会長会見
2021.01.28大久保会長会見
【日 時】 2021年1月28日(木) 午後2時~2時20分
【場 所】 民放連地下ホール
○ 年頭にあたって
◆記者:年頭にあたって、1年の抱負・所感をうかがいたい。
◆大久保会長:昨年は日本はもとより世界中がコロナウイルスの感染拡大に苦しめられた1年だった。年が明けても感染は収まるどころか感染力が強いと言われる変異型のウイルスも広まっている。東京都などが緊急事態宣言を発出し、最近はやや感染者が減少する兆しも見えるが楽観できない状況が続いている。こうした厳しい状況の中で、崩壊寸前の医療現場を支えている医療従事者の皆さんには心から敬意と謝意を表したい。私たち放送事業者も正確で信頼される情報を提供し、メディアとしての責任を果たしていく決意を新たにしている。コロナウイルスの感染拡大を契機に、デジタル化をはじめとする経済社会の構造変化が加速している。民放業界もこの変化の大波に翻弄され、厳しい状況に直面している。こうした変化の時代に対応できるよう、民放連としても会員各社の事業、経営の役に立つ情報の収集と提供に一層力を入れていきたい。昨年6月に公表した2期目の「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」の具体化をしっかりと進めていく。今年は1951年に民放連が発足して70年の節目の年であり、11月の民放大会を中心に70周年関連事業をいくつか計画している。前途に横たわる多くの課題に対してしっかりと取り組む1年にしたい。
○ コロナ下の民放について
◆記者:緊急事態宣言が再び発令されているが、民放の経営状況にどう影響を与えているか。また、民放事業者としてどういった点に心がけて放送を行っているか。
◆大久保会長:民放連は先ごろ、会員各社の2020年度中間決算の概況を民放連のウェブサイトに公表した。売り上げ、経常利益ともに極めて厳しい数字であり、損失計上の社数は昨年に比べて大幅に増加した。第3四半期(10-12月期)の広告出稿は持ち直したかに見えたが、年が明け緊急事態宣言が再発令され予断を許さない状況だ。民放各社はこの難局を乗り越えるべく、いっそうの経営努力を続けていると思う。テレビ・ラジオが伝える情報が視聴者・リスナーに信頼され、頼りにされていることが前回の緊急事態宣言の時に確認されている。正確な情報を届ける報道機関の役割と責任を肝に銘じて、各社とも日々の放送にあたっていると思う。家で楽しく過ごしてもらえる娯楽を届けるのも放送事業者の大切な役割であり、各社ともに創意工夫に力を入れている。ローカル局は地域社会の一員として地域の発展に貢献できるよう、例えば売り上げが激減した飲食店の支援キャンペーンを行うなど積極的に取り組んでいる。
○ NHKについて
◆記者:NHKの中期経営計画に示された改革の内容について、どのように受け止めているか。受信料の値下げについてどう考えているか。BS減波の方針をどう考えているか。これでNHK改革は十分と考えているか。
◆大久保会長:民放連はこれまで、NHKの「業務・受信料・経営の在り方」のいわゆる“三位一体改革”に賛意を示してきた。今回の中期経営計画では2023年度に衛星波を減らし、受信料の値下げを行うことが盛り込まれている。こうした点は民放連の主張がある程度受け入れられたものだと受け止めている。NHKは考え方を公表したので着実に実施していただけると思うが、詳細は詰まっていないので引き続き動向を注視したい。衛星波の削減は、単にチャンネルを減らすということでは国民・視聴者への放送サービスの縮小という印象を持たれかねないと懸念する。衛星放送の将来像を明確に示していただき、国民・視聴者に十分に説明を尽くしてもらいたい。いずれにしても、国民・視聴者の納得が得られて初めてNHKの改革は進むと思う。国民・視聴者の声に真摯に耳を傾ける姿勢を大切にしてもらいたい。これで改革が十分かどうかは、我々よりも国民・視聴者が判断されることだと思う。
◆記者:NHKのBS番組制作には民放事業者の関連会社も制作にかかわっていると思うが、減波の影響はあるか。
◆大久保会長:事業規模の適正化の観点で削減をするのだと思う。それ自体は理解している。衛星放送の将来像を示し、国民・視聴者の十分な理解を得ていただくことを願っている。
○ 東京オリンピックの放送について
◆記者:IOCバッハ会長が中止や代替案は考えていない旨の発言をしているが、民放として開催についてどう考えているか。
◆大久保会長:IOCや組織委員会、国、東京都などが安全に実施できるよう鋭意対応を検討し努力されており、開催の可否について現段階で私からお話しできることはない。IOC等の検討の状況をこれからも見守っていきたい。私たちはあらゆる状況になっても対応できるよう、国民の期待に応えるオリンピック放送を行うという意識を持ち、引き続き準備を進めていく。
(了)