一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2019.9.19大久保会長会見

【日 時】 2019年9月19日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連地下ホール

 

NHKのインターネット実施基準案について

◆記者:NHKテレビ放送の常時同時配信の実施に向けて、NHKが意見募集を行っているインターネット実施基準の素案について、民放連の考え方をうかがいたい。特に、別枠を設けて受信料収入の「2.5%」とする費用の上限を実質的に超える案を提示しているが、これをどう考えているか。

◆大久保会長:NHKについて民放連はかねてから、業務と受信料、経営のあり方の三点を一体で改革すべきという三位一体改革の考え方に賛同してきた。常時同時配信もその観点から、受信料で運営されている公共放送の目的や使命に照らし、適正な業務なのかどうか、必要な業務なのかどうかを精査し、適正な事業規模を見極めて民間事業と競合しないよう、肥大化とならないよう、節度を持って抑制的に運営してほしいと要望してきた。そのひとつの目安として、インターネット活用業務の費用は受信料収入の2.5%以内という従来の枠組みを維持すべきだと表明してきた。この2.5%という数字は、もともとNHKが現在のインターネット実施基準で自ら設定したものだ。常時同時配信も、放送の補完として行うこととされている。そうであるならば、具体的な利用実態などをしっかりと検証しつつ、抑制的かつ慎重に取り組むべきであって、まずは現状の事業規模を維持するところから始めてほしい。そういう思いで2.5%の維持を求めてきた。今回のNHKの案は、「基本的業務」は2.5%の上限を維持するが、4つの業務は別枠で管理するとしている。この枠組み自体は、抑制的な管理、運営を行うためのものと理解はするが、これだけで私たちの懸念が払しょくされたと受けとめるわけにはいかない。基本的業務と別枠の4項目のそれぞれの上限まで費用をかけることになれば、事業規模は相当大きくなる。繰り返しになるが、NHKのインターネット活用業務は、それぞれ公共放送の目的と使命に照らして本当に必要なのか、適正な規模なのか、既存事業の大胆な見直しは行ったのか、また民間事業と競合しないのかといった観点から常に見直す必要があると考えている。それなしでは、肥大化、民業圧迫の懸念がなお残っていると危惧せざるをえない。引き続きNHKの動向を注視していきたい。これが基本的な考えだが、このほかにもNHKの今回の案には、事後チェックのあり方や東京オリンピック・パラリンピックの取り組みなど、さらにいくつかの点について民放連として意見を申しあげることになると思う。現在、放送計画委員会で審議しているので、民放連の意見がまとまり次第公表したい。

◆記者:別枠で管理する4つの業務は、民業圧迫となりうるものではないとの理解か。

◆大久保会長:個々の業務についてこれが民業圧迫だ、などとコメントする材料を持っていない。全体として抑制的に、適正な規模であるよう常に見直しをしていただきたいと考えている。

◆記者:民放とNHKの協調領域のひとつとして、TVerにNHKの番組提供が始まった。今後、協調領域をどのように発展させていく考えか。

◆大久保会長:TVerは在京・在阪の民放各社で運営している事業なので、民放連会長の立場で答えることは控えたい。ただ、放送の二元体制に基づいて、放送文化の向上を図るためにNHKと民放事業者が事業を行い、それを拡大していくことはよいことだと思う。特に、災害で送信設備等が損壊した場合の放送事業者間の互助体制の構築、放送番組の違法配信対策の推進、サイバーセキュリティ対策等を効率的に実施するために協力することは可能であれば進めていただきたい。

 

 

AMラジオ放送のあり方について

◆記者:総務省「放送事業の基盤強化に関する検討分科会」が取りまとめたAMラジオ放送のあり方に関する取りまとめ案について、民放連の考え方をうかがいたい。

◆大久保会長:民放連の要望を踏まえ、貴重な提言をいただき感謝している。ラジオが将来にわたって公共的役割を果たしていくためには、健全かつ安定した経営基盤が欠かせない。経営の選択肢としてFM転換等の方向性が示されたことは、ラジオの将来に大きな助けとなる。総務省と連携して課題解決のための検討を進め、地域社会、リスナー、広告主といった関係者の理解を得ながら、AM放送のFM放送への転換や併用を円滑に実現できるよう取り組んでいきたい。リスナーに喜んでもらえる魅力的な番組作り、地域の安心・安全に関わる報道体制の強化に経営資源をより多く当てていきたい。これがラジオ事業者共通の願いである。

◆記者:FM転換にあたり、現在AMしか聴けない地域や、災害が起きた際の対策について具体的なプランはあるか。

◆大久保会長:これから具体的なことを検討していく。

 

 

その他

◆記者:このほど就任した高市早苗・総務大臣への期待をお聞かせいただきたい。

◆大久保会長:放送行政にも明るく、知見をたくさん持っている方。放送業界の発展につながる形で放送行政を展開していただきたいという思いで、その手腕に期待している。

◆記者:高市大臣は前回任期の際、放送法第4条に違反した場合はテレビ局の停波もありうると発言していたが、こうした大臣の発言についてどうお考えか。

◆大久保会長:高市大臣は、放送事業者が自主自律により放送番組を編集することで重要な社会的役割を果たしている、放送事業者は放送法を踏まえた努力を十分している、との考えを持っておられると聞いている。放送事業者自身は自主自律の中で責任を果たしていくべきものと考えている。

◆記者:今年度に入りBPOで審理や審議がなされる番組が増えていることをどう考えているか。

◆大久保会長:BPOの委員の皆様にはご負担をおかけしていると思っている。審理や審議がされている番組の数自体についてコメントすることは難しい。それぞれの番組には個別の事情があると思うので、まとめて何かを発言することは控えたい。

◆記者:先の参議院選挙では「NHKから国民を守る党」が議席を得た。一定数の国民から支持を得たことについて、どのように考えるか。

◆大久保会長:個別政党の政治活動については意見を述べる立場にない。NHKは公共放送であるので、国民・視聴者の理解と信頼のうえに成り立っている。公共放送のあり方に関わる課題はNHKが国民の声に耳をよく傾け、自ら考えるべき課題ではないか。

 

(了)