会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成28年11月18日(金) 午後2時~2時35分

【場 所】 民放連3階会議室

 

テレビ番組の「ネット同時配信」について

◆記者:「総務省がテレビ番組のネット同時配信を2019年にも全面解禁する方針」との一部報道があったが、これをどうお考えか。

◆井上会長:記事には総務省が方針を固めたと書いてあったが、高市総務大臣は、情報通信審議会に諮問し、再来年に答申を得たいとしている。また、民放は現状でも同時配信が可能であり、法律による規制を受けているNHKと混同して記述されているような印象も受けた。

 テレビ放送の同時配信に関する民放連の姿勢は、前向きでも後ろ向きでもない。4K・8K放送、そしてネット配信といった新しい技術の進歩に背を向け、逃げ去るわけにはいかないと考えている。

 しかし、ネット同時配信には、①権利処理、②配信エリアの問題、③インフラの構築とコスト、④サービスを継続するための財源、など多くの課題がある。民放としてマネタイズすることは容易ではないし、実施するための条件が整っていない。また、以前から申しあげているが、民放は、地域免許を基盤として成立している。この点は、総務省に政策立案において忘れないでいただきたい。

 NHKがテレビ放送の常時同時配信を希望するのであれば、まずはNHKが実施計画の詳細を明らかにして、国民的な議論に供するべきと考える。

◆記者:NHKの籾井会長は会見の中で、権利処理の面では民放と協力したいと述べている。NHKと足並みを揃えて交渉する考えはないか。

◆井上会長:将来的にはそのような対応が必要となるかもしれないが、現時点では、そこまでの状況にはなっていない。

◆記者:番組の同時配信では、ラジオで「radiko.jp」という先行事例があり、タイムフリーなどのサービスを拡大させている。放送エリアに準じた聴取エリアの制限などを参考とする考えはあるか。

◆井上会長:ラジオの先行事例はもちろん承知しているが、テレビでは、エリア制限などについて議論するような段階にはなっていない。

◆記者:ネット同時配信はローカル局の経営を圧迫するという議論があるが、これをどうお考えか。

◆井上会長:従前からある議論であるが、在京テレビキー5局で実施している「TVer」のデータを見ても、ネット配信がローカル局の経営を圧迫するほどの影響は今のところ見られないようだ。

◆記者:BBCなど、海外事例を参考に進める考えはないか。

◆木村専務理事:民放連では昨年、民放のメディア価値向上に向けた検討を行い、米英などで調査を実施した。関心を持って調査・研究を行っているところだ。

 

 

4K・8K放送について

◆記者:4K・8K放送についての検討状況をうかがいたい。

◆井上会長:BS実用放送におけるソフト事業者(認定基幹放送事業者)の公募が実施され、NHK、民放キー局系のBS5社などが申請したと聞いている。民放事業として4K実用放送を実施するには、設備投資や制作コストに見合った収益を確保できるビジネスモデルが不可欠である。なにより放送開始までには、4K実用放送を受信できるテレビ受信機が発売され、普及することが必要だ。

◆記者:NHKは8K放送に注力しているが、今回、4K放送にも申請している。4Kの普及のためには助けとなるが、一方で、NHKがチャンネルを持ち過ぎではないか、との批判もある。これをどうお考えか。

◆井上会長:4K放送はNHKが参入しないと普及しないし、普及しないとビジネスにならない。

また、周波数帯域の問題もあって地上波での4K放送の実施が未定であり、ローカル局が実施できるのか不明である。ケーブルテレビが4K対応を進めていけば、影響は大きいだろう。ネット配信よりも、大きな課題だと考えている。

◆記者:4K・8K放送におけるコピー制御方式として、ダビング10を採用するという議論があるが、どのようにお考えか。

◆井上会長:音事協や映連の皆さんとともにNexTV-F(次世代放送推進フォーラム※)に、4K・8K放送コンテンツの違法配信の防止について、コピーネバーも一つの方法として検討してほしいとお願いしたが、現時点までに進展があったとは聞いていない。

※現・A-PAB(放送サービス高度化推進協会)

 

 

視聴データの扱いについて

◆記者:10月から関東地区の視聴率調査方法が変更され、タイムシフト視聴の測定が始まったが、視聴データの扱いについてどのようにお考えか。

◆井上会長:生活パターンの変化、特に女性の社会進出によって視聴習慣が変化しており、録画視聴が増加していることは承知している。これまでどおり、リアルタイム視聴が中心ではあることに変わりはないが、テレビ放送の到達範囲や影響力を広く評価してもらえることは、歓迎したい。

 

 

NHKについて

◆記者:井上会長は民放大会のあいさつで、NHKの巨大化への懸念を示された。例えばNHKが常時ネット同時配信を行うと、具体的に、民放にどのような影響があるとお考えか。

◆井上会長:仮定の話に回答するのは難しい。ネット同時配信に限ったことではないが、例えばローカル局が事業を行おうとした場合、NHK関連会社に受注されてしまうことはあるようだ。節度を持って行ってもらいたい。

◆記者:受信料の値下げについて議論されており、籾井会長は来年度からの実施を考えているようだが、どのようにお考えか。

◆井上会長:NHKの来年度予算編成がこれから行われる段階であり、その全体を見ないと何とも言えない。

 

 

今年1年を振り返って

◆記者:今年最後の定例会見にあたり、1年を振り返った感想をうかがいたい。

◆井上会長:今年も多くの災害が起きた。被災された皆さんにお見舞い申しあげたい。報道機関として、正確な情報を伝える使命や、地域に根差した放送の重要性を再認識した一年であった。また、先日の博多駅前の道路陥没事故の際、一般の方からの投稿動画が有効に活用されたが、今後、このような場面は多くなるだろう。機動性は高まるが、報道機関としては、その情報の真贋を見極め、そのうえで活用する能力が求められる。確証を持って放送できるよう、各局には態勢を整えてほしいと思う。

さらに、英国のEU離脱や米大統領選挙など、報道機関の事前予想が外れたことも、大きな出来事であった。この点は、各社とも検証してもらいたいと思う。

そのほか、リオデジャネイロで開催されたオリンピック・パラリンピックの放送や、放送を草創期から支えていただいた方々が亡くなられたことも印象に残っている。

◆記者:SMAPの解散で、番組制作にどのような影響があると思うか。

◆井上会長:メンバー全員が揃って出演される番組を放送されている局もあるが、解散後もメンバーの皆さんは芸能活動を続けられるのだろうし、それほど大きな影響はないのではないか。

  

(了)

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