一般社団法人 日本民間放送連盟

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表彰番組・事績

2022年日本民間放送連盟賞 グランプリ・準グランプリ

グランプリ、準グランプリは、ラジオ・テレビ別に番組部門全種目の最優秀とこれに次ぐ優秀1番組の計8番組を対象に選考が行われました。

  • ラジオ・グランプリ

    カエレナイ街から
    ~翔子さんと実穂さんと私たち~

    青森放送

    ■放送日時:2022年5月30日(月)0:30~1:15

    ■番組内容:青森市内でカフェバーを営みながら暮らす同性カップルに焦点を当て、2016年から取材を続けている「青森レインボーパレード」の様子も取り上げながら、2人の日々の暮らしや性的マイノリティの権利獲得をめざした活動に迫る。

    ■プロデューサー 森内真人、企画・構成 山本鷹賀春、取材・ナレーション 夏目浩光、取材・朗読 筋野裕子

    【選考理由】
    社会的に少数派であるLGBTQへの偏見と、地方都市の閉鎖性という2つの壁と戦う当事者2人を、まだダイバーシティの意識が薄かった2014年から継続して丁寧に取材した。過度に感情的に演出するのではなく、当事者の肉声を生々しく、淡々と伝えることで2人の苦悩と複雑な感情がより胸に染みる。長年の取材を通じて2人を支援し続けた制作者の思いが感じられ、「翔子さんと実穂さんと私たち」というタイトル通り、リスナーにも思いを共有し、性的マイノリティの課題を考えさせる秀逸な番組である。

  • ラジオ・準グランプリ

    村上RADIO特別版 戦争をやめさせるための音楽

    エフエム東京

    ■放送日時:2022年3月18日(金)23:00~23:55

    ■番組内容:作家・村上春樹はロシアのウクライナ侵攻に心を痛め、自宅のレコード棚から反戦歌を10曲ほどスタジオに持ち込んだ。1曲1曲、作曲された時代の背景や、その歌が歌われた場所のエピソードを交えて紹介。放送内容を全て英訳し番組のサイトに掲載した。

    ■プロデューサー 延江 浩、増山麗央、ディレクター 木村尚志、構成 小林浩子

    【選考理由】
    取りあげた曲の歌詞と制作された当時の時代背景を村上春樹が丁寧に説明することで、若い世代のリスナーにも、何度も繰りかえされてきた戦争の愚かさが伝わる。ロシアのウクライナ侵攻から短期間で、時節にあった完成度の高い番組を放送したことがすばらしく、企画した制作スタッフの実行力に敬意を表したい。シンプルな構成でありながら音楽によって静かな怒りを表現し、リスナーの心を揺さぶる。ラジオの強みを遺憾なく発揮した番組である。

  • テレビ・グランプリ

    三つめの庄内~余計者たちの夢の国~

    山形放送

    ■放送日時:2022年5月15日(日)14:00~15:00

    ■番組内容:青森県六ヶ所村に、山形県庄内ゆかりの50戸余りの集落「庄内」がある。北海道のサロベツ原野にも「天北の庄内」と呼ばれる開拓地が存在する。どちらも山形の庄内から満州に渡り第2の「庄内」をつくろうとした開拓者たちが、戦後、苦難の末に築いた土地である。かつて“余計者”と言われ、生きるための場所を求め続けた開拓者たちの軌跡。

    ■ディレクター 三浦重行、ナレーション 松本光生、構成 日笠昭彦、撮影 斎藤雄己

    【選考理由】
    山形県から満州の開拓団に参加した人々に着目し、当時の写真や開拓一世、二世へのインタビューを通じて彼らの過酷な歴史を丹念に掘り起こした。山形県内にとどまらず、満州から帰国した人々が開拓した青森と北海道の「庄内」を取材し、開拓者たちの戦前から現代に至る軌跡を壮大なスケールで描いている。地元に根ざして長く人々に耳を傾けてきた山形放送ならではの着眼点がすばらしく、戦後75年以上が経過した現代において、当事者たちの貴重な証言を記録に残した意義深いドキュメンタリーである。

  • テレビ・準グランプリ

    やったぜ!じいちゃん

    CBCテレビ

    ■放送日時:2022年5月23日(月)1:20~2:20

    ■番組内容:愛知県一宮市で印刷業を営む舟橋一男さんは生まれつきの脳性マヒで身体が不自由。子どもの頃「20歳までは生きられない」と診断されたが、74歳の今も元気で前向き、2人の娘、そして孫と家族に囲まれ幸せに生きている。同社が50年前に撮影していた舟橋さんの映像を交えながら、舟橋さんが感じること、思うこと、日常の暮らしを静かに描いている。

    ■プロデューサー 藤井 稔、ディレクター 仲尾義晴、構成 宮崎祐人、撮影 川瀬荘司

    【選考理由】
    生まれつきの脳性マヒで身体が不自由な舟橋一男さんの明るく楽しい人生と、彼を温かく見守る家族を過剰な演出をせずに丁寧に描いた。舟橋さんと仲間たちが家族の手を借りずに旅行をした50年前の貴重な映像を、現在の彼とその家族が笑いながら見るシーンを通じて、涙ではなく笑いで感動を伝えることにチャレンジしたすばらしい人間ドキュメンタリーである。多様性の尊重だけをうたうのではなく、幸せとは何か、家族や支えてくれる人への感謝の大切さも考えさせられる、示唆に富んだ番組である。