表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2009年(平成21年)入選・事績
平成21年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2009” 入選・事績
- 番組部門
- CM部門
- ラジオCM 第1種(20秒以内)
- ラジオCM 第2種(21秒以上)
- 最優秀 <ニッポン放送> 日本音楽著作権協会 むすんで、ひらいて、みわたせば篇(120秒)
- 優 秀 <STVラジオ> 日本救急医療財団 AED普及促進/救命~2008年6月の記録~(100秒)
- 優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 自社媒体PRスポット/ヒバリの声篇(60秒)
- 優 秀 <エフエム東京> JFN(ジャパンエフエムネットワーク) アースコンシャスキャンペーン「ボルネオ島の笑い話」(90秒)
- 優 秀 <エフエム東京> オリエンタルランド 東京ディズニーシー/思い出よ消えないで(120秒)
- 優 秀 <エフエム東京> 味の素 愛の番号案内サービス(120秒)
- 優 秀 <J-WAVE> サラヤ ボルネオの川を篇(90秒)
- テレビCM
- 最優秀 <中京テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/テレビのチカラ(75秒)
- 優 秀 <テレビ埼玉> 公共キャンペーン・スポット/テレ玉環境キャンペーン「川の思い出」篇(60秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 岐阜県農業大学校 全力農業!(60秒)
- 優 秀 <中部日本放送> 東海製蝋 ダルマローソク/灯りを点すだけではなく…(90秒)
- 優 秀 <中京テレビ放送> 統一キャンペーン・スポット/中京テレビハートCM「豊似湖」篇(30秒)
- 優 秀 <テレビ愛知> 自社媒体PRスポット/10~っと劇場 写真が語る家族愛篇(60秒)
- 優 秀 <熊本県民テレビ> 自社媒体PRスポット/Kiss ♪ KKT(90秒)
- 技術部門
- 特別表彰部門
番組部門 †
↑ラジオ報道番組 †
↑最優秀 <福井放送> 自死救出~東尋坊 命の番人~ †

↑チーフプロデューサー 藤尾孝男 プロデューサー 秋野範夫 ディレクター 岩下直浩 取材 渡辺敏明
この10年間に257人が自ら命を絶った福井県・東尋坊。ここで自殺防止活動を行う元警察官の茂幸雄さんは、今日も岩場を巡回し、所在なさげに佇む人に声をかける活動を続けている。「自殺は自己責任ではなく社会的責任」「自殺を考える人は声をかけられるのを待っている」「大切なのは原因を取り除き、その人と一緒に歩くこと」という茂さんの言葉から、この問題に向き合うヒントが見えてくる。命を絶とうとする人たちとの生々しいやり取りの迫力に圧倒されるとともに、多くの人たちを救った茂さんの人間性と言葉のもつ力を実感させる。ラジオの特性を存分に生かした力作である。
優 秀 <北海道放送> ラジオ・ドキュメンタリー 逃げ得のしじま~追跡・女性教員殺害犯の73年~ †
↑プロデューサー 油谷弘洋 ディレクター 杉田嘉裕、加藤健司 ナレーター 赤城敏正
1978年8月、当時29歳の女性教員が殺害され、遺体は民家の床下に隠された。すでに時効が成立していた26年後、同じ小学校の元警備員の男の自首により、初めて世の知るところとなる。納得できない遺族による民事訴訟では、最高裁が4,200万円余の賠償を認めた。しかし、一度は告白しながら動機や謝罪をいっさい口にせず、再び沈黙する男。結局“逃げ得”となるのか。粘り強い取材で謎に包まれた事件の一角に切り込み、男の肉声を引き出した点が高く評価される。緊迫感のある展開と音の効果が秀逸で引き込まれる。
優 秀 <ニッポン放送> ニッポン放送報道スペシャル 時効という名の壁~未解決事件遺族の願い †
↑プロデューサー 森田耕次 ディレクター 館野美欧 ナレーター 上柳昌彦 構成 桜林美佐
容疑者が逮捕されないまま公訴時効を迎えた殺人事件は2007年の1年間だけで58件。時効という名の壁に直面する被害者遺族の消えることのない悲しみを、事件ごとに丁寧に拾い上げた。殺人事件被害者遺族による「宙の会」の活動、制度趣旨の解説、時効撤廃を含む法務省勉強会の議論、海外の制度や宗教的背景なども多角的に取り上げ、時効問題の全容を分かりやすく提示。裁判員裁判開始を見据えたタイムリーなテーマで、バランスのよい構成と抑制の効いたナレーションで深く考えさせる。
優 秀 <栃木放送> CRTラジオスペシャル「九百九十九日の青春~小田兄弟の戦争~」 †
↑プロデューサー・ディレクター 川島育郎 ディレクター 富樫美及 原案・取材 小田 総一郎 ナレーター 一色令子
1942年に15歳で少年飛行兵に志願し、わずか19歳で戦死した小田尚さん。弟の博さんは、兄の遺した100通以上の手紙や日誌を9年の歳月をかけて編集し、一冊の遺稿集『九百九十九日の青春』を完成させた。博さん亡きあと、遺稿集を初めて開いた博さんの孫の総一郎さんは、祖父の姿を追って慰霊祭に参加し、尚さんが散ったフィリピンの海で、祖父がこの本を遺した意味を導き出す。小田家に受け継がれる戦争の記憶から、大切な家族を失う悲しみや平和の尊さを後世に語り継ぐ大切さを訴えかける。
優 秀 <和歌山放送> 野球にかけた人生 尾藤公さん †
↑プロデューサー 柘植義信 ディレクター・取材 小川真由 ナレーター 寺門秀介
県立箕島高校野球部の監督として活躍した尾藤公さん。1966年から約30年間の在任期間中、甲子園出場14回、春夏連覇を含む全国優勝4回の実績を誇る。1995年に監督勇退後も、野球にかける情熱は変わらない。「野球を愛する人が好き」という彼の人生を通じ、“尾藤野球”の強さの秘密に迫るとともに、教育としての高校野球の抱える課題を問いかける。
優 秀 <山陰放送> 潜水艦長 山田薫~遺品が語り継ぐ真実~ †
↑プロデューサー 林 裕史 ディレクター・ナレーター 荒井 由岐子 朗読 板井文昭、小椋英之
ハワイ真珠湾攻撃に加わった日本海軍の最新鋭潜水艦「イ16号」の艦長、山田薫の遺品が、彼の死後50年を経た2006年、世に紹介された。当時の状況を知る日記や報告書などから、ついに帰還することのなかった2人乗りの「特殊潜航艇」による極秘作戦の実態が明らかになる。若者が情熱を注ぐ先が戦争だった時代の重みと、いつの世も変わらぬ命の尊さを、遺品の数々が静かに語っている。
優 秀 <九州朝日放送> 救済、未だ遠く・・~カネミ油症40年 ある女性患者の闘い~ †
↑プロデューサー 濱田克則 ディレクター 花田明男 編集 日野香織 録音 中嶋知広
発生から40年を経てもなお、患者の苦しみが続くカネミ油症事件。被害を訴えた1万人以上のうち、患者として認定された人は14%に満たないという。被害が集中する長崎県五島市で患者の聞き取り調査を続ける宿輪敏子さんの活動を軸に、国の認定制度の矛盾を突く。患者一人ひとりの証言の丹念な積み重ねにより、世代を超えて引き継がれる被害の恐ろしさが具体性をもって伝わり、終わることのない患者たちの闘いを印象づける。
ラジオ教養番組 †
↑最優秀 <東北放送> 響け!ぼくらのきらきら音楽~自閉症と生きる弦楽合奏団の歩み~ †
↑ディレクター 橘田 久 構成 阿部 聖 技術 長田英之 ナレーター 猪井操子
誤解されることが多い自閉症の原因は、先天性の脳機能障害と考えられている。仙台のヴァイオリンとチェロの弦楽合奏団「おおさわストリングス」のメンバー8人は自閉症。番組は、彼らの指導に情熱を傾ける女性教師と練習に打ち込むメンバー、そして切実な悩みや不安を訴える彼らの親たちの姿を追う。「人に合わせるのが苦手」という特徴を持つ自閉症だが、メンバーに現れた変化と、皆が力を合わせて臨んだ音楽祭のステージでアンサンブルを奏でるまでの奮闘を記録し、繊細な弦楽器の響きに乗せて伝えている。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 全国こども電話相談室・リアル! †
↑プロデューサー 三条毅史、鯨井達徳 ディレクター 野口太陽 パーソナリティ 山本シュウ
44年にわたり放送された『全国こども電話相談室』をリニューアル。PTA会長体験から教育に目覚めたDJ山本シュウと同世代の小中学生が、寄せられた悩みに電話で耳を傾ける。「不登校の妹を助けたい。修学旅行だけでも行かせてあげたい」という相談を受け、「行ってみたい」という妹本人の意志を確認。母親にも相談し、学校の先生に協力を取り付けた。妹は無事に参加できたのか? 今回の番組は、今後についての「アフター相談」。パーソナリティの個性が際立つとともに、そのスキルとバランス感覚が高い評価を得た。
優 秀 <山梨放送> YBSラジオスペシャル 驚き!なるほど!山梨名字大事典 †
↑プロデューサー 浅川俊介 ディレクター 石川 治 司会 酒井康宜、塩澤 未佳子
2月13日は「名字の日」。これは、1875(明治8)年のこの日、政府が「すべての国民は名字を付けるように」義務づけたことに由来する。この日に名字について考えてみようと企画された番組は、ゲストに名字研究家を迎えてさまざまな話題を取り上げる。全国と山梨県の「名字ランキング」や珍しい名字、さらに県内で同じ名字を持つ人々の強い絆を紹介する。着想が優れており、地域に根ざした取材が的確にまとめられている。
優 秀 <北日本放送> 青木新門が語る~もうひとつの「おくりびと」~ †
↑プロデューサー 柴田明夫 ディレクター 佐伯 和歌子 ナレーター 陸田陽子 朗読 木下一哉
映画『おくりびと』の原点となった『納棺夫日記』は、富山市在住の作家・詩人である青木新門さんが納棺師として葬儀の場にかかわっていたころの体験をつづって、1993年に発表した作品。番組は、彼が自身の半生を振り返りながら、原点となった少年時代の出来事や納棺師になった経緯、苦悩、挫折と、彼だからこそ言える「死の実相」と「死んだ後の行き先(死後の世界)」について、時にはユーモアを交えて自らの言葉で語っていく。その言葉は聴く人を惹きつけ、彼の魅力が縦横に伝わる作品となっている。
優 秀 <京都放送> 紫式部の贈りことば †
↑ディレクター 森永貴則 構成 北川享子、山田玲子 ナレーター 塩見祐子
2008年は『源氏物語』の千年紀にあたり、京都では多彩なコンテンツの制作・発信が行われた。番組は、『源氏物語』を敷居の高い古典作品としてではなく、登場人物に人間的視点からアプローチすることで、人間として共感できる物語の本質に迫る。千年前の過去と現代を結ぶ不思議なタイムトラベルをイマジネーション豊かに表現し、平安と平成をつなぐリポーターとナビゲーターが紫式部と『源氏物語』の世界に誘う。制作されること自体に大きな意義を感じさせる作品である。
優 秀 <山口放送> 今を生きる~憩いの驛・えんがわ に集う人々~ †
↑プロデューサー 伯野茂樹 ディレクター 村田俊子 ナレーター 渡邊 三千彦
昭和の雰囲気が残る商店街・周南市中央街の「福祉の店 憩いの驛・えんがわ」は、高齢者や障害を持つ人たちの手作りの品を販売している。以前は、深澤幸代さん(84歳)がご主人とともに切り盛りしていた写真館で、自分と同じようにご主人を亡くしたり、商店街で働き続けて年を取った仲間たちの話し相手になれる場所として「えんがわ」を作った。番組は「えんがわ」の日常を丹念に追うことで、長い老後を明るく過ごすひとつの道しるべを示し、超高齢化社会における街づくりのあり方を伝えている。
優 秀 <南日本放送> 奄美群島日本復帰55年特別番組 我伝えん、この喜びを~世界中で最も大いなるクリスマスプレゼント †
↑プロデューサー 住吉大輔 ディレクター・ナレーター 豊平有香 ナレーター 采野吉洋 企画 田上 憲一郎
第2次世界大戦敗戦後の1946年2月、北緯30度以南の島々が日本から切り離され、奄美群島の人々は過酷な生活を強いられる。およそ8年後の日本復帰直前に開局した放送局には、復帰式典を全国に生中継した時の音声が残されていた。番組は、当時の音声とともに当時の住民の苦難や、中継に携わった人たちの苦労が語られる。忘れてはならない歴史を今に伝えることで、記憶の継承に大きな役割を担っている。
ラジオエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <東海ラジオ放送> 堀川・サウンドストーリー †

↑プロデューサー 角田功治 脚本 麻創 けい子 技術 長谷川 聡 ナレーター 田中幸子
名古屋城築城の際に、建築資材を運ぶために開削されたといわれる堀川は、現代に至るまで、名古屋の街の変遷を見守り続けてきた。400年の歳月のなかで川沿いの風景から消えた音、生まれた音、橋の界隈に残るエピソード、言い伝えなどをドラマで再現する。堀川の記憶をたどることで、名古屋の魅力、情緒をリスナーに堪能させる。堀川にまつわる音を効果的に再現させ、名古屋弁もふんだんに用いるなど、ラジオの特性を十二分に発揮している。
優 秀 <IBC岩手放送> 幸見とかっぺいの“方言詩の世界”トークバトル †
↑プロデューサー 関 芳樹 ディレクター 井上 学 パーソナリティ 菊池幸見 ゲスト 伊奈かっぺい
リスナーが投稿した岩手県内の方言で書いた“詩のようなモノ”を、岩手県出身の菊池幸見アナウンサーが情感たっぷりに朗読する人気番組『方言詩の世界』。リスナーとのふれあいを求めて開催した公開録音では、青森県出身の伊奈かっぺい氏を招き、方言詩コーナー立ち上げ秘話やこれまでの裏話も織り交ぜながら、方言の魅力や方言詩の原点を語り、聴衆を巻き込んでいく。方言の温かさや、方言でなければ分からないユーモア、地方の言葉の豊かさを伝える。
優 秀 <文化放送> ビッグサウンズスペシャル 武田鉄矢語りおろし 阿久悠 どうにもとまらない! †
↑プロデューサー 長谷川 実 ディレクター 丹羽孝子、高木誠利
高度経済成長期、次々にヒット曲を生み出して日本の歌謡界を一変させた作詞家・阿久悠氏。阿久氏に憧憬する武田鉄矢氏が、評論家・高澤秀次氏の著書『ヒットメーカーの寿命 阿久悠に見る可能性と限界』をもとに、独自の解釈と説得力を持って軽快に語りおろす。阿久氏と彼をめぐる人物は、昭和という時代にどのように向き合い、大衆の心をつかんで離さなかったのか。今もなお聴き続けられ、逝去後も新たに評価されている阿久悠氏の人物像が凝縮された作品である。
優 秀 <信越放送> SBCラジオスペシャル「ねんねんネコのけつにカニがはいりこんだ」 †
↑プロデューサー 久保正彰 ディレクター 笠原公彦 ナレーター 坂橋克明 出演 西舘好子
「♪ねんねんネコのけつにカニがはいりこんだ~やっとこすっとこひっぱりだしたらまたはいりこんだよ~」。ある番組で、リスナーの一人が歌ったヘンテコな子守唄。放送後には「私も知っている」「懐かしい」といった、この子守唄に関するメッセージがたくさん寄せられた。どうしてこんな下品とも言える子守唄が生まれたのか、歌詞の意味とルーツをめぐり、取材班が奔走する。優れた構成力に教養的要素を盛り込み、知的好奇心をくすぐる学術的作品である。
優 秀 <ラジオ関西> I ❤(らぶ) ピアノ †
↑プロデューサー 池添哲也 ディレクター 赤澤 聡 出演 天宮 遥
日本人が子どものころから親しんでいるピアノを使い、さまざまな楽曲を紹介しながら音楽の楽しさと面白さを伝える。ピアニストの天宮遥氏が、誰もが一度は聞いたことのあるクラシックやポピュラーを弾きながら、リズムよく音楽の魅力を紹介していく。彼女が作り出すテンポと遊び心で、難しくとらえがちな音楽の法則や不思議も理解することができる。ピアノに興味がなかった人も、ピアノを弾きたくなる気分にさせる。
優 秀 <山口放送> 民放ラジオ101社統一キャンペーン「ラジオがやってくる!」~一緒にラジオドラマをつくろう!~ †
↑プロデューサー 村田俊子 ディレクター 花野秀明 アナウンサー 竹重雅則
3月3日の「民放ラジオの日」を中心に、民放ラジオ101社統一キャンペーン「ラジオがやってくる!」が展開された。山口放送では、山口県立華陵高校舞台芸術部の生徒たちと、ラジオドラマ作りに取り組んだ。ラジオにあまりなじみのない高校生もシナリオ作りに参加し、出演も務める中で、ラジオの特性の良さや有益性を感じていく。AMラジオに若い高校生の声が流れ、若くて新しいAMラジオの姿が伝わる。
優 秀 <RKB毎日放送> 特別番組RKBラジオ「スマッシュ11」~あの感動をもう一度~ †
↑プロデューサー 藤井義久 ディレクター 吉村伸司 パーソナリティ 井上 悟、山口玲香
1970年代、全国各地のローカルラジオ局には、若者から圧倒的な支持を受けた人気深夜番組があった。『スマッシュ11』もそのひとつであり、リスナーたちはラジオを通して人生や青春を共有し、今のネットとはまた違う連帯感がそこにはあった。放送終了から23年、当時のパーソナリティとリスナーが集まり、一夜限りの番組を復活させる。ラジオとかかわろうとしていた当時のリスナーの熱気と、懐かしいあの日々が戻ってくる甘く切ない60分。ラジオの魅力を再確認させ、未来のラジオのあり方を考えるヒントがここにはある。
ラジオ生ワイド番組 †
↑優 秀 <北海道放送> 一平・直子のほっとスマイル 北海道の唄スペシャル~苫小牧のよいとまけと夕張の黒ダイヤばやし~ †
↑プロデューサー 壱岐 聰 ディレクター 氏家誠一 パーソナリティ すずき一平、高橋直子
月~金/午前9時~11時の放送で、地元にこだわった企画を多く展開。この日は「北海道の唄スペシャル」と題し、戦前に苫小牧の製紙工場で歌われた「よいとまけ」と夕張の最盛期に石炭をモチーフに生まれた「黒ダイヤばやし」を紹介。保存芸能としてのみ残る作業唄に光を当て、実際に歌っていた人々の生の声から、当時の生活や時代背景を丁寧に浮き彫りにした。地元の貴重な財産の存在と価値にあらためて気づかされる作品である。
優 秀 <ニッポン放送> 上柳昌彦 土曜日のうなぎ †
↑プロデューサー 菅沼尚宏 ディレクター 宗岡芳樹 パーソナリティ 上柳昌彦 アシスタント 増山さやか
土/午後5時30分~8時、パーソナリティ上柳昌彦が「生の街歩き」をしながら、人々との触れあいを通じ、リアルな街の音、市井の声を伝える。この日は「神楽坂」の路地に入り込んでいく。周囲の自然な音や景色を描写する的確な言葉が耳に心地よく、「路地に漂う風情」や「東京の今」が生き生きと伝わってくる。聴く者の想像力が膨らみ、実際に散歩しているかのような楽しい感覚に浸れる。
優 秀 <信越放送> 坂ちゃんのずくだせえぶりでい †
↑プロデューサー 久保正彰 ディレクター 中島拓生 パーソナリティ 坂橋克明、小松美帆
月~金/午前9時05分~午後0時50分の放送。「みんなに毎日元気(ずく)を与えられる番組」をコンセプトに、パーソナリティ坂橋克明が、日替わりのアシスタント“ずく女”とともに、軽妙なトークで家族の会話の種を提供する。この日も地元高校の合併エピソード、織田信長クイズ、方言談義など盛りだくさんの内容。「どれにしようかな、神様の言うとおり……」に続くフレーズをめぐっては、リスナーの投稿が投稿を呼ぶ。地元、生放送、リスナーとの直接対話にこだわった構成は、ラジオ生ワイドの真骨頂といえる。
優 秀 <東海ラジオ放送> 直球勝負!大澤広樹 モーニングサービス特集~尾張なごやは<朝>でもつ?!~ †
↑ディレクター 松波宏治 パーソナリティ 大澤広樹 構成 千田伸子 ゲスト 永谷正樹
日/午後3時~5時45分の放送。スポーツ実況アナウンサーの大澤広樹とアシスタントの若杉直美が、リスナーや街の人々の声を拾いながら、身近な話題を展開していく。この日は、東海地方では当たり前になっている喫茶店の豪華な「モーニングサービス」の発祥、発展、今後について考察。東海地方の産業的背景や愛知・岐阜の県民性との関係を、専門家やゲストのコメントを交えながら、少々“独断と偏見”気味に探っていく。バランスの取れた構成と巧みな音響の効果によって、いっそう好奇心がそそられる。
優 秀 <関西インターメディア> Kansai Today 765 †
↑プロデューサー 松崎 晃 ディレクター 竹部慶彦 出演 SUMI
月~金/午前7時~10時の放送。「Think global, Act local」をテーマに、地球規模で考え、「関西の今朝」をニュースと音楽でさりげなくリスナーと共有することを目指している。普段接することのない海外のトピックスを散りばめながら、世界を意識した選曲と洗練されたトークによって、心地よい音の空間を創出している。DJのSUMIが優しく語りかけるフランス語の音の響きを心ゆくまで楽しめる。
優 秀 <南海放送> やのひろみの「本気(まじ)?ラジ!」 ローマ字の日スペシャル~FURUSATO EHIME~ †
↑プロデューサー 田中和彦 ディレクター 中井 哲 出演 やの ひろみ ゲスト ランツベルグ・フリーデマン
月~木/午後1時35分~4時50分の放送。この日は「ローマ字の日」にちなんで、植木職人の修業を積んでいるドイツ人など、愛媛県在住の外国人にスポットを当て、彼らの視点から「ふるさと愛媛」や日本の魅力を探った。より強い地域密着を目指す作り手の姿勢が伝わるとともに、パーソナリティやのひろみの小気味よいトークとキャラクターが素晴らしい。最後まで飽きさせずに聴かせる力量は見事である。
優 秀 <エフエム沖縄> ハッピーアイランド スペシャル in 国際洋蘭博覧会 †
↑プロデューサー 山川悦史 ディレクター 多喜ひろみ 出演 菊池のり子、むとうありさ
月~金/午前11時30分~午後1時55分の放送。1994年からスタートした企画「オーキッドブライダル」を、今回は「沖縄国際洋蘭博覧会」会場で実施。何らかの理由で結婚式を挙げていないカップルを募集し、63組の夫婦の中から2組を選び、蘭の花に囲まれた印象的な結婚式をプレゼントした。リスナーからのお便りやブライダル・ミュージシャンむとうありさのミニライブなども交えながら、上品で感動的な作品に仕上がっている。
テレビ報道番組 †
↑最優秀 <静岡放送> SBSスペシャル 日本兵サカイタイゾーの真実~写真の裏に残した言葉~ †

↑プロデューサー 土方 康太郎 制作 小川 満 取材・構成 岸本達也 撮影 西川昌也
太平洋戦争の激戦地・硫黄島で、ある日本兵が米軍に投降した。「サカイタイゾー」を名乗る彼は、流暢なフランス語を話し、尋問に応じた。そして「Sois sage, Oh ma douleur」と裏に記した一枚の写真を米兵に託す。番組は、米軍の尋問調書や遺族への取材などから、サカイ氏の人物像を探った。さらに、彼の投降の事実に戸惑う元日本兵へのインタビューや、ボードレールの『悪の華』から引用された写真裏の言葉の意味を通し、新たな視点で、「生きて虜囚の辱を受けず…」という『戦陣訓』に象徴された、当時の兵士とは異なるサカイ氏の戦争観に迫った。
優 秀 <北海道文化放送> 聴覚障害偽装事件 †
↑プロデューサー 吉岡史幸 ディレクター 涌井寛之 カメラマン 川上 敬
2007年12月、北海道内で、長年にわたり聴覚障害による身体障害者手帳の不正取得が行われていたことが発覚し、その結果、道内の900人近い高齢者が障害者手帳を返還する事態となった。虚偽の診断書を作成していたとされる医師や、手帳の申請手続きを代行した社会保険労務士、不正取得した高齢者らに果敢にインタビューを試みるとともに、事件の構図、産炭地の歴史的背景や行政の問題、取得を悔やむ人々の苦悩を浮き彫りにした。
優 秀 <フジテレビジョン> 千の風になってドラマSP「戦場のなでしこ隊~少女たちだけが見た特攻隊 封印された23日間~」 †
↑プロデューサー 成田一樹 企画 立松嗣章 演出 田島大輔、大川卓也
太平洋戦争末期、鹿児島・知覧にあった特攻隊の基地で、「なでしこ隊」と呼ばれた女学生たちが体験し、その目で見た、特攻隊員たちの真の姿、秘話をドラマ仕立てで描いた作品。若き特攻隊員たちの母親や恋人への思い、出撃前の苦悩、慟哭、それを見守る女学生らの心情を俳優陣が好演。また、当事者の証言や、特攻隊員の肉声なども交え、戦争の悲劇を分かりやすく伝えた。
優 秀 <北日本放送> KNBふるさとスペシャル「神が通る川~イタイイタイ病と小松義久~」 †
↑プロデューサー 尾崎義文 取材・構成 数家直樹 ナレーター 陸田陽子 編集 平島健一
富山県の神通川で、イタイイタイ病の患者が出てからおよそ100年。被害者救済のため立ち上がった小松義久さんらの努力で、国の公害病認定や原因企業からの全面勝訴など、解決への道を歩んだかに見えたが、現在も出続ける患者、なかなか下りない患者認定、家族に重くのしかかる治療費・介護費など、当事者たちの闘いは終わらない。今も続くイタイイタイ病の問題を、あらためて地元に投げかけた。
優 秀 <毎日放送> 映像 '09「DNA鑑定の呪縛」 †
↑プロデューサー・ディレクター 里見 繁 カメラマン 河野仙志 編集 舛本賢治
1990年代初めに起きた足利事件と飯塚事件を取り上げ、DNA鑑定を検証した。導入されたばかりで、革新的な科学的捜査としてもてはやされたDNA鑑定。番組は、当時の鑑定方法には精度の低さ、欠陥があったばかりでなく、予見に満ちた判断があったと指摘。さらに、鑑定の信頼性が揺らいだまま、飯塚事件では死刑が執行されたことなど、司法の問題にも疑問を投げかけた。タイムリーな題材を取り上げ、日本人の科学信仰に警鐘を鳴らした。
優 秀 <山口放送> ツルよ シベリアの残映 †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 高木 憲一郎 ナレーター 中谷隆宏 撮影 山本 透
本州唯一のナベヅル越冬地、山口県周南市八代に住む弘中数実さん。シベリア抑留の経験を持つ彼は、極寒の地で見た懐かしいナベヅルの姿に生きる希望を与えられ、また、その姿が忘れられず、帰国後、ツルの保護に携わったという。貴重なラーゲリ(強制収容所)跡の映像や、当時の手記などを織り交ぜながら、老いゆく抑留者の生きざま、さらには消えつつある八代のナベヅルを見つめた。
優 秀 <テレビ熊本> 土に生きる~ダム水没予定地・ある農民の手記~ †
↑プロデューサー 本田裕茂 ディレクター 酒井麻衣 撮影 倉岡英二 編集 可児浩二
熊本県五木村の川辺川ダム計画で水没予定地となった集落に、たった1軒残った尾方茂さん・ちゆきさん夫婦の家。先祖代々の土地を守りながら、ほぼ自給自足の生活を営む二人は、国・県と交わした約束が果たされない限り、代替地に移るつもりはない。番組は、ダム建設から白紙撤回と、行政に翻弄される五木村で、土に生きる老夫婦の四季をつづった。土や自然への思いを語る尾方さんの言葉は、哲学的な魅力にあふれている。
テレビ教養番組 †
↑最優秀 <南海放送> ひだまり~今治大浜1丁目・6年の記録~ †

↑プロデューサー 大西康司 ディレクター 寺尾 隆 ナレーター 枡形浩人
愛媛県今治市大浜地区は800人ほどの人たちが暮らす小さな漁師町。車一台がぎりぎり通ることができる小さな路地の一軒のお好み焼き屋「昌万」に集う人々には、それぞれに悩みや問題を抱えながらもお互いを支えあい、日常を笑って過ごす古き良き「ご近所さん」の人情があった。しかし、道路拡張やそれに伴う立ち退き、都市に住む家族に引き取られる人々など、かつてのコミュニティーは変貌を始めた。日本の路地裏の懐かしさと、それが失われようとする寂しさが作品に同居する。
優 秀 <山形放送> これが おらだの走る路~山形鉄道黒字化プロジェクト~ †
↑プロデューサー 伊藤清隆 ディレクター 奥山 剛、奥山朋晃 ナレーター 青山友紀
山形県南部の田園地帯およそ30キロを結ぶ山形鉄道フラワー長井線は、開業以来の累積赤字を抱えていた。何とか現状を打破すべく、運転士が生み出した「方言ガイド」には、観光客が大型バスに乗ってやってくるも、少子化による通学客の減少分はカバーできない。そんな中、公募で選ばれた41歳の青年社長が、43もの「黒字化アイディア」を打ち出し、実行に移していく。2億5,000万円という赤字に、悲壮感を漂わせることなく、社員一丸となって明るく元気に挑戦する。折々に挿入されるローカル線の風景が心地よい。
優 秀 <BS-TBS> 甦る!唐招提寺金堂~秘められた鑑真の想い †
↑プロデューサー 竹内 紀一郎 ディレクター 匂坂緑里、神保泰歩 出演 里中 満智子
1999年に始まった唐招提寺金堂の修復作業から、天平の時代をめぐるいくつもの「謎」が浮かび上がった。正確な創建の年、他の建物の廃材を転用して作られていた理由、国宝三尊の組み合わせや製法の違い。謎を解く鍵は、一人の人物にあった。天平の人間模様にも造詣が深い漫画家の里中満智子氏とともに、歴史のロマンに想いをはせる。10年に及ぶ修復作業の取材と緻密な調査が作品に厚みを持たせ、我々を天平の時代へといざなう。
優 秀 <静岡放送> SBSスペシャル 渇いた大地にまいた種~アフガンから届いた命の写真~ †
↑エグゼクティブプロデューサー 土方 康太郎 構成・編集 竹川朋美 取材 増田哲也 撮影 内田 九二夫
2008年8月にアフガニスタンで拉致・殺害された伊藤和也さんを偲ぶ写真展を入り口に、彼が歩んだ人生を追う。荒涼たる大地で働く誇らしげな彼の姿、現地の子どもたちのあふれんばかりの笑顔。彼が残した2000枚以上の現地での写真には、両親には見せなかった姿、成長の過程があった。彼はアフガニスタンに何を求め、何を見つけたのか。現地での支援活動の美談に終始することなく、混迷の時代を生きる我々に、親子の絆や平和、そして生きがいとは何かを問いかける。
優 秀 <福井放送> 子どもたちの戦争~置き去りにされた文集から~ †
↑プロデューサー 井上 寿美枝 ディレクター 中村友紀 カメラマン 吉岡弘起、白崎勝典
福井市明倫中学校の体育館の倉庫から、昭和24~31年に在籍した生徒が夏休みの宿題で書いた文集が見つかった。そこには昭和20年の福井空襲の体験談が生々しい言葉と文章力でつづられていた。自らも東京大空襲を体験した俳優・山本學氏が当時の生徒たちを訪ね、戦争や当時の教育について語る。文集という貴重な素材が効果的に用いられており、メッセージが60年の歳月を超えて、現代の日本人が忘れかけている大切なものを伝える。
優 秀 <読売テレビ放送> 読売テレビ開局50年記念特別番組 日中戦争秘話 ふたつの祖国をもつ女諜報員~鄭蘋如(テンピンルウ)の真実~ †
↑脚本・演出 今野 勉 プロデューサー 大泉純子 撮影 千原 徹 出演 耿 忠(コウ・チュウ)
日中戦争の時代を生きた「噂の女」鄭蘋如。彼女は、中国人の父、日本人の母をもち、二つの祖国のために闘った愛国烈士であった。これまで見過ごされてきたテーマや人物に光を当てることで、戦争のむなしさをあぶりだす。より良い日中関係の構築のために、我々は何をすべきなのだろうか。中国人俳優で南京出身というバックグラウンドを持つ耿忠氏が、鄭蘋如役とリポーターの両方を務めるドキュメンタリードラマで、日中関係の過去・現在・未来を再考させる。
優 秀 <テレビ長崎> 村の記憶~むかし医師ありけり~ †
↑プロデューサー 山本正興 ナレーター 清水輝子 撮影 池田 潤 編集 井上康裕
長崎県北有馬村(当時)の医師、故・原口徳寿氏が撮影した70年前の貴重なフィルムが修復された。そこには、戦争へと駆り出されていく若者たち、銃後の農村の姿とともに、当時死亡率の高かった乳児の養育を指導する啓蒙用の作品もあった。さらに彼は、満州に渡り、村から移住した開拓団の日常までも撮影していた。実際の映像からは再現ドラマでは表現しきれない戦時の日常が、そして戦争が農村にいかに深く浸透しているかが伝わってくる。農村の一人の医師が残した、戦時ドキュメンタリーがよみがえる。
テレビエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <中部日本放送> 家族記念日 †

↑プロデューサー 斉藤龍昭 ディレクター 下野賢志 構成 藤井 稔 撮影 谷口たつみ
かけだしのプロカメラマン・浅田政志氏は、自らの家族のコスプレ姿を撮影した写真集を出版した。彼のもとには、全国から「コスプレ家族写真を撮ってほしい」という依頼が届き、無償ながら献身的に応える若者の清々しい姿に引き込まれる。ある家族は、認知症で記憶が薄れていく祖父のために、思い出に残る写真を撮ってほしいと依頼する。“真剣に”ふざけた格好をして非日常の家族写真を撮影することで、それぞれの家族の物語が浮き彫りになっていく過程を、丹念に描き出している。コスプレ写真を通じて現代の家族像を映し出し、笑いの中にも感動の涙を誘い、家族の絆の尊さが自然と心にしみてくる。
優 秀 <北海道放送> マグロになりたい登山家~単独無酸素エベレストを目指す!~ †
↑プロデューサー 伊藤弘二 ディレクター 河野 啓 撮影 辻山 仁 ナレーター 石崎輝明
登山歴わずか5年の異色の登山家・栗城史多は、極限のなか、自力で自らの姿をビデオカメラで撮影しながら登山する。ベテラン登山家にあきれられながらも、単独無酸素で世界7大陸最高峰のうちエベレストを除く6つの山を制覇した。彼の理想は、少ない酸素で動けるマグロ。迫力ある登山シーンの映像も交え、新時代の登山家の華々しい姿だけでなく、陰の努力や苦悩にも迫る。また、愛する人たちへの思いや、命の意味をかみ締める主人公の姿に、大きなメッセージ性を感じる魅力的な作品。
優 秀 <日本テレビ放送網> 欽ちゃん&香取慎吾の第82回全日本仮装大賞 †
↑チーフプロデューサー 古野千秋 プロデューサー 南波昌人、平井秀和 演出 瓜生 健
1978年にスタートしたこの番組は、31年目に突入し82回を数える。子どもからお年寄りまで、家族や学校・職場の仲間たちが協力し、自分たちで考え、手作業で製作した仮装作品を披露する。仮装の面白さのみならず、家族や仲間で共有する参加者の感動が、視聴者にもストレートに伝わってくる。司会者が、審査員とのコミカルなやりとりを絡めながら、参加者の人間性を引き出していく部分も相まって、エンターテインメント性が高い。
優 秀 <信越放送> SBCスペシャル 綱一本で天下取り~岡谷・進友会の挑戦~ †
↑プロデューサー 田中哲郎 ディレクター 上條剛正 ナレーター 山昭夫 カメラマン 原 隆
長野県岡谷市の綱引き社会人チーム「進友会」は、二十数年前、力自慢の若者たちが県の綱引き大会に参加したのが始まり。「簡単に勝てるだろう」と軽い気持ちであったが、あえなく惨敗。この屈辱をバネに厳しい練習を重ね日本一までのぼりつめたが、ここ2年は決勝で涙をのんできた。日本一奪還を目指す男たちの、綱一本に人生をかけた情熱がストレートに伝わってくる。単純に見えるスポーツの奥深さも興味深く表現されていて、決勝戦の白熱した戦いに引き込まれる。そして、男たちの歓喜の姿が、爽やかな感動を誘う。
優 秀 <朝日放送> 探偵!ナイトスクープ グランドアカデミー大賞 †
↑チーフプロデューサー 松本 修 プロデューサー 岩田 潤 ディレクター 近藤真広、佐々木 匡哉
身の回りの素朴な疑問を、視聴者と一緒にタレント探偵が面白おかしく調査する。放送開始20周年を迎えたことを記念し、「グランドアカデミー大賞」と題し、過去20年間の膨大な作品の中から選りすぐりの名作VTRを一挙紹介する。理屈なく笑え、感動さえも覚える、これぞエンターテインメント番組の真髄。20年間の歴史がよみがえり、地域に密着して愛され続けている番組であることが、ひしひしと感じられる。
優 秀 <南海放送> 一片のいのち~かまぼこ板に絵を描く人たち~ †
↑プロデューサー 大西康司 ディレクター 伊東英朗
かまぼこ板に絵を描く人々がいる。スケッチブックでも、はがきでもなく。愛媛県に住み理容店を営む老婦人は、子どもを2人亡くし、大病も患っている。しかし、彼女の周りには笑いが絶えない。元気の源は、かまぼこ板に絵を描くことである。全国にもかまぼこ板に絵を描く人々が多くいる。描く人も癒され、見る人も癒される。かまぼこ板の絵をモチーフに、いろいろな人々の心の内をしみじみと映し出す。8年間にわたる取材に裏打ちされた、落ち着いた雰囲気で深く作り込まれた作品である。
優 秀 <宮崎放送> 焼酎飲み 木を植える~あの木の下に眠りたい~ †
↑プロデューサー 渡辺康晃 ディレクター 温谷禎康 編集 小畑貴嗣 ナレーター 関 知子
宮崎県西都市に「ロキシーヒル」(ネパール語で“焼酎飲みの丘”という意味)という森がある。所有者の大酋長と呼ばれる老人男性は、大の飲み助だが、荒廃の一途をたどる日本の森林事情を憂い、毎日、木を植え続けている。50年後の豊かな森を夢見て植えた苗木は1万本を超えている。男性のユーモアあふれる人柄と、そこに集まる仲間たちの人間性が明るく、魅力的に表現されている。清涼感に満ちた作品ながら、便利さに満ちた現代社会でなくしてしまったものがあるのではないかと考えさせられる。
テレビドラマ番組 †
↑最優秀 <WOWOW> 空飛ぶタイヤ †

↑プロデューサー 青木泰憲、土橋 覚 ディレクター 麻生 学 脚本 前川洋一 出演 仲村トオルほか
主人公は小さな運送会社の経営者。ある日、自社のトレーラーからタイヤが外れ、死傷事故を起こしたという連絡を受ける。原因は整備不良と決め付けられ、執拗な捜査を受けた上に一気に信用を失うが、周囲の者に励まされ、原因を究明すべく巨大組織への戦いを決意する。 大企業によるリコール隠しは、誰もが遭遇する可能性のある現代社会の闇。舞台は自動車会社であるが、虚偽報告や不具合の隠蔽など、すべての巨大組織に共通して起こり得る問題をテーマとしている。なぜ不正は起きるのか? なぜ企業は同じような過ちを犯してしまうのか? こうした企業や社会の矛盾を浮き彫りにすることに挑戦した意欲作である。実力派の役者が集結し、登場人物それぞれの立場における責任と正義を丁寧に描写している。
優 秀 <フジテレビジョン> BOSS †
↑プロデューサー 村瀬 健、三竿玲子 ディレクター 光野道夫 脚本 林 宏司 出演 天海祐希ほか
主人公は40歳独身、アメリカ帰りの元キャリアで、警視庁捜査一課に新設された「特別犯罪対策室」の室長に抜擢される。だが、エリートの集まりと聞いていたメンバーは、お世辞にも精鋭とは呼べない刑事たちだった。そんな折、荒川の河川敷で上半身だけが丸こげで片腕が折れている男性の焼死体が発見される。メンバーが犯人の手がかりを求めて聞き込みに回るうち、一人の容疑者が浮かび上がる。取り調べで容疑者と対峙した主人公は、FBI仕込みの交渉術でわたりあう。 「女性が見たくなる本格刑事ドラマ」をテーマに制作された、女性上司をボスに据えたチームもの刑事ドラマ。1話完結型の連続ドラマ(全11話)のうちの第1話。魅力的なキャラクターが縦横無尽に駆け回ることで、見る楽しさを追求したエンターテインメント作品である。
優 秀 <テレビ東京> 開局45周年記念ドラマスペシャル「春さらば」 †
↑プロデューサー 橋本かおり 脚本 井上 由美子 監督 阿部雄一 出演 夏川結衣ほか
主人公は、訪問介護員として娘と2人で生き抜いているシングルマザー。献身的に老人たちを介護する彼女は、信頼を寄せる彼らを優しい笑顔と神業のような技術でだまし、金品や不動産をむしり取っていた。だが、一筋縄ではいかない、したたかな老人たち。濃密なやりとりを続ける両者の間には、皮肉にも家族以上の絆が生まれていた。 「詐欺」という逆説的な手法を通して、介護社会の抱える問題をアイロニカルな笑いと悲哀で描いている。介護崩壊が叫ばれ、失望感あふれる現代において、誰もが直面する介護問題への警鐘を鳴らし、人間どうしの絆を問うている。
優 秀 <東海テレビ放送> 東海テレビ開局50周年スペシャルドラマ 長生き競争! †
↑企画 鶴 啓二郎 プロデューサー 服部宣之、小椋久雄 脚本 佐伯俊道 出演 宇津井 健ほか
小学校からの幼なじみである6人は76歳。全員、比較的元気なので時折、同窓会を開くが、誰がぼけただの、病気で死んだだの、暗い話題ばかり。そんなある日、最も明るくマッチョな一人が、お金を賭けた長生き競争を提案し、集まった金額は予想を超えた大金に。 「死」というものを静かに受け入れるのが美徳と考える人が多い中で、作品に登場する老人たちは「残りわずか!」な自らの命にお金を賭けて、長生き競争を始める。戦中派とは思えない発想だが、人類すべてに等しく与えられた「生きること/死ぬこと」という課題に、彼らは人生に必要なユーモアと優しさを持って生きることで、答えていく。名優たちが丁々発止を繰り広げながら人生の物語を紡ぎ、生きることの意味を伝えている。
優 秀 <関西テレビ放送> ありがとう、オカン †
↑プロデューサー 安藤和久、重松圭一 監督 三宅喜重 脚本 金子ありさ 出演 渋谷すばる ほか
今なお昭和の香りを残す町工場街の一角で、賑やかな怒鳴り声が響く。主人公は、地元で有名な「名物オカン」。今日は高校の卒業式。彼女の息子たちが、めでたく社会へと巣立つ。しかし、出席の準備をする兄弟たちは全員、血のつながりがない。一人娘以外、全員がこの家の里子である。 現在、児童養護施設に保護されている子どもは3万4,000人。そのうち里親に引き取られ、「家族」を体験する子どもは、わずか約2,000人。そうした里親制度の現状を丁寧な調査を基にオリジナルのストーリーに盛り込み、失われつつある絆とは何か、本当の家族とは何かを描くヒューマンドラマである。親に捨てられた青年たちが、悩み、傷つきながらも、血のつながらない「オカン」に育てられていく姿を通して、ほんとうの幸せや絆とは何かを問いかけている。
CM部門 †
↑ラジオCM 第1種(20秒以内) †
↑最優秀 <IBC岩手放送> 高橋保自動車商会 留守番電話篇(20秒) †
↑プロデューサー 佐々木和彦 ディレクター 武田美樹 企画・構成 浅沼 学 出演者 佐々木勇
都会に住む子どもの留守電に、「おーい、今度いつ帰って来るんだ?」とシンプルなメッセージを残す父親。ここまでならいつもの電話だが、今回は、車がほしいと言っていた子どもに「そっちで買うなよ。まずは高松の保さん(たもっつぁん)のところへ行ってみてからだっ!」とぶっきらぼうながらも温かい一言が加わる。 地方でよくありそうな光景をリアルに表現し、リスナーに「そうだよな。まず、高橋保自動車商会に相談してみなくちゃな」と妙に納得させるパワーを持つCM。
優 秀 <STVラジオ> 自社媒体PRスポット/あなたの想像力に… 篇(20秒) †
↑プロデューサー 岡崎みどり ディレクター 大針三治
音楽・サウンドエフェクト 西岡俊明(フィクス) 出演者 森中慎也(札幌テレビ放送) ラジオパーソナリティーたちが、「自分は誰に似ているか?」という質問にそれぞれ答えていく。「やっぱり、あゆかな?」「あー、僕は福山だわ」――。イメージしながらラジオを聴くことの“楽しさ”をあらためて感じてもらおうという自社媒体PRスポット。 最後は「ホームページでの確認はご遠慮ください」というナレーションで締めくくり、いまどきのCM演出を逆手にとったオチも秀逸で、奥行きのあるCMとなっている。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 西尾 クリーンクリーン/オフィス篇(20秒) †
↑プロデューサー・企画・構成 池田昭哲 ディレクター 小川信(オガワマコトオフィス) 出演者 かわのりょうこ(俳協)、柳沢真由美(俳協)
OL2人の会話。合コンの前に、歯医者に寄って行こうという友人の誘いに、「歯医者って何か恐いし……」というマユミ。しかし、「大丈夫!治療じゃないし、歯をトゥルントゥルンに磨いてくれるの」とキッパリ言い切る友人に、「げっ!チューまで行く気、満々だし」と突っ込むマユミの一言。 ユーモアの中にも、サービス内容や料金を自然に表現することに成功している。
優 秀 <文化放送> スヴェンソン レフィーネ/銀行強盗(20秒) †
↑ディレクター 見目幸伸 企画 高橋知之 録音技術 脇元啓行 プランナー 下田まり子
銀行強盗が、袋に現金を入れるよう、カウンターの女性に命じているという緊迫した場面。「金だよ!おい!ねーちゃん!さっさと入れろ!」と銀行強盗が詰め寄る。さらに事態が切迫するかと思われたが、白髪染めのおかげで実年齢より若く見られた女性は、思わず「は、はい」と、うれしそうに応じてしまうのだった……。 危機的な状況にもかかわらず、ハッピーな気分になってしまうという演出が、商品の魅力を効果的に表現している。
優 秀 <エフエム東京> JFN(ジャパンエフエムネットワーク) アースコンシャスキャンペーン「中田さんへ」(20秒) †
↑プロデューサー 林屋創一 ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス) 構成・コピー 若杉幸祐(電通) 出演者 湯澤幸一郎
全国の同姓の人が行動を起こした場合に削減できるCO₂排出量を具体的に示しながら、環境への関心の輪を拡げていこうというシリーズ企画。今回は“中田さん”で、「全国の中田さんが毎日、アイドリングストップを5分行うだけで、全国で1日あたり約6,000kgのCO₂がナカタ(無かった)ことに……」と訴える。 同姓世帯数とCO₂削減量のデータを組み合わせ、オチを入れる構成で、説得力を持ちながらも押しつけがましくない、その気にさせるCMとなっている。
優 秀 <静岡エフエム放送> 焼肉飯店 京昌園 憎さあまって(20秒) †
↑プロデューサー 海野舞子 ディレクター 相川香(リップス) 構成・コピー 安藤寛志 出演者 稲葉郁美(リップス)
恋人に振られた腹いせに、焼肉をやけ食いしている女性。初めは「にくくって、にくくって……」と管を巻いているが、徐々に明るい声に変わり、最後には「肉食って、しあわせ」と結ぶ。 リズム感のある演出でリスナーの食欲をそそるとともに、この店に来れば、幸せな気持ちになれるというイメージづくりに成功している。
優 秀 <和歌山放送> 日高東宝ボウル 3ゲームのボウリング(20秒) †
↑構成・コピー 三宅良治 出演者 寺門秀介
ボウリングを3ゲーム、30分した場合の運動量をいくつかのスポーツに例えて紹介。「40分間のキャッチボール、50分間のラジオ体操に相当します。しかも、ボウルが戻るまでの休息で心臓への負担も少ないのです」と続く。 ボウリングの効用を淡々と説明するだけというシンプルな構成が、不思議な説得力を醸し出している。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
↑最優秀 <ニッポン放送> 日本音楽著作権協会 むすんで、ひらいて、みわたせば篇(120秒) †
↑プロデューサー 高橋晶子、林尚司(電通) ディレクター 松田哲雄(サウンドマン) 構成・コピー 佐藤延夫(大日)
誰にでもなじみのある童謡『むすんでひらいて』。明治時代、『見わたせば』という題名で日本に輸入されたこの歌は、日本の美しい春が気品のある言葉で飾られていた。しかし十数年後、歌詞のほとんどが変えられ、軍国主義の高揚に利用されるという運命をたどる。 時代に翻弄されながらも、現在まで生き続けた童謡の知られざるエピソードを取り上げ、音楽の持つ「力」を強く印象づけながら、広告主の精神に結びつけた。
優 秀 <STVラジオ> 日本救急医療財団 AED普及促進/救命~2008年6月の記録~(100秒) †
↑プロデューサー 岡崎みどり 音楽・サウンドエフェクト 大針三治 出演者 木村洋二(札幌テレビ放送)、吉野悦雄(北海道大学)
「患者から離れてください。ショックが必要です。オレンジボタンを押してください」――自動体外式除細動器(AED)から流れるガイド音声。心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった人に、AEDによって電気ショックを与え、一命を取り留めた模様を、実際に記録された音声や当事者のメッセージで伝える。 さまざまな施設で設置が進むAEDだが、生々しい記録音を用いることで、“AEDを使用する”という、一歩進んだ普及促進を訴えることに成功している。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> 自社媒体PRスポット/ヒバリの声篇(60秒) †
↑プロデューサー 池田昭哲 ディレクター・企画・構成 小川信(オガワマコトオフィス) 録音技術 新籾洋介(テレコム・サウンズ) 出演者 関根正明(俳協)
生まれつき鳴き方を知っている動物が多い中で、ヒトを含む三種類の哺乳類とヒバリなど鳴禽類を含む三種類の鳥類は“学習”によって声の出し方を身に付けるという。ヒバリの鳴き声とともに、「おとなになったあなたから、いろんな話をしてあげましょう」と子どもとのコミュニケーションの大切さを訴える。 ヒバリの美しくかつ複雑な鳴き声が、「人と人を結ぶコミュニケーションが大切」というメッセージを際立たせている。
優 秀 <エフエム東京> JFN(ジャパンエフエムネットワーク) アースコンシャスキャンペーン「ボルネオ島の笑い話」(90秒) †
↑プロデューサー 林屋創一 ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス) 構成・コピー 村井陽介(電通) 出演者 TOKYO FM少年合唱団
世界で3番目に大きい島、ボルネオ島に笑い話として伝わる、実際にあった環境破壊の連鎖をユーモア溢れる擬態音で紹介。マラリアが大流行し、その原因となる蚊を駆除するため殺虫剤を撒いたことに始まり、最後にはネズミ天国となってしまった島に、人間が空からパラシュートを付けた14,000匹のネコを撒いたという。 環境保全はその場しのぎではなく、長期的な取り組みが必要だというメッセージを、子ども(TOKYO FM少年合唱団)が、擬音を交えてわかりやすく伝えている。
優 秀 <エフエム東京> オリエンタルランド 東京ディズニーシー/思い出よ消えないで(120秒) †
↑ディレクター 山口景子 構成・コピー 花田顕子(電通) 録音技術 越川博雅(エフエムサウンズ) 番組企画 清水綾(エフエムサウンズ)
番組の連動企画に応募して選ばれた愛知県の鶴城中学校コーラス部が、卒業式の定番ソング『旅立ちの日に』を合唱するというCM。部員21人の一生懸命な合唱と、卒業する先輩へ贈る言葉で構成される。 シンプルながら、気持ちのこもったコーラスが、リスナーにさわやかな感動を与えてくれる。
優 秀 <エフエム東京> 味の素 愛の番号案内サービス(120秒) †
↑プロデューサー 石井利始(アサツー ディ・ケイ)、早乙女治(アサツー ディ・ケイ) ディレクター 林屋創一 構成・コピー 田中壮太郎(アサツー ディ・ケイ)
いつものように、食事をデリバリーする店の電話番号を聞く若者に、番号案内サービスの女性は「ご案内できません」とまさかの答え。彼女は毎日出前ばかり食べている若者の健康を心配していたのだ。その後も二人の会話は思わぬ方向に進み、さながら“愛の伝言サービス”となっていく。 普通に考えればあり得ない設定を、軽妙なセリフとテンポで聴かせることで、手料理に関心を持ってもらうという目的を達成している。
優 秀 <J-WAVE> サラヤ ボルネオの川を篇(90秒) †
↑プロデューサー 大谷恭代 ディレクター 中山佐知子(ランダムハウス) 録音技術 森田仁人 出演者 大川泰樹(MMP)
ボルネオ島の森に生息する手長ザル“ギボン”は、木の枝から枝へ泳ぐように移動する。そのようにして川を行き来しあっていたギボンのカップルが、ある時、プランテーションの開拓によって木々が伐採され、川を渡ることができなくなり、二度と会えなくなってしまった。それでもギボンのカップルは毎日、せつない声で相手を呼び合う。 音の使い方が効果的で、臨場感あふれるイマジネーションの世界の中で、環境問題に対する広告主の姿勢を明確に表現している。
テレビCM †
↑最優秀 <中京テレビ放送> 公共キャンペーン・スポット/テレビのチカラ(75秒) †

↑プロデューサー 伊豫田祐司、通木芳之(中京ビデオセンター) 音楽 服部孝也(ディースタジオ) ディレクター 小島英幸(中京ビデオセンター) CG・アニメ 大平宏治(中京ビデオセンター)
テレビにまつわる小さな出来事をコメディタッチで取り上げ、“テレビのチカラ”を表現する。そのエピソードは、「テレビでニンジンを食べているのを見た女の子が、ニンジンに手を伸ばす」ものや、「思い詰めた表情で橋の上から川の流れを見ている男性が、テレビを楽しそうに見ている親子を偶然目にし、考えを変える」といったもの。 “テレビの魅力ってなんだろう”という意外に重いテーマを、深刻になり過ぎずに伝えるという、まさにテレビらしい演出が高く評価された。
優 秀 <テレビ埼玉> 公共キャンペーン・スポット/テレ玉環境キャンペーン「川の思い出」篇(60秒) †
↑プロデューサー 橋敍夫、松林大輔(レイCM) アイディア・企画 山田慶太(ビルド・クリエイティブハウス)、石田百合子(フリー)
若い学生のカップルが、川で楽しそうに水をかけあって遊ぶという“青春の1ページ”。楽しそうなのだが、川の水がとても汚れているため、2人の姿が信じられないぐらいにゴミだらけになっていく、それも際限なく……。 どこまで話がエスカレートするのか、と視聴者の目を引く演出が功を奏し、環境問題に対するメッセージを力みなく伝えることに成功している。
優 秀 <中部日本放送> 岐阜県農業大学校 全力農業!(60秒) †
↑プロデューサー 稲垣邦広 ディレクター 坂田周吾(中日本制作所) アイディア・企画 増田達彦(中日本制作所) ナレーション 石井亮次
食糧自給率が40%でありながら、年間1,900万㌧の食べ物を廃棄している日本。そんな食事情を少しでも変えようと考える若者たちが集まる場所が、この大学校だ。研究などが中心の「農業大学」とは異なり、実践に重きを置く「農業大学校」の学生たちは、2年間で農業のプロを目指す。そんな学生たちの熱い思いが、画面を通して語られる。 いまどきの若者が語る農業への思いがストレートに伝わってくる、“熱いCM”となっている。
優 秀 <中部日本放送> 東海製蝋 ダルマローソク/灯りを点すだけではなく…(90秒) †
↑プロデューサー 高木和義 構成 藤井稔 ディレクター 宇佐美浩伯 撮影 安田耕治(CBCクリエイション)
岐阜県郡上八幡に、88歳のおじいちゃんと85歳のおばあちゃんが切り盛りするパン屋さんがある。彼らのパンづくりにカメラは密着。パンづくりの最後の工程である袋詰めでは、包装袋がローソクの熱によって接着される、昔ながらの場面が映し出される。 老夫婦のほのぼのした仕事ぶりと、ローソクの意外な使い方が、なんとも言えない魅力を醸し出している。
優 秀 <中京テレビ放送> 統一キャンペーン・スポット/中京テレビハートCM「豊似湖」篇(30秒) †
↑プロデューサー 伊豫田祐司、通木芳之(中京ビデオセンター) ナレーション 柏田ユウリ ディレクター 小島英幸(中京ビデオセンター) 音楽・サウンドエフェクト 屋敷貴道(東海サウンド)
北海道の知床半島にある豊似湖は、自然な状態でハート形をした湖として有名だ。カメラは、広大な森を抜け、眼下に広がる巨大なハートを映し出しながら、自然がもたらす大きな恵みに気づく必要性を訴える。 豊似湖という素材の良さに加え、その魅力を余すところなく伝える映像技術の高さが、評価された。
優 秀 <テレビ愛知> 自社媒体PRスポット/10~っと劇場 写真が語る家族愛篇(60秒) †
↑プロデューサー 元藤健一 ディレクター 見取保孝(RAiZO) アイディア・企画 中山昌士(電通) 構成・コピー 内藤信章(電通)
自局のデジタルチャンネルナンバー「10」とかけて、視聴者の身の回りの「10~っとな出来事」(ずっと大切に続けていること)を募集し、映像化した作品。息子が生まれてから毎月、「家族写真」を撮っているという3人家族を取り上げ、実際に家族写真を何枚も紹介する。 写真に映し出される自然体の家族の姿が、見ている者にその家族に起こったであろうさまざまなドラマをイメージさせるとともに、暖かい気持ちにさせてくれる。
優 秀 <熊本県民テレビ> 自社媒体PRスポット/Kiss ♪ KKT(90秒) †
↑プロデューサー 井上誠一郎 ディレクター 山下ともき(山下ともき事務所)、寺崎真由美(AREA) アイディア・企画 内田幸子
視聴者がテレビをどう見ているのか、テレビに何を求めているのかをカメラを通して語ってもらう企画。アニマルトレーナーの宮沢厚さんが、現在の職業を目指すきっかけとなったのが「テレビ」だったこと、今度は自分が「テレビ」を通して子どもたちに夢や希望を与えたいと、カメラに語りかける。 出演者の飾らないメッセージが非常に説得力を持つ一方、肩に力が入らない演出はさわやかな印象を与え、一つの「テレビらしさ」を表現している。
技術部門 †
↑最優秀 <日本テレビ放送網> 新方式デジタルFPU用可搬ヘリコプター追尾システム †
↑研究・開発担当者 牧野鉄雄、甲斐 創、宮内 聡、佐治佳一
デジタル信号の隙間(QAM変調の同期期間やOFDM変調のガードインターバル期間)において、アンテナビームを制御し追尾する方式を考案、追尾専用のアンテナ・受信機を要しないヘリコプター追尾システムを開発・実用化した。 これにより、本線の所要電界以下でも実用になる圧倒的な追尾性能と、機材の大幅な軽量化・省電力化を実現し、テレビ中継技術の高度化に大きく貢献した。
優 秀 <TBSテレビ> 確認用映像素材プレビューシステムeSOPⅡ †
↑研究・開発担当者 小池範行
映像素材のエンコードと緻密に設計されたメタデータの入力を効率的に行い、そのメタデータを活用して、視覚的かつ柔軟な検索ができる高機能なプレビューシステムを開発・実用化した。 これにより、映像検索・プレビュー作業が大幅に合理化・効率化され、映像素材の有効活用を推進するなど、映像資産管理の高度化に貢献した。
優 秀 <日本テレビ放送網> 地上デジタル中継局用 安定運行支援諸装置の開発 †
↑研究・開発担当者 佐藤 誠、宮内 聡、川上皓平、田中正克
①中継局で受信した放送波が上位局であることを判定して再送信を制御する装置、②中継局で受信した放送信号のC/N劣化を改善する装置、③受信した放送波の放送局IDを検出し記録する装置を、それぞれ開発・実用化した。 これらにより、放送波中継の安定運行に欠かせない「確実な再送信」「電波品質の確保と改善」「効率的な測定」を強力に支援し、デジタル送信技術の高度化に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン> MXFファイルを用いたマスター番組送出システムの開発 †
↑研究・開発担当者 井村紀彦
MXFファイルに対応したコンテンツサーバーと送出サーバーを導入し、インジェストから送出までをMXFファイルで運用・管理する新世代のマスター番組送出システムを開発・実用化した。 これにより、将来のファイルによる番組素材搬入・搬出に備えつつ、多メディア・多チャンネル時代の効率的な送出手法を実現し、テレビ送出技術の高度化に貢献した。
優 秀 <朝日放送> 照明専用CADと連動可能な調光システム †
↑研究・開発担当者 兼岩 克、道本啓介、葛原宏一
自動調光回路選択機能をもつ照明専用CADソフトと、自動役割パッチ機能等をもつ調光卓が連動することにより、CAD画面上で調光操作が可能となるシステムを開発・実用化した。 これにより、照明プラン図作成から本番までの全工程で優れた操作性と作業時間の短縮、さらに省力化を実現し、テレビ制作技術の高度化・効率化に貢献した。
優 秀 <山口放送> マラソン移動中継車の有指向性アンテナ送信雲台装置及び距離計の開発 †
↑研究・開発担当者 吉松達也、木村仁彦、藤村 毅
GPSとジャイロユニットを用いて検出した移動中継車の位置と進行方向をもとに、受信点方向を計算し、照明用ムービングヘッドを応用した電動雲台を制御することにより、有指向性アンテナの自動方向制御を行うシステムを開発・実用化した。 これにより、地元のマラソン中継において、全コースのHD中継を1か所の受信点で実現するなど、テレビ中継技術の高度化・効率化に貢献した。
優 秀 <RKB毎日放送> TS信号変換器の開発による、SD用FPUを活用したロードレースHD中継の実現 †
↑研究・開発担当者 梅嵜貴史、今田幸一、兼田朋典、田中康之
SDTV規格の800MHz帯デジタルFPUを有効活用するため、TSインターフェースをDVB-ASI方式に変換し、外部コーデックにH.264を採用したHDTV中継システムを開発・実用化した。 これにより、既存機材を継続利用しつつ、従来どおりの受信拠点数やカバーエリアを確保したHDTVロードレース中継が可能となり、テレビ中継技術の効率化に貢献した。
特別表彰部門 †
↑青少年向け番組 †
↑最優秀 <北海道放送> 森崎博之の あぐり王国 北海道 †

↑プロデューサー 国貞泰生、粥川 暁 ディレクター 張田 満 出演 森崎博之
一般公募された小学生たち「あぐりっこ隊」が、出演者とともに北海道各地の畑を訪れ、野菜がどのように栽培され、収穫されているかを農業体験する30分のローカル番組。今回は1月、極寒の和寒町で、人気ブランド野菜である越冬キャベツの収穫を体験した。 雪から掘り出したキャベツはなぜ甘さが増すのかという科学的興味や、農家の人々の出稼ぎがなくなった、といった地域が抱える社会・経済的テーマを織り交ぜ、番組全体が青少年向けの優れた教材になっている。制作者自身が楽しんでいる様子や、番組への地元の期待が画面から感じられ、勉強くささがなく楽しく学べる番組である。
優 秀 <テレビ東京> 美の巨人たち †
↑プロデューサー 永田浩一、松本博之 ディレクター 高田英俊 ナレーター 小林 薫
毎回ひとつの作品を通して、作者の思いや人生、社会状況、歴史的背景を探り、楽しみながら美術に触れる機会を提供するエンターテインメント番組。今回の作品は、岡本太郎の生涯のなかで最大の作品で、渋谷駅のコンコースに飾られている「明日の神話」。40年もの間メキシコの資材置き場に放置されていたという数奇な運命をたどった作品に託された、作者のメッセージと叫びを伝える。 毎回ひとりの作者にスポットを当たる手法が成功しており、青少年を美術・芸術の世界にいざなう強いメッセージを持った番組である。
優 秀 <東海テレビ放送> 「夢のちから」~笑顔の車椅子チアリーダー~ †
↑チーフプロデューサー 川瀬隆司 プロデューサー 伊藤順子 ディレクター 中野真里
東海・北陸地方で夢に向かって挑戦し続けている人たちにスポットを当てる15分番組。そのきらきらした姿と熱い思いを描き、「やってみたい」「頑張ればできそうだ」という「夢の力」を伝える。今回の主人公は先天性四肢欠損という障害を持ちながら、自分の可能性を信じて高校生活をチアリーディングにかける少女。絶えない笑顔と元気を、生まれたときの両親の思いや、支えてくれた周囲の人たちとの出会いや姿とともに描く。 制作者と出演者のどちらにも構えた様子がなく、主人公の姿と思いが制作者の意図どおりに伝わってくる。丁寧な作りが、長尺のドキュメンタリーにも匹敵する力を番組に与え、多くの青少年を勇気づけ、励ます番組になっている。
優 秀 <テレビ大阪> かがく de ムチャミタス! †
↑プロデューサー 西村 聡 ディレクター 藤原祥仁 司会 石田 靖、枡岡 明
小学生たちに、身近にある「かがく」の不思議を発見し、疑問を解決する能力を養ってもらおうという15分の科学番組。毎回の題材は「科学」だけでなく、化学や自然科学からも取り上げる。今回は暑い夏にふさわしく、涼しい氷の研究。「過冷却」した水にショックを与えて瞬時に氷にしたり、氷が持つ「復氷」の性質を利用して、ピアノ線が貫通しても氷が切れない不思議などを実演。ドライアイスが二酸化炭素の氷であることも紹介する。 貴重な青少年向けの科学番組であり、「科学番組の巧み」としての今後の展開を期待させる。
優 秀 <山口放送> 生きる×2 島に生きる 家畜による荒れた田畑の再生 †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 長尾 聡 ナレーター 中谷隆宏 カメラマン 善甫義隆
民間放送教育協会の加盟局が交替で制作するドキュメンタリー番組。今回の主人公は、北海道の宗谷岬で、先進的な牧場経営に携わったのち、母の介護のため41年振りにふるさとに戻った57歳の農業経営者。過疎と高齢化が進む瀬戸内海の離島で、祖父や父が残した棚田を再生するためブタを放し飼いし、循環型の農業を目指す姿を、1年にわたり追った。 地域が抱える問題とそれに真正面から向き合う人々の姿を、地域の青少年に対して「我がこと」として紹介している。厳しい現実を未来志向でとらえ、地域の活性に果たすローカル局の公共性を具現化した番組である。
放送と公共性 †
↑最優秀 <日本海テレビ放送> 「鳥取方式」による校庭芝生化普及キャンペーン報道 †

↑実施責任者 福浜隆宏
なぜ日本の校庭は土なのか?ニュージーランド出身で鳥取市在住のニール・スミス氏は、6年前にNPO法人を立ち上げ、安価で維持管理の負担が軽い芝生を、利用者自身が植えて管理する「鳥取方式」を考案。この取り組みを5年前からキャンペーン報道で継続放送し、昨年7月に民間放送教育協会(民教協)番組で全国放送したところ、全国各地から問い合わせや視察が相次ぎ、「鳥取方式」で芝生化する箇所は、昨年度の18都府県から、今年度は38都道府県、全国500箇所あまりへと一気に拡大した。子どもの体力強化のみならず、心の発育、さらには地域づくりや行政依存からの脱却、あるいは環境面など、様々な要素を「鳥取方式」に見出し、継続的に報道したジャーナリスト感覚が素晴らしく、国内に止まらずアジア諸国にも広げてほしい動きとして高く評価された。
優 秀 <札幌テレビ放送> STVニュース 2008年年間企画「そこにある地球温暖化」 †
↑実施責任者 山谷 博
環境への意識が高まる中、豊かな自然に囲まれた北海道の中で地球温暖化をテーマにしたニュースを、ワイド番組内で特集として20回にわたり放送。地球温暖化の原因を科学的な見地で分析するのでなく、北海道の各地で起きている温暖化と見られる現象を丹念に取材し、地元の農業や漁業に与える影響を伝えた。環境問題を扱う際に定番となっている事象でなく、「野良イモ」が及ぼす作物への影響を取り上げるなど、アプローチが新鮮。ともすれば茫洋になりがちなテーマを、身近な事象に結び付けて紹介することで、視聴者に温暖化の現象をより切実に感じてもらい、次代を担う子どもたちのために環境問題をあらためて考える契機とする企画意図が評価された。
優 秀 <福島テレビ> 福島テレビアナウンサーによる出張朗読ボランティア「朗読の時間」 †
↑実施責任者 浜中順子
月に1~2回、1~2名のアナウンサーが、応募のあった小学校などを訪問し、「言葉と朗読」の授業を開催。子どもたちに本を好きになってもらい、自信を持って話し、心豊かに育ってほしいとの願いから、45分の授業で、発声や発音、言葉のニュアンスの出し方など、実践を交えて指導し、最後に朗読を行う。2000年から活動を始め、09年7月末現在、授業の回数は123回、対象人数は約11,500名に達した。活動のきっかけは、アナウンサーが表現力をさらに身につけるため、社内有志で始めた朗読の勉強会。自らの技能を、放送を通じてのみならず、実践的に地元へ還元する取り組みであり、ローカル局の地域貢献の一つのあり方として評価された。
優 秀 <信越放送> SBCものづくり応援キャンペーン †
↑実施責任者 菱山晋一
長野県の基幹産業である製造業を支援するため、ニュースや番組、ホームページを複合的に活用して、県内の企業を紹介。“ものづくり産業”が県を支えているという事実を県民共通の認識とし、あわせて目下の課題や解決すべきテーマを浮き彫りにした。また県や大学、経営者協会を巻き込み「ものづくりNAGANO応援懇話会」を設立、ものづくりと情報発信という切り口で活動を開始した。長野県の製造業は大半が部品メーカーであり、一般には馴染み難い分野であるが、視聴者にいかに分かりやすく伝えるかを意識して放送を続けた結果、次第にメッセージが広がっている。地域の産業振興に軸足を置いて丁寧に取り組んでいる事績として評価された。
優 秀 <山梨放送> すくすく健やか!山日YBS子育て応援プロジェクト「すくすこ2009」 †
実施責任者 望月俊相
子育てに関する不安や、育児と仕事の両立などの悩みがクローズアップされる中、企業、地域、県民がそれぞれの立場で子どもたちの健やかな成長にかかわり、社会全体で子どもや子育て家庭を支援しようという年間プロジェクト。ラジオ・テレビで子育ての悩みや不安の解消につながる情報を提供するほか、企業や活動グループの取り組みを紹介し、子育て家庭やサポート企業を応援。さらにイベント「すくすこまつり」の実施や、ウェブや系列紙などを活用したメディアミックス展開を図る。核家族化が進む昨今、身近な相談相手が少ない中で不安を抱いて子育てをしている人にとって、ラジオやテレビからの情報は有益であり、さらにメディアミックスで浸透を図る積極的な姿勢が評価された。