一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成29年6月9日(金) 午後3時~3時20分

【場 所】 ホテルニューオータニ ガーデンコート宴会場階「シリウス」

 

NHKのラジコ参加について

◆記者:NHKがラジオ番組を実験的にラジコから配信する方向だが、これについて、どのようにお考えか。

◆井上会長:今年度の「NHK・民放連共同ラジオキャンペーン」の一環として、検討されているものである。ラジオの媒体価値向上のために、これまで全国各地を巡ってNHKと民放連が共同キャンペーンを行っている。この取り組みは大変有意義であり、若者をはじめとするラジオ離れの有効な対策になることを期待している。今回の共同キャンペーンの具体的な内容については、決まり次第、お知らせする。NHKの「インターネット実施基準」の変更案については、総務省が5月26日、「利用者保護や結果の公表などを条件として認可する」との考え方を示し、意見募集を実施している。この意見募集への対応については、放送計画委員会で検討しているところである。

◆記者:NHKがラジコに参加することが可能であるならば、テレビのインターネット配信も一緒に行うことはできないか。

◆会長:ラジオではこれまで共同でキャンペーンを実施するなど、一定の“下地”があった。テレビにおいてはこれからの取り組みであり、現時点では何も言えない。コストをかけずにいいサービスができないか、とは考えている。

 

JOCDNについて

◆記者:インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本テレビ放送網が設立したJOCDNに、東名阪の民放計15社が出資することとなったが、これをどう考えるのか。

◆井上会長:民放連としてコメントすることはないが、民放各社にとって関心が高く、期待している分野の事業であると思う。一般論として、CDNの分野は海外の企業が圧倒的に強いと聞いているので、ここに日本の企業が参入することにより、選択肢が広がると考えている。

 

テレビ同時配信におけるNHKとの連携

◆記者:総務省における会合の中で、高市総務大臣からテレビ同時配信について、NHKと民放が共同で実証実験を行ってはどうかとの発言があった。これをどうお考えか。

◆井上会長:昨年12月開催の総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」(諸課題検討会)で民放連から述べたとおり、「国民・視聴者に対し、常時同時配信を始める社会的意義やニーズを丁寧に説明するとともに、制度改正の方向性や具体的な実施計画(サービス規模、コスト、財源など)を提示し、国民各層の合意を得ることが不可欠である」との考えに変わりはない。同時配信を含め、NHKのあり方については、諸課題検討会でさらに検討されることになっている。いずれにしても、独占的な受信料収入で運営されるNHKには、インターネット活用においても、民放事業者や民間企業の事業展開への目配りや配慮が不可欠である。

◆記者:NHKとは意見交換を行っているのか。

◆木村専務理事:何か結論があって検討を進めているわけではない。課題に向き合うため、お互いにざっくばらんに意見交換を行っている。NHKとはこれまでも、地上デジタル放送の実施や放送倫理・番組向上機構(BPO)の設立・運営など、協力して進めてきた実績がある。しかし、公共放送と民放では、立ち位置が違うのも事実だ。違いがある部分はお互いに理解しながら、取り組んでいきたい。

◆井上会長:NHKは自社で判断できるが、民放連は個社の集合体であり、総意で進めなくてはならない。そのことも、NHKに伝えておく必要がある。

◆記者:井上会長は以前から、同時配信はマネタイズできるかどうかが課題だとおっしゃっているが、将来的にNHKと民放が共同で事業を行う可能性はあるのか。

◆井上会長:NHKの試験的提供の結果については、民放連の放送計画委員会に詳しい説明をしていただいたと聞いており、その点は感謝申しあげる。まだデータが少ない分野なので、今後の実験と情報提供にも期待している。ただ、これまでの調査結果をみて、事業性に疑問を持った民放事業者もおり、どう取り組んでいくべきか、各社とも手探りの段階であろう。上田NHK会長は民放の立場に理解があるので、今後もNHKとは情報交換を密にしていきたい。

 

民放の決算について

◆記者:民放キー5社の2017年3月期決算が出そろい、全社が増収となったが、どのようにお考えか。また、民放全体ではどうなのか。

◆井上会長:在京キー5社の決算は各社各様であり、各社がそれぞれ発表しているので、そちらをご覧いただきたいが、スポット市況は引き続き概ね堅調であり、ある程度がんばったと言えるのではないか。民放全体の決算については、民放連で調査中である。6月5日現在の中間集計(154社)では、民放連加盟の地上民放事業者の売上高は1.4%増となっている。売上高の内訳は、ラジオ放送事業収入が+0.3%、テレビ放送事業収入が+0.9%、その他事業収入が+5.0%である。

 

「報道の自由」に関する報告書について

◆記者:日本における「表現の自由」の現状について、国連特別報告者のデービッド・ケイ氏(米カリフォルニア大教授)が国連に提出する予定の報告書の中で「政府・与党による報道関係者への圧力」を指摘しているほか、政治的公平などを定めた「放送法第4条の撤廃」を求めているが、これをどう考えるのか。

◆井上会長:報道自体は承知しているが、現時点で、報告書についてコメントすることはない。放送界は放送倫理・番組向上機構(BPO)も設置しており、自主・自律のなかで、視聴者・国民に資する報道活動をこれまでどおり行っていく。

 

(了)