一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

井上会長会見

【日 時】 平成29年9月21日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連3階会議室

 

野田聖子・総務大臣について

◆記者:このほど就任した野田聖子・総務大臣について、どのような印象を持たれているか。

◆井上会長:小渕内閣で郵政大臣を務めた経験もあり、放送行政にも明るい方だと承知している。難しい時代のかじ取り役を期待している。

 

 

NHKの常時同時配信について

◆記者:NHKによるテレビ放送のインターネット常時同時配信について、民放連としてどのようにお考えか。

◆井上会長:まず述べておきたいのは、民放がインターネットという新しい技術に否定的ではないということだ。有効なデバイスに対応する努力は続けるというのが、私たちの基本姿勢だ。

昨日開催の総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」で、NHKは常時同時配信を「放送の補完」と位置付けると表明された。これは、以前からの私たちの主張に一歩近づいたとは思うが、インターネットと放送の位置づけが未整理であり、ピントがズレているような印象を受ける。NHKによるテレビ放送の常時同時配信は、将来的な放送法上の位置付けや受信料制度との整合性、さらにNHKがネット空間で果たすべき役割など国民的議論を要する論点がたくさんある。こうした点について、明瞭な説明がない。技術の進歩への対応を優先し、スケジュールありきで進めるのではなく、立ち止まって、インターネットをどう使うのか、それによって放送がどうなるのかを考える必要がある。私たちにとってメイン業務は放送である。NHKも立ち位置をはっきりしてほしい。

常時同時配信を含め、独占的な受信料収入で運営されるNHKがインターネット活用業務を拡大することは、民間放送だけでなく新聞などの民間事業と競合する可能性を高めることにもなる。慎重な議論が必要だ。

ただし、NHKは試験的提供(検証実験)で得られたデータなどについて、民放に対して丁寧に説明してくれている。コミュニケーションはきちんととれている。

◆記者:NHKはテレビ放送の常時同時配信を「放送の補完」と位置付け、受信契約世帯は追加負担なく利用できるようにすることで、民放に先行して実施できると考えているが、これをどう受け止めるのか。

◆井上会長:対象を受信契約世帯に限るといった小手先の対応ではなく、NHKとしてインターネット配信をどう考えるのか、きちんと説明してほしい。

◆記者:民放連はこれまでNHKの肥大化に懸念を示してきたが、昨日の総務省の検討会におけるNHKの説明で、NHKとの考え方の“溝”は埋まったのか。

◆井上会長:NHKと敵対しているわけではないが、様々な問題を整理しないまま、やみくもにサービスを開始することは肥大化に繋がるのではないかと思う。特にローカル局への影響は大きいので、きちんと話し合う必要がある。技術の進歩は速く、取り残されてはいけないという気持ちもわかるが、2020年の東京オリンピックにしても試験的提供(検証実験)で対応可能ではないか。

◆記者:80%の世帯が受信料を支払っている状況で、その世帯を対象に常時同時配信を実施することは、NHKが事業を拡大していくことだと考えられないか。

◆井上会長:事業拡大という可能性は否定できない。だからこそ、NHKには節度ある抑制的な事業展開を求めたい。

◆記者:一連の議論の中で、NHKのピントがズレているということだが、具体的にはどういうことか。

◆井上会長:技術の進歩を優先し、いつまでに実施するというスケジュールありきの議論はおかしいということだ。放送はインターネットとどう向き合うのか、NHKがどう考えているのか、その考え方が私たち民放事業者だけでなく国民・視聴者にも行きわたっていないと感じている。

◆記者:放送法改正の議論は必要だとお考えか。

◆井上会長:必要だとは思うが、放送とインターネットは異なるメディアであるので、NHKはインターネットを利用する基準をきちんと示してほしい。

◆木村専務理事:総務省の情報通信審議会ではコストや権利処理など、同時配信に関するさまざまな課題を検討している。輻輳やディレイなど、放送にとって重要な問題の議論は、まだ行われてもいない。また、高市・前総務大臣がNHKに“三位一体改革”(業務・受信料・ガバナンス)を求めたが、そうした総体的なあるべき姿の中で、常時同時配信の位置づけが明確ではないように感じている。

◆記者:NHKの試験的提供(検証実験)では、早戻し配信・見逃し配信など新たなサービスを実施するが、これについてどうお考えか。

◆井上会長:そうしたサービスを、なし崩し的に実施されては困る。きちんと説明してほしい。

 

 

NHKのラジコでの配信について

◆記者:NHKは、ラジコでNHKラジオを地域と期間を限って実験的に配信すると発表したが、これをどのようにお考えか。ユーザーの視点でみると、ラジコとNHKの「らじる★らじる」を一本化したほうが良いと思うが、どうか。

◆井上会長:今回の実験配信は、はじめの一歩だと思う。ラジオを若者たちに浸透させるために、NHKがラジコに加わってくれることは良いことだ。NHKが決めることだが、個人的には、一本化できれば良いと思う。地方局も含め、NHKと一緒にできることをやりたいと思っており、ラジコの件は好例だと考えている。

 

 

ワールドカップ・サッカーについて

◆記者:ワールドカップサッカー・ロシア大会への日本の出場が決定したが、放送対応はどのようになっているのか。

◆井上会長:JC(ジャパン・コンソーシアム)の枠組みで取り組む。12月1日に対戦国の抽選が行われてから、どの局がどの試合を放送するのか決めることになる。国際映像の伝送など制作体制の構築については、既に準備を進めている。

 

(了)