IPマルチキャスト」には大きくは3種類ある。1つは、ネットワークの系列局がない県では放送のデバイド(格差)の問題が出てくるので、そうした地区ではキー局の番組を(IPマルチキャスト経由で)見られるようにする、というものである。第2は、(骨子案にあったが)ローカル局が作った番組を全国で見られるようにするため、IPマルチキャストを使って全国で流す、というもの。第3は、地上波デジタル放送の普及対策のところで出てきたことであるが、放送局の電波が届かない地域では衛星やIPマルチキャストを補完的に利用する、というものである。第1の形態は、どの局の番組もどこででも見られるようにすると、政府のこれまでの置局政策を崩しかねないし、番組に関わった権利者の反発を招きかねない。また、各地で独自に活動している有線放送事業者との関係も問題となる。したがってわれわれはとても採れるものではない。第2の形態は、ローカル局の番組を、自社の放送対象地域を越えて流すというのは結構なことだが、これは今でも自由にできる。ローカル局が番組を作るときに必要な権利処理をしたうえで、自由にやれば良いことで、今さら(再送信として)IPマルチキャストの制度を導入すべきということにはならない。
  • 記者:コンテンツの制作・流通の改善について
  • 広瀬会長:放送事業者のコンテンツの外部調達のあり方に関しては、骨子案ではNHKについて記述がある。民放の場合は、その点は進んでいるので、特段の注文は無いのだろうと思う。
  • 記者:NHKの受信料制度の改革(支払の義務化・罰則の導入)について。
  • 広瀬会長:二元体制の維持など、大きな考えについては意見を述べてきたが、個別の議論について現時点で民放連の一致した見解は述べることは難しい。個人的な意見としては、まず(支払いを)義務化して、受信料を支払っている人の不公平感を無くしてゆく必要があると思う。徴収費用が数百億円もかかったりはしなくなるだろうし、受信料の金額そのものも安くなるのではないか。いずれにせよ、不払い問題を早期に解決する必要がある。罰則の導入については、私も、今の段階では視聴者・国民の皆さんの支持は得られないという考えだが、3~5年後にNHKが信頼される状態になるのを待つ余裕があるかどうか。ある時期に、ふんぎりが必要かも知れない。例えば、「実施はデジタル化後、それまでにNHKは信頼回復に努める」とか、「法律を制定するのは今でも、実施は何年か先」ということもありうる。この問題は罰則に代わる方法があれば、まったく問題はない。知恵を出し合う必要がある。
  • 記者:NHKの経営委員会のあり方について。
  • 広瀬会長: 私が当初から言っていたことであるが、番組制作者が国会に出向いて予算・決算の承認を受けるというのは、どうしても影響を受ける虞れがあるので、せめて経営委員会が国会対応をする。それでも影響を受ける可能性はゼロにはならないと思うが、骨子案の内容は、当面の策としては一歩前進であると思う。
  • 記者:国際放送への民放の協力や国費の投入について。
  • 広瀬会長:国の立場と文化を外国に向けて発信することは多くの国で試みられているが、各国とも各国なりの問題を抱えていると言っていいだろう。竹中大臣の懇談会では、事業主体についてもNHK本体に任せる、NHKの子会社に任せる、別会社組織でNHKも民放も参加して行う、といったいろいろな意見があるようだ。個人的な意見としては、中立的な事業主体から民放番組の提供を求められれば、協力するのはやぶさかではない。豊かな日本文化を海外に発信すべきだと思う。ただし、現実問題として、政府色の強いものは海外では見てもらえないし、政府から独立した事業体でないと協力しづらい。政府直轄ではなく、NHKに任せるでもなく、第三者的な組織を新たに作るというスタンスが重要であると思う。そのうえで、黒字経営とはいかないだろうから、国の負担は覚悟せざるを得ない。「金は出すが、中身について口は出さない」位の度量がなければ文化国家とは言えないのではないか。

 

2.地上デジタルの進捗状況について

  • 記者:地上デジタル放送の進捗状況について。
  • 広瀬会長:地上デジタル推進全国会議が各社の中継局のロードマップを公表したが、アナログ放送エリアの95%以上をカバーできる見込みである。残る2%あるいは3%になるかもしれないが、政府、自治体、農協や漁協、通信事業者とも協力して、何とか(デジタル放送を)見られるようにしたい。できれば、2007年度の政府予算にそうしたデジタル化促進、デバイド防止のための予算を組んでいただきたい。他方、デジタル受像機の普及の問題がある。2010年位までにデジタル受像機が相当数普及している必要がある。今後はいろいろな宣伝等を強化していかなければいけないと考えている。
  • 記者:「ワンセグ」の開始について。
  • 広瀬会長:携帯電話でテレビを見ることが予想以上に好まれていて、普及にも足早な感がある。各局・各系列でも新たなサービスの開発に努めているところだ。

 

3.放送倫理をめぐる問題について

  • 記者:アニメ等映像手法をめぐる問題と民放連の対応について。
  • 広瀬会長:民放連では、今年4月にNHKと共同でガイドラインを改訂し、これに関連する放送基準(第61条)の解説文など“基準の運用面”を整備している最中に今回の事態が起こり残念に思っている。民放連では、4月下旬にテレビ各社に対して、ガイドラインの周知徹底を要請したが、今後は資料や会議を通じて、運用上の留意点や日常的なチェックなどについて徹底するとともに、会議を開催して、ガイドラインの詳細な説明と、日常的なチェック体制のあり方について周知することにしている。
  • 記者:消費者金融CMをめぐる問題について。
  • 広瀬会長:消費者金融会社の過剰貸付と、金利等の過払い、悪質な取り立てをめぐる問題については、放送基準審議会などで、重大な関心をもって、情報の収集と、金融庁などによる法体系見直し動向の把握にあたっている。民放連の放送基準審議会見解では、「安易な借り入れを助長する表現の排除」と「児童・青少年への配慮」の観点から自主規制を促している。グレーゾーン金利の撤廃や、貸金業の法制度見直しが進めば、一定の段階でメディアとしての対応策を検討しなければいけないとの認識を持っている。ただし、その対応は放送局個々の判断であり、民放連として統一的な決め事をすることは、公正な取引の観点から、できない選択肢であることを理解いただきたい。

 

4.スポーツ放送について

  • 記者:ワールドカップサッカーの放送について。
  • 広瀬会長:民放がNHKとジャパンコンソーシアム(JC)を組んでワールドカップサッカーの放送を行うのは、前回・日韓大会に続いて2回目である。これまで発表してきたとおり、民放では、6月18日の日本対クロアチア戦、6月9日の開幕戦、7月9日の決勝戦など注目の20試合を地上、BSで放送する。特に、国民の関心が高い日本-クロアチア戦については、テレビ朝日のネットワーク系列社がない地域についても、系列外の局に放送をお願いして、全国くまなく試合中継をご覧いただける、全国フルカバーの放送体制を敷いている。ラジオも、日本戦を中心に、ほぼ全社で放送する計画である。
  • 記者:今シーズンのプロ野球中継について。
  • 広瀬会長:プロ野球そのものの国民的人気は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で再確認できた。長い目で見れば良いコンテンツであることには変わりはない。
    (了)