会長会見
2020.07.16大久保会長会見
【日 時】 2020年7月16日(木) 午後2時~2時30分
【場 所】 民放連地下ホール
冒頭あいさつ
◆大久保会長:6月12日に開催した総会と理事会で、民放連会長に再任された。民放事業を取り巻く環境は新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞によって一段と厳しさを増している。民放連会長として引き続き会員社間の連携と協調に努め、この厳しい時代に立ち向かっていきたい。
2期目の抱負
◆記者:2期目の抱負をうかがいたい。
◆大久保会長:新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞によって、大きな影響を受けている会員社をさまざまな面から支援するのが第一の課題だ。地域社会に貢献する各社の取り組みや成功事例を集約し、会員社間で共有するだけでなく、信頼できるメディアとしての民放の存在意義をしっかりとアピールしていきたい。行政に対しても必要に応じて政策や制度運用に関する要望を行っていく。過去2年間、民放連が取り組んできた「放送の価値向上・未来像に関する施策」も継続していく。かねてから民放事業にとって大きな課題であった放送・通信融合に関する問題が喫緊の課題であることを、コロナ危機によって再認識した。民放事業者のさまざまな課題に対応し、特にローカル局の経営の参考になる情報の共有に引き続き努力していきたい。
新型コロナウイルスの影響について
◆記者:新型コロナウイルスの民放経営への影響はどの程度か。また、コロナに関する民放各社の報道や取り組みについても教えてほしい。
◆大久保会長:民放連研究所が6月に会員社に行ったアンケート調査によると、2020年4-6月期の営業収入は、テレビ全体で約26%減、ラジオ全体で約23%減となっている。2020年度通期でもテレビ・ラジオとも20%弱の収入の落ち込みになるようだ。各社は経営努力でこの危機を乗り越えていくと思う。視聴者・リスナーは、コロナウイルスに関する情報に高い関心を持っている。各社とも正確で信頼されるニュースの提供にこれまで以上に力を入れ、報道機関として社会的責任を果たさなければいけないという強い責任感で放送を続けている。また、子どもたちに向けた絵本の読み聞かせやネットで楽しんでもらう取り組みも各地の放送局で見られた。こうした事例を互いに参考にできるよう民放連のウェブサイトに掲載している。
NHKについて
◆記者:総務省の有識者会議(公共放送の在り方に関する検討分科会)で受信料制度の見直しが論点の一つになっているが、民放連の考えを聞かせてほしい。また、4月にスタートしたNHKプラスをどう評価しているか。民放の同時配信はいつから始まるのか。
◆大久保会長:5月に開かれた総務省の公共放送分科会で、民放連は「受信料水準の高さと若者のテレビ離れとの関係についての懸念」を述べた。6月の同分科会で提示された「受信料制度の在り方に関する論点」には、我々がこれまで示してきた懸念も反映されている。今後このテーマがどのように論議されていくのか、重大な関心を持って注目していきたい。NHKプラスは開始してまだ3カ月であり、新型コロナウイルスの感染拡大といった新たな要素もあるので、まずはNHK自身の評価が先だと思う。民放の同時配信は各社がそれぞれ経営判断されることであり、民放連会長としてコメントすることは控えたい。
◆記者:NHKが2019年度の決算を発表したが、内部留保も1,200億円を超えており数字のうえでは肥大化が顕著になっている。民放とNHKの二元体制を維持していくために、NHKの現在の経営状態をどう考えているか。
◆大久保会長:かねてから申し上げている通り、NHKは受信料を広く一般から集めて運営する事業体であり、公共放送としての目的、使命に照らして適正な規模を精査していくべきだ。NHKがこれから策定する中期経営計画や事業計画の中でどのような将来像を示すかを注目しており、パブリックコメントなどで民放連としての見解を示していきたい。
番組と広告の識別の問題について
◆記者:番組と広告の識別の問題をめぐり、民放テレビ2社の番組について、BPOが6月30日に見解を公表した。2017年5月に民放連が「番組内で商品・サービスなどを取り扱う場合の考査上の留意事項」を作成してからも、番組と広告の識別の問題が相次いでいることや今後の対応策をどう考えているか。
◆大久保会長:繰り返し放送倫理違反の指摘を受けていることは重く受け止めたい。BPOの意見書は「民放連や民放各局の自主的・自律的な精神と姿勢で検討されるよう望みたい」と述べている。民放連としても、放送基準や「留意事項」を各社に改めて浸透していくよう施策を検討していく。各社でも社内で研修会を開くなどで理解を深め、再発防止に努めてほしい。
◆記者:コロナ禍が地方局の収入に影響を与えている中で、この件をどう考えているか。
◆大久保会長:コロナは放送事業者に大きな影響を与えているが、番組と広告の識別の問題は次元が異なると思う。識別の問題は視聴者・リスナーの信頼にかかわるため、民放連がこれまで示してきた基準や見解などを遵守していくべきだ。
番組問題について
◆記者:フジテレビの「テラスハウス」の出演者が自殺した件で、親族がBPOに人権侵害の申し立てを行ったことについてどう考えているか。
◆大久保会長:番組に出演されていた方がお亡くなりになられたことは大変残念なことだと思っている。個別の番組については、当該社が責任を持って対応するものなので、民放連会長としてコメントすることは控えたい。
ラジオについて
◆記者:民放連加盟社であったエフエム局2社が6月いっぱいで放送を終了した。民放連として、どのように受けとめているのか。
◆大久保会長:放送終了は非常に残念だ。コロナ禍の影響がどの程度あったかなど詳細な理由はわからない。ラジオ各社は長いトレンドで見ると厳しい状況にあるが、媒体価値は見直されてきている。ラジオ局が元気になるような媒体価値向上の工夫や施策を検討し、具体化していきたい。
(了)