一般社団法人 日本民間放送連盟

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よりよい放送のために

平成25年度民放連メディアリテラシー・シンポジウム(2013年11月7日)を開催しました

民放連・放送基準審議会は11月7日、民放連地下ホールで「民放連メディアリテラシー・シンポジウム」を開催しました。平成24年度に民放連の助成を受けて実施された会員社のメディアリテラシー活動の事例報告に続いて、パネルディスカッションを実施し、ネット時代の「放送」を取り巻く状況を再確認しながら、メディアリテラシー活動の意義を探りました。民放関係者をはじめ、メディア研究者など約100人が参加し、熱心な質疑が繰り広げられました。

 

■プログラム

●第1部 事例紹介

広島ホームテレビ「『アグレッシブ大学』~バラエティ番組の作り方~」

・金井大介 氏(ホームテレビ映像株式会社ディレクター/広島ホームテレビ「アグレッシブですけど、何か?」総合演出)

・藤本智大 氏(広島経済大学2年生/広島ホームテレビ「アグレッシブ大学」参加者)

●第2部 パネルディスカッション

ネット時代における放送とメディアリテラシー

<パネリスト>

・杉本誠司 氏(株式会社ニワンゴ代表取締役社長)

・津田大介 氏(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

・見城武秀 氏(成蹊大学文学部教授/民放連メディアリテラシー活動推進部会有識者委員)

・福原伸治 氏(フジテレビジョン情報制作局情報制作センター室長/民放連メディアリテラシー活動推進部会幹事)

<コーディネーター>

・水島久光 氏(東海大学文学部教授/民放連メディアリテラシー活動推進部会有識者委員)

●むすびにかえて~

・福原伸治 氏(民放連メディアリテラシー活動推進部会幹事)

 

 

第1部事例紹介

広島ホームテレビ「『アグレッシブ大学』~バラエティ番組の作り方~」

「広島ホームテレビ「『アグレッシブ大学』~バラエティ番組の作り方~」を実施したホームテレビ映像株式会社ディレクターの金井大介氏と、実際に「アグレッシブ大学」に参加した広島経済大学の学生である藤本智大さんが登壇し、活動内容を報告した。

 

 金井氏:「バラエティ番組の演出論が、視聴者の生活や人生に影響を与えることができるのか検証したかった」「大学生と一緒に番組を制作することで、つくり手と受け手が一体となってテレビの役割を模索したかった」

 

 藤本氏:「番組制作は思ったとおりにならなかった」「日常生活や人と話をする時、“フリ”“オチ”“フォロー”を考えるようになった」

金井氏:「自分の演出論は、何かしら彼にも理解してもらえたではないかと思う」「参加したスタッフにとっても“つくるってどういうことなんだろう”と改めて考えさせられる機会となった」「学生たちは、“バラエティだからこうしよう”という器用なことはできないが、テレビの境界線が曖昧だから、スタッフがいきなり画面の外から声を出すなど、僕らが無作法だと思っていることも楽々と乗り越えられるような、そんな空気があったと思う」

会場からは、「バラエティはリアクションまで含めてテレビであるということを再認識した。今後、視聴者とメディアリテラシーを考える時の新しい視座になるかもしれない」などの発言があった。

 

 

第2部パネルディスカッション

「ネット時代における放送とメディアリテラシー」

水島久光氏(東海大学文学部教授)をコーディネーターに、杉本誠司氏(株式会社ニワンゴ代表取締役社長)、津田大介氏(ジャーナリスト、メディア・アクティビスト)、見城武秀氏(成蹊大学文学部教授)、福原伸治氏(フジテレビジョン情報制作局情報制作センター室長)をパネリストに、パネルディスカッションを行った。

 

 

水島氏:「メディアリテラシーという言葉を、新しいメディア環境の変化の中で捉え直したい」

 

 

杉本氏:「我々は、時には情報発信し、時にはネットメディアを束ねるプラットフォームとなるが、目的は議論の“場”をつくること」「“場”ではマスメディアの情報が細分化されている。マスっぽい動きもあり、全体ユーザー数は莫大だが、マスとしては機能しない」

 

津田氏:「ネットはテレビの一種の補完メディアであるが、最近は世論の可視化装置にもなっている。多くの国民は何らかの形でソーシャルメディアの情報に触れ、発信しているが、ソーシャルメディアとマスメディアでは、情報を届けられる人数が大きく違う。情報を大量に一瞬で届けるという点ではテレビにかなうメディアはない」「リテラシーを身に付けるためには、“失敗を記憶しておくこと”が大切であり、その点でソーシャルメディアは役に立つ。どのようにネットにサポートしてもらうかが、これからのポイントになるのではないか」

 

 福原氏:「ソーシャルメディアの登場で、テレビと視聴者の関係が“送り手”と“受け手”という構図から、急速に“双方向性”へと変化している。メディアリテラシーは新しい時代に入ったのではないか」「ソーシャルメディアのネガティブな影響はテレビにも現れているが、だからこそリーチの大きなテレビがやらなければいけないことが、もっとあるはず」

 

 見城氏:「ネットの情報が氾濫する中でメディアリテラシー的体験(日常とは異なる枠組みでメディアを見るという体験)が日常化している」「放送もネットも即時性を重んじる中で、“批評的に振り返る”ことが重要さを増してきている」「放送は放送でしかできないことで勝負すべき」「放送は、迷いや誤りをもっとさらけ出しても良いのでは」

 

 

水島氏:「今後、放送局には、①各社の通常の業務・職責、番組、事業の中にメディアリテラシーを位置付けること、②職場の知・スキルをメディアリテラシー的に解釈すること、③放送メディアをあらためて日常生活の中に位置付け、明日の放送を市民とともに創造する回路としてメディアリテラシーを位置付けることを期待したい」

 

◆むすびにかえて~

シンポジウムの結びにかえて、福原幹事から、「メディアリテラシーの重要性が非常に高くなっている。テレビやラジオのファンを増やすことにもつながるメディアリテラシー活動をポジティブに捉えていただき、どんどん参加してほしい」と、参加した民放連関係者に向けてメディアリテラシー活動を呼びかけました。