表彰番組・事績
第13回日本放送文化大賞
テレビ・グランプリ
山口放送/記憶の澱
■放送日時:2017年5月27日(土)13:00~14:30
■番組内容:性暴力、捕虜の殺害、民間人の殺害、性の接待など、戦時下における異常な心理によりもたらされた悲惨な出来事を体験した者たちの記憶には、「被害」と「加害」両方の意識があった。それらは、高齢となった体験者の心の奥底に、今なお「澱」のようにこびりついている。言葉では言い尽くせない悔恨と悲しみの念を持ちつつも、戦争がもたらすものを、今だからこそ「語り、残したい」という人々の記憶をたどり、反戦を訴える。
■スタッフ:渡部雅史(プロデューサー)、佐々木聰(ディレクター)、山本健二、山本宏幸、山本透(撮影)、原田かおり(ナレーター)、花﨑美香(美術)
■出演者:近藤一、玉木文治、坂本武人、天内みどり、伊原敏子、加藤百合子
■中央審査・審査講評:戦争の狂気について、加害者、被害者双方のインタビューに成功した衝撃的な番組である。丹念な取材に基づく体験者の言葉は、戦争における極限状態の人間のむごさや弱さを感じさせ、映像の力で、より臨場感、真実味をもって戦争の重さを伝えている。インタビューに応じた人々に敬意を表する。若い世代を中心に多くの人に見てもらいたい番組である。
テレビ・準グランプリ
山形テレビ/YTSスペシャル 希望の一滴~希少難病に光!ここまで来た遺伝子治療~
■放送日時:2016年8月8日(月)19:00~19:54
■番組内容:運動を司る神経伝達物質を作り出すAADC酵素が、生まれつき欠損する「AADC欠損症」は、取材開始当初、国内で患者が3人しかいないと言われていた。番組ではこの難病に苦しむ兄妹の治療経過、患者家族の思い、医師たちの献身的な取り組みを、9年間にわたりつぶさに記録してきた。有効な治療法が見つからない中、近年開発された「遺伝子治療薬」により、2人の身体機能が劇的に改善していく。そこには、医療の可能性を信じる患者家族と医師たちの心の絆と厚い信頼関係があった。
■スタッフ:庄司勉(プロデューサー・ディレクター)、稲塚秀孝(ディレクター)、岡崎英治、渡部雅之(カメラ)、寺瀬今日子(ナレーター)、山﨑夏穂(音効)
■出演者:松林瑠美子・佳汰・亜美、加藤光広、山形崇倫
■中央審査・審査講評:難病に苦しむ子、介護する親、治療方法を模索する医師、それぞれの立場を巧みな構成によって効果的に表現している。映像により、目の当たりにした遺伝子治療の効果は、病に苦しむ多くの人や医療従事者に希望の光を与える。重いテーマを扱っていながら、希望に満ち溢れた素晴らしい番組である。今後も続けて追跡取材してもらいたい。
ラジオ・グランプリ
エフエム東京/ミュージックドキュメント 井上陽水×ロバート キャンベル 「言の葉の海に漕ぎ出して」
■放送日時:2016年11月23日(水)19:00~20:47
■番組内容:半世紀に渡って日本の音楽シーンをリードしてきた歌手・井上陽水。彼の歌詞の英訳を始めた日本文学研究者・ロバート キャンベルは、日本語のあいまいな表現に頭を抱えることとなった。陽水とキャンベルによる異色の対談では、そんなキャンベルの疑問に答えるべく、陽水の曲のオンエアや歌詞の朗読も交えながら、その歌詞を読み解き、「時代と音楽」「音楽と言葉」「表現の本質」に迫っていく。ユーモラスな対談を通じて日本語のあいまいさが持つ豊かさが見えてくる。
■スタッフ:延江浩、増山麗央(プロデューサー)、木村尚志、伏見竜也(ディレクター)、小林浩子(構成)、伊藤慎太郎(演出補)
■出演者:井上陽水、ロバート キャンベル、三上博史
■中央審査・審査講評:井上陽水とロバート キャンベルの対談というユニークな企画で、音楽と言葉の“海の旅”が楽しめる。あいまいな日本語をロジカルな英語で詰めて行く二人のやり取りが面白く、英語を鏡にすることで日本語の豊かさを伝えている。聴く人それぞれの時代の記憶と陽水の歌があいまって、幅広いリスナーが楽しめるクオリティの高い知的教養番組に仕上がっている。
ラジオ・準グランプリ
静岡放送/SBSラジオギャラリー 幸せのカタチ ~本当の親子 本物の親子~
■放送日時:2017年5月28日(日)9:00~10:00
■番組内容:親元で生活することができない子供を別の家庭に迎え入れて養育する里親制度。里親は、血のつながらない子が幸せになれるよう深い愛情を注ぐが、そこには里親ならではの様々な苦労や悩みがある。里子が里親を試す“試し行為”などの問題を抱え、これを乗り越えることで親子関係が始まっていく。また、乳児を里子として迎えた里親は、いつか出生の事実を伝えなければならない。番組では、多くの里親たちのリアルな声によって、ゼロから作り上げていく親子関係を伝え、家族の絆のあり方、そして一つの“幸せのカタチ”を探る。
■スタッフ:原田亜弥子(ナレーション・企画・取材)、菊池勝(構成・演出)、松浦康弘(プロデューサー)
■出演者:原田亜弥子、岩崎真知子、根生直子、静岡市在住の里親のみなさん
■中央審査・審査講評:一人の女性アナウンサーが企画・取材からナレーションまでを担っており、現実を伝えたいという信念がにじみ出ている。映像がないラジオだからこそインタビューに深みが出ており、リスナーの心に訴える作品である。あまり知られていない里親の実態を、リアリティをもって伝えることに成功している。
テレビ・グランプリ候補番組・概要紹介
〔北海道・東北地区〕
山形テレビ/YTSスペシャル 希望の一滴~希少難病に光!ここまで来た遺伝子治療~
■放送日時:2016年8月8(月) 19:00~19:54
■番組内容:山形県南陽市に住む希少難病「AADC欠損症」の兄妹を2007年から取材。患者数が少ないがゆえに治療・研究が進まなかったが、「遺伝子治療」という一筋の光明が差しこんだ。寝たきりだった兄妹が劇的に運動機能を回復する様子を記録した映像は、神経疾患の専門医・研究者からも注目されている。
■スタッフ:庄司勉(プロデューサー・ディレクター)、稲塚秀孝(ディレクター)、岡崎英治・渡部雅之(カメラ)、寺瀬今日子(ナレーター)、山﨑夏穂(音効)
■出演者:松林瑠美子・佳汰・亜美、加藤光広、山形崇倫
〔東京地区〕
テレビ東京/テレビ東京開局記念日 ドラマ特別企画「破獄」
■放送日時:2017年4月12日(水) 21:00~23:18
■番組内容:舞台は太平洋戦争の勃発から終戦後の混乱した日本。「監獄の守り神」と呼ばれる完全無欠の看守にビートたけし。犯罪史上未曽有の天才的脱獄囚には山田孝之。永年にわたるふたりの手に汗を握る闘いを通して、「命とは何か」「生き抜くとは何か」「人と人の絆とは何か」を描く。
■スタッフ:田淵俊彦、川村庄子、浅野敦也、橘康仁(プロデューサー)、深川栄洋(監督)、池端俊策(脚本)
■出演者:ビートたけし、山田孝之、満島ひかり、渡辺いっけい、中村蒼、松重豊、寺島進、池内博之、勝村政信、吉田羊、橋爪功
■広告主:東建コーポレーション、NTTDocomo、味の素、アサヒ飲料、関塾 ほか
〔関東・甲信越・静岡地区〕
テレビ山梨/ウッティ発!アンニョンハセヨ!ワタシ桑ノ集落再生人 2011‐2017
■放送日時:2017年5月24日(水) 19:00~19:56
■番組内容:かつては養蚕で栄えたが、今は少子高齢化の進む山梨県の過疎の集落。ここに移住し、養蚕に使われなくなった桑の葉でお茶を作る小さな会社を経営している韓国人のハン・ソンミンさん。この豪快な男が、小さな集落で「志」「情熱」「希望」を持ち、地域活性化に奮闘し続けた7年間を記録した。
■スタッフ:岩﨑亮(プロデューサー兼チーフディレクター)、中嶋一(ディレクター)、長田和也・浅川豪(撮影)、新井田雅樹(ナレーター)
■出演者:ハン・ソンミン
■広告主:山梨中央銀行、アルプス、印傳屋
〔中部・北陸地区〕
CBCテレビ/CBCテレビ開局60周年記念番組 伊勢神宮・命あふるる神々の森 五十鈴川を行く
■放送日時:2016年11月3日(木) 15:58~16:52
■番組内容:伊勢神宮を流れる五十鈴川流域に広がる宮域林は、人が立ち入ることのできない神域ゆえに古来の生態が現存している。一年にわたり川を遡りながら、そこに棲む生物や植物など宮域林の自然を最新技術を駆使して撮影。生きるもののひたむきさや健気さ、神秘性を映し出した。
■スタッフ:佐藤浩二(プロデューサー・撮影)、増田達彦(ディレクター・撮影)、藤川恭平(アシスタント・ディレクター)、浅野加奈(4K・HDR編集)、斉藤元(サウンドデザイン)、森幸長(ドローン撮影)、原田裕貴(作曲)
■出演者:田中日菜、小川健太
■広告主:近畿日本鉄道、伊勢せきや、JA三重、ECC、シャチハタ、アーレックス
〔近畿地区〕
毎日放送/映像’17 沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素顔
■放送日時:2017年1月30日(月) 00:50~01:50
■番組内容:沖縄で基地建設反対運動を行っている人たちへのネット上の誹謗中傷はエスカレートの一途。しかし、現地取材により、ある言説をたどると、事実ではなく、意図をもって歪められていたことが分かった。「フェイクニュース」が世界を覆いはじめた時代に、沖縄の様々な真実を追った。
■スタッフ:斉加尚代(ディレクター)、島田昌彦(カメラ)、澤田隆三(プロデューサー)
■出演者:儀保昇、泰真実、目取真俊
〔中国・四国地区〕
山口放送/記憶の澱
■放送日時:2017年5月27日(土) 13:00~14:30
■番組内容:戦争の経験を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいる。体験者の心の奥底に、まるで「澱」のようにこびりついた記憶には、「被害」と「加害」、両方の意識があった。戦争がもたらしたものは何だったのか。当時を知る人々の記憶から反戦を訴える。
■スタッフ:渡部雅史(プロデューサー)、佐々木聰(ディレクター)、山本健二、山本宏幸、山本透(撮影)、原田かおり(ナレーター)、花﨑美香(美術)
■出演者:近藤一、玉木文治、坂本武人、天内みどり、伊原敏子、加藤百合子
〔九州・沖縄地区〕
南日本放送/家族スパイダー
■放送日時:2016年12月31日(土) 14:30~15:23
■番組内容:鹿児島県姶良市で400年前から続く、二匹のくもを戦わせる「加治木くも合戦」。先祖代々優勝を重ねてきた入部家のあるじである貢さんは、くものことになると誰の話も聞かない。くも合戦にすべてをかける一人の男と家族の絆が、合戦を通じて徐々に強まっていく様を見つめた。
■スタッフ:諏訪園真人(プロデューサー)、武藤久(ディレクター)、江夏豊、牧尚聖(カメラ)
ラジオ・グランプリ候補番組・概要紹介
〔北海道・東北地区〕
エフエム岩手/特別番組「岩泉『今届け、校歌』~台風10号を乗り越える力に」
■放送日時:2017年5月6日(土) 18:30~19:00
■番組内容:2016年の台風10号で甚大な被害を受けた岩手県岩泉町。町内に住む人々と東京で故郷を案じる人々の気持ちを一つにしたのが、出身中学の校歌だった。現役と卒業生がそれぞれに暮らす地で校歌を歌うことで、故郷を想う気持ちに気づかされ、人生を振り返り、前に歩む力となっていく姿を描く。
■スタッフ:宮川康一(プロデューサー)、鷲塚由美子(ディレクター&パーソナリティ)、片桐冬芽(ミキサー)、畠山泉、澤口篤弘(レポーター)
■出演者:鷲塚由美子、畠山泉、澤口篤弘、岩泉町立小川中学校の卒業生の皆さんと在校生の生徒の皆さん
〔東京地区〕
エフエム東京/ミュージックドキュメント 井上陽水×ロバート キャンベル 「言の葉の海に漕ぎ出して」
■放送日時:2016年11月23日(水) 19:00~20:47
■番組内容:井上陽水の歌詞の英訳を始めたロバート キャンベルは、あいまいな表現の歌詞に頭を抱えることとなった。そんなキャンベルの疑問に答えるべく、二人の対談が実現。多角的なアプローチから歌詞を読み解くことで日本語のあいまいさが持つ豊かさが見えてくる。
■スタッフ:延江浩、増山麗央(プロデューサー)、木村尚志、伏見竜也(ディレクター)、小林浩子(構成)、伊藤慎太郎(演出補)
■出演者:井上陽水、ロバート キャンベル、三上博史
〔関東・甲信越・静岡地区〕
静岡放送/SBSラジオギャラリー 幸せのカタチ ~本当の親子 本物の親子~
■放送日時:2017年5月28日(日) 9:00~10:00
■番組内容:血縁関係のない子供を預かる里親は、多くの苦労や悩みを乗り越えなければならないが、プライバシー保護の観点から、それらを広く伝えることは難しい。音声のみのメディアだからこそ答えてくれた里親たちのリアルな声を拾い集め、「本当の親子」ではないが「本物の親子」になりたいと願う姿を追った。
■スタッフ:原田亜弥子(ナレーション・企画・取材)、菊池勝(構成・演出)、松浦康弘(プロデューサー)
■出演者:原田亜弥子、岩崎真知子、根生直子、静岡市在住の里親のみなさん
〔中部・北陸地区〕
北日本放送/笑う門にはほんまに福来る ~小杉爆笑劇団の笑って認知症介護~
■放送日時:2017年5月29日(月) 18:30~19:14
■番組内容:認知症老人の介護に悩む家族の声をきっかけに、富山県射水市で介護施設のケアマネージャーによる「小杉爆笑劇団」が結成された。介護のポイントを笑いを交えて寸劇にしたら大好評。団員の周りでは介護のイメージが変わりつつある。番組では、彼らの想いを通じて、介護の在り方を提言する。
■スタッフ:守護真一(プロデューサー)、柴田明夫(総合演出)、小林淳子(取材・編集)
■出演者:松浦佳紀、柴田芳之、山本征史郎
〔近畿地区〕
京都放送/京都フォーク・デイズ ライブ きたやまおさむと京都フォークの世界
■放送日時:2017年4月30日(日) 12:00~13:00
■番組内容:1960年代にザ・フォーク・クルセダーズのメンバーとして活躍した きたやまおさむの呼びかけで、当時の“京都フォーク”を彩った懐かしい面々が集まり演奏を繰り広げた。笑いあり涙ありの公演の模様に観客のインタビューを交えて放送。紡がれる音楽と会場を包む熱気には、未来への希望や夢も感じられる。
■スタッフ:伊藤健(プロデューサー)、小林秀野(ディレクター・構成・演出・技術)
■出演者:山崎弘士、きたやまおさむ、はしだのりひこ、杉田二郎、ヒューマン・ズー、ザ・グリティ・グリーメン、遠藤奈美 ほか
■広告主:キョウテク、岩倉自動車教習所
〔中国・四国地区〕
南海放送/子規・漱石生誕150年記念 子規対漱石 ザ・ベースボール
■放送日時:2017年5月28日(日) 12:00~14:00
■番組内容:正岡子規と夏目漱石の母校の対戦をラジオドラマに仕立てた。舞台は実際に行われた2015年の選抜高等学校野球大会、松山東高校 対 二松学舎大附属高校。時空を超えて子規と漱石を実況席に迎え、カタカナ・英語禁止の実況中継が行われる。カタカナ用語にあふれる現代に、日本語の大切さを問いかける。
■スタッフ:田中和彦(原案)、小倉健嗣(脚本)、乗松佳洲彦(監督)、稲田貴志(制作)、三瀬雄一(統括)
■出演者:岩渕敏司、藤原大輔、藤田勇次郎、竹内愛希、佐伯りさ ほか
■広告主:大一ガス、フジパスク、日興石油、ハタダ
〔九州・沖縄地区〕
エフエム熊本/FMK熊本地震復興応援プロジェクト 「ゾウに会える幸せ ~熊本市動植物園の12ヶ月の想い~」
■放送日時:2017年4月16日(日) 19:00~19:55
■番組内容:熊本地震により、休園を余儀なくされた熊本市動植物園。部分開園に至るまでの10カ月間、動植物園獣医師の松本充史さんらスタッフの奮闘を追い、部分開園後2カ月経っての想いを聞いた。SNSのデマが引き起こした混乱や、子どもたちの心のケアなども織り交ぜ、この出来事を未来に繋いでいかなければならないという想いを伝える。
■スタッフ:伊佐坂功親(プロデューサー)、麻生純一(ディレクター)、松田結花(番組パーソナリティ)、松本亮介(リポーター)
■出演者:松田結花、松本亮介 ほか