一般社団法人 日本民間放送連盟

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第54回民間放送全国大会を開催/広瀬会長あいさつ

 第54回民間放送全国大会の開催にあたり、日本民間放送連盟を代表いたしまして、ご挨拶申しあげます。
 初めに、ご多忙の中、ご臨席いただきました扇参議院議長、総理大臣代理・鈴木内閣官房副長官、菅総務大臣、そして橋本NHK会長はじめ、ご来賓の皆様に、心より厚く御礼申しあげます。

 3年前に3大広域圏で開始した地上デジタルテレビ放送は、いよいよ12月1日をもって、全国47都道府県のすべてにおいて放送されます。これにより、デジタル放送は全世帯の約8割で受信できるようになります。2006年は、日本のテレビ放送の歴史にとって特筆すべき年になりました。
 思い起こせば、国がデジタル化政策を打ち出した当初、放送各局は「巨額のデジタル投資の負担に耐えきれるだろうか」、また「技術面で計画通りデジタル設備を整備できるだろうか」、といった心配ばかりが先行いたしました。さらに、「視聴者にとって何のメリットがあるのか」と大変厳しい意見がありました。
 しかし、全国127の民放各局の皆さんが努力に努力を重ねた結果、ようやくここまで到達しました。この先も中継局建設を着実に実施してまいります。私たち民放事業者は2011年には自力で99%の世帯をカバーいたします。
 アナログ放送では、達成するのに50年以上かかったカバーエリアを、わずか7年半で達成する、まさに世界に誇れる偉業を成し遂げることになります。私たちは、日本のe-Japan計画の尖兵の役割を果たしてきたと、自負してよいと思います。

 とは申しましても、デジタル化を仕上げるまでには、なお二つの大きな課題が残っています。
 一つはデジタル化の条件が極端に不利な、いわゆる「ラスト1%」への対応です。私たちはテレビ視聴世帯の99%まで責任を持ってデジタル波をお届けすると公約しています。そのために、民放とNHKは2011年7月までに、なお1万局を超える中継局を自力で建設してまいります。しかし、深い山間部や離島などにお住まいの1%の世帯については、私たちだけでは対応することは無理であり、これには政府や自治体のご支援をお願いしたいと考えております。関係各方面のご理解を得るべく広く話し合いを続けていく所存です。
 もうひとつの課題は、デジタル受像機の普及です。放送のデジタル化は、電波が届くだけでは達成できません。デジタル受像機がすべての家庭に普及してはじめて完了したと言えます。
 私たちは今後、地上デジタル放送推進協会(D-PA)とも連携しながら、受像機の普及に向けたPR活動を全国的に展開してまいります。また当然のことですが、放送番組のハイビジョン化率を高め、ワンセグサービスも拡充してデジタル放送の優れた点をアピールしてまいります。
 このように、私たちはデジタル視聴の環境をしっかりと整備してまいります。したがいまして、メーカーの皆様には、ぜひ安心してデジタル受像機の生産拡大に取り組まれ、なるべく早く、すべての家庭が買い求めやすい価格帯を実現していただきたいと思います。流通の皆さんにも、ぜひ積極的な受像機の販売をお願いする所存です。

 さて、一年前の民放大会は、放送と通信の関係をめぐる議論が燃えさかる最中に開かれました。議論の中には驚くべき見当違いや、暴論もありました。放送事業者にとっては、まさに緊張の日々でありました。
 今年、春から夏にかけて政府・与党の間で冷静かつ真剣な調整作業が行われ、結論が出てまいりました。ここでは私たち地上波によるテレビ放送を初めて「基幹放送」と位置づけ、ブロードバンドを通じて動画を配信するだけの商業主義的な通信事業との間に明確な一線を引きました。
 当然のこととはいえ、私たちはこの位置づけを高く評価いたします。併せて、大いに勇気づけられましたことを、率直に表明いたします。
 今日までのデジタル化への移行作業に見られるように、私たち放送事業者は電波の普及について、これは自分たちの第一の役割だと心得て、社運をかけて実行しております。番組の編成に当たっては、いわゆる総合編成を守り、いいとこどりをするようなことはいたしません。災害時には、これに特化した放送に切り替えます。これらはいずれも放送法が私たちに求めているところでありますが、こうした日常の地道な活動が基幹放送の名に恥じないものと社会にも政府にも認められたのだと感じています。
 もちろん、政府の各種会合等にみられた異論や暴論とは別に、私たちの番組について世間ではいろいろのご不満があることも私たちは承知しております。どこの局も似たような番組が多いではないか、大人の鑑賞に堪えるドラマやドキュメンタリーが少ない、あるいは報道番組がワイドショー的になっている等です。
 こうしたご批判には真摯に対応してまいります。家庭の皆さんの気分を明るくし、勇気づけるような番組を増やしたい、時代を良い方向に後押しするようなパワフルな番組を作りたい。これも基幹放送と位置づけられた私たちの役割だと自覚しております。
 菅総務大臣はご就任第一声で、海外とも競争できる強力な番組制作力を、と期待を述べられました。これはまさに私たちの目指す方向でもあります。
 言うまでもなく、番組の制作と放送にあたっては、視聴者の知る権利に応え、言論・表現の自由を守るためにも、放送の自主自律を大原則とする一方、人権に配慮した取材・番組づくりを怠ってはなりません。この点を、改めて確認しておきたいと思います。

 NHKとの関係について触れさせていただきます。日本の放送文化は、民放とNHKの良き二元体制によって支えられてまいりました。私たちはこの見解を一瞬たりとも変更したことはありません。NHKの肥大化については警戒もし、苦情も申し上げてきましたが、この先も両者の役割分担についての見解の違いは大いにあると思いますし、相互批判があって然るべきだと思っております。
 デジタル化にあたっては、中継局を民放とNHKと共同で建設してまいりましたし、今後もそうしてまいります。高騰するオリンピックやワールドカップサッカーの放送権料に対しては、民放とNHKがジャパン・コンソーシアムを組んで対応しています。日本の放送技術は、昔も今も世界一の水準にあると評価されておりますが、これは、NHKの放送技術研究所に負うところが多く、民放もこの研究成果を享受しております。
 こう見てまいりますと地上放送の基幹放送としての役割は、二元体制のもとで、はじめて成果を発揮できるということがわかります。私たちは橋本会長のもとで進められているNHK改革の成功を心から願っておりますし、必ず成功するものと確信いたしております。

 デジタル時代を迎えるなかで、権利保護の在り方が改めて問われております。まず、番組の著作権を所有する権利者の皆さんに安心していただかなければなりません。また、番組の利用活用をこれまで以上に促進していく、ということもあります。さらに家庭内では手軽にコピーしたいとの声への対応も課題です。
 この3つの要素の間で、うまくバランスをとっていくことが求められます。幸い、根源的なところで利害が矛盾・対立するという性格のものではありません。たとえば、番組のマルチユースが進めば、利益は権利者の皆さんにも還元されます。
 バランスを図る上で、第一に重視されるべきは、制作に関連する著作権だと考えております。いま、わが国の経済界も政府も知的財産分野における優位、すなわち「知財立国」を目指すといっております。それを実現するには、私たちの国がクリエイティブな仕事をする人々を大切にする社会だと明確に印象づける必要があります。
 その上で、番組の2次利用・3次利用などに当たっての権利者の皆さんの了解を得る手続きを全体として整理し、簡素化することが必要だと思います。番組が1回放送されるだけで、その後は死蔵されていくのは、社会全体にとって大きな損失です。
 コピーワンスは著作権保護の立場から案出されたルールです。不幸にして家庭内でコピー動作がうまくいかず、録画した番組が見られなくなったケースがあり、一部の視聴者の方の非難を招きました。しかし、これについては技術的な解決等が見出されると思います。コピーフリーはあり得ないと考えます。フリーとなれば、話題となった映画なども調達困難となり、視聴者の皆さんを落胆させる結果になると思います。

 ラジオの分野でも課題があります。民放ラジオは、その55年の歴史において非常に重要な役割を果たしてきました。マルチメディア時代の今日においても、災害時の信頼性は他の追随を許しません。車の中でも楽しめる手軽なエンターテインメントとして、リスナーの支持も根強いものがあります。
 現在、デジタルラジオ推進協会(DRP)はデジタルラジオの実用化に向け、東京・大阪で様々な実験に取り組んでおられます。デジタルラジオの受信機も、商品化段階にきていると聞きます。
 総務省は、テレビ放送が完全にデジタル化した2011年7月以降に使用可能となる周波数帯の新たな割り当てを検討し始めています。民放連としては、なるべく早くデジタルラジオ放送のチャンネルプランと各事業者への割り当てを決定していただくことを希望しております。
 アナログ放送終了までの約5年間、他にもさまざまな問題が出てくるだろうと予想されます。放出される大量のアナログ用のテレビジョンをどうするのかというのもその一つです。私たちはそれらすべてについて、今、解決策を用意しているわけではありません。ケーブルテレビ・衛星放送・ブロードバンド・携帯電話など隣接する業界の方々、さらに電気機器メーカー・地方自治体・政府各省の皆さんなどと真摯に話し合い、ご指導を受けつつ解決策を探っていきたいと考えております。

 最後になりましたが、本大会実現のためにご尽力いただきました村上民放大会委員長をはじめ、一丸となって大会の準備を進められ、成功に導かれた幹事各社の皆様に心から感謝を申しあげ、私の挨拶とさせていただきます。

平成18年10月24日
 
社団法人 日本民間放送連盟
会 長  広 瀬 道 貞