会長会見
井上会長会見
【日 時】 平成30年1月25日(木) 午後2時~2時25分
【場 所】 民放連地下ホール
年頭にあたって
◆記者:年頭にあたって、1年の抱負・所感をうかがいたい。
◆井上会長:今年はまもなく開幕するピョンチャン・オリンピック、そして6月にはワールドカップサッカーと、大きなスポーツイベントが2つも開催される。いずれのイベントもNHKと協力して、感動やスポーツの素晴らしさをお届けしたい。また、ピョンチャン・オリンピックでは民放共同オリンピックサイト「gorin.jp」も積極的に展開する予定だ。さらに、12月には新4K8K衛星放送が始まる。関係者の皆さんには、トラブルがないよう万全の準備をお願いしたい。新しい放送を立ち上げるには困難も伴うが、視聴者の皆さんに「良かった」と言っていただけるような放送をお届けしたいと思っている。
冬季オリンピック・W杯サッカーについて
◆記者:ピョンチャン・オリンピック、ワールドカップサッカーの放送対応と準備状況についてうかがいたい。
◆井上会長:ピョンチャン・オリンピックについては、民放が生中継する注目の種目や民放共同オリンピックサイト「gorin.jp」の取り組みなどについて、昨年11月に発表しており、地上波150時間、BS28時間、gorin.jpライブ配信600時間を予定している。また、具体的な放送タイムテーブルなどの概要については、本日、発表したところだ。制作陣は既に現地入りを始めており、2月9日の開幕に向けて着々と準備を進めている。ワールドカップサッカーについては、地上民放テレビ各系列での放送試合について、昨年12月15日に発表した。ハイライト番組やネット展開等を含めた放送計画については今後、決定次第お知らせする。視聴者の注目の高いスポーツイベントなので、確実に日本に届けられるように制作体制の準備を進めている。
◆記者:オリンピックとワールドカップサッカー、いずれもメディア権料が高騰しているが、その影響についてうかがいたい。。
◆井上会長:ワールドカップサッカーは既に赤字となっているし、ピョンチャン・オリンピックも厳しい状況であり、スポーツイベントのメディア権料が高騰していくことは、大変悩ましい問題だ。従来はNHKも含めた放送局間のメディア権獲得競争であったが、最近は動画配信事業者など他のメディア事業者との競争にもなっており、放送の価値を維持するためにどう対応するか、経営者は難しい判断を迫られている。これは、NHKと民放で組織するジャパン・コンソーシアム(JC)が扱うスポーツイベントに限ったことではなく、各社が実施するスポーツイベントにも関わる問題だ。
NHKについて
◆記者:最高裁大法廷において、NHKの受信料制度を合憲とする判断が示されたが、これをどうお考えか。
◆井上会長:最高裁判決は受信料制度を合憲とするとともに、受信契約の成立にはNHKとテレビを設置した人の合意が必要だとしている。結果としてNHKに対し、公共放送や受信料制度の意義を国民・視聴者により一層丁寧に説明することを求める判決になった、と受けとめている。その前段として、最高裁判決は「国民の知る権利」に応える放送の社会的役割や公共性、NHKと民間放送の「二元体制」の意義を評価している。その点において、二元体制の一翼を担う民放事業者にとっても意義のある判決だと考えている。
◆記者:この判断が示されたことにより、NHKが強引な受信契約や徴収を求めたりする懸念はあるか。
◆井上会長:そのような事例があるとは聞いていない。NHKは丁寧な説明を要請されているし、担当者の教育をさらに徹底していただきたいと思う。
◆記者:NHKの上田会長は年頭あいさつで「公共放送の真価」「公共メディアへの進化」という2つの「しんか」について述べ、この中でインターネット常時同時配信への意欲を示したが、これをどうお考えか。
◆井上会長:「公共メディア」という言葉は、伝送路として放送だけでなくインターネットも使ってテレビ番組を届けていくということなのだろう。NHKの今後の方針を表すスローガンのようなものと理解しているが、多岐にわたる論点を含んでいる言葉でもある。インターネット時代の受信料制度の在り方とか、インターネット上の情報流通でNHKが果たすべき役割とか、NHKの業務の肥大化が懸念されるといった論点について、NHKは丁寧に説明してほしいと思う。とくに「常時同時配信がなぜ必要なのか」という疑問に対し、実証実験の結果などを踏まえ、より一層丁寧に説明することで、国民・視聴者の理解を得ることが重要になるだろう。
◆記者:現状、放送法ではNHKの常時同時配信は認められていないが、これをNHKがスローガンとして掲げることについて、どうお考えか。
◆井上会長:上田会長が新年のあいさつの中で、期待を込めて話されたことではないか。
◆記者:2018年度から3年間の経営計画が発表となったが、公共放送のあるべき規模感をどのようにお考えか。
◆井上会長:私はこれまでにも、放送の二元体制を前提とし、NHKには節度ある抑制的な事業展開を求めたい、と述べてきた。
◆記者:現在、NHKがラジコに実験的に参加しているが、例えばTVerへの参加も検討するなど、お互いに協力する体制はとれているのか。
◆井上会長:NHKと民放の実務者レベルで、どのようなことが可能なのか、そこから検討していると聞いている。
新4K8K衛星放送について
◆記者:今年の12月からスタートする新4K8K衛星放送について、準備状況をうかがいたい。
◆井上会長:4Kで放送を実施しても、それを見る受信機がなければどうしようもない。受信機メーカー各社には、4K受信機を速やかに開発・発売していただきたいし、現在普及している4K対応受信機でどうしたら視聴可能なのか、周知徹底をお願いしたい。日本の受信機メーカーの技術力を信頼しているので、きっと間に合わせてくれるはずだと思っている。
(了)