一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2021.09.16大久保会長会見

【日 時】 2021年9月16日(木) 午後2時~2時25分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○ 東京オリンピック・パラリンピックについて

◆記者:東京オリンピック・パラリンピックが閉幕した。コロナ禍の中での大会となったが、番組制作をはじめ、視聴者からの反響など、大会全体を振り返り総括や感想を聞かせてほしい。

◆大久保会長:われわれはライツホルダーとしてオリンピック放送を届ける使命を担っている。様々な問題があり困難な状況ではあったが、民放事業者として多くの国民の皆さんの期待に応える放送ができたのではないかと思っている。地上波テレビについては、自国開催ということでNHKとも協力してこれまでを大きく上回る相当な分量の放送を届けることができた。インターネット配信は民放テレビの共同サイト「gorin.jp」を中心にTVerなどとも連携して、ほとんどの競技を広くライブ配信した。ハイライトの配信も行い、いずれも好評だったと聞いている。パラリンピックは民放として初めて地上波テレビで競技中継とハイライトを放送した。多少なりとも大会の盛り上げに寄与できたのではないかと思っている。ラジオはオリンピック開幕前から1日3回、99局すべてが情報ベルト番組を放送し、新しく採用されたスケートボードなどのルールやさまざまな競技の魅力、メダルを獲得した日本人選手の喜びの声をタイムリーに伝えた。自国開催だったのでラジオもこれまでにない放送時間を費やし番組をお届けした。最終日は男子マラソンの実況中継を行い、増田明美さんに解説に登場していただいた。ラジオならではの実況中継、放送をお届けでき、リスナーの皆さんに喜んでいただけたのではないかと思っている。

◆記者:「gorin.jp」の利用状況についての評価を聞かせてほしい。

◆大久保会長:「gorin.jp」の実務担当者がどのくらいの目標を置いていたのか詳細を把握していないので、具体的な評価については私から今申し上げることはできない。さまざまな競技を配信で展開することで、ネットを通じてオリンピックを楽しもうという人たちの期待には十分応えられたと思っている。

◆記者:オリンピック以外のスポーツでもネット配信の実施を検討しているか。

◆大久保会長:オリンピックは民放とNHKがJC(ジャパン・コンソーシアム)の枠組みで対応しており、「gorin.jp」でも配信を実施した。それ以外のスポーツ競技はそれぞれの放送局がそれぞれの経営判断で配信の実施の有無を決めると思う。

◆記者:今大会の収支状況を教えてほしい。

◆大久保会長:オリンピックの収支は契約に関係することもあり、具体的な金額など詳細の回答は控えたい。テレビについては放送権料をはじめ、長時間の放送を行う制作費など莫大な経費がかかった。各局がそれぞれ独自に制作している関連番組もあり、これらを含め全体としての収支が整う状況ではなく、赤字である。今大会に限らずここ数回の大会と状況は変わっていない。民放にとっては大きな支出を伴うが、国民的行事であるオリンピックの放送は民放としての責任や役割を果たしていくために行っている。

◆記者:コロナ禍や開催をめぐる賛否はオリンピック放送の収支に影響したか。

◆大久保会長:全体としては支援してくださるスポンサーが大変多く、広告会社にも多大な協力をいただきありがたかった。ただ自国開催ということもあり、これまでの大会よりも放送時間が長かったことなどで、全体としての収支は厳しかった。

◆記者:大会中は新型コロナ感染者も増え、自然災害もあった。大会期間中のオリンピックに関する放送とコロナや災害報道などの兼ね合いはどう評価しているか。

◆大久保会長:各社がそれぞれの判断で、オリンピックを含め報道すべきことを取り上げていたと思う。各社の判断に問題があったとは思っていない。

 

 

○ NHKの社会実証について

◆記者:NHKがテレビを持っていない層にもNHK+(プラス)を利用してもらう実証実験を始めることについて、民放連はどう考えているか。

◆大久保会長:NHKが公表した「社会実証」は、総務大臣の要請に基づき、テレビを持たない層のニーズやNHKに期待する役割を把握するための新たな取り組みだと理解している。具体的な計画が明らかになっていないため、現時点では何とも申し上げられない。一般論として言えば、テレビを持たない層に対するリーチはNHKに限らず民放事業者にとっても大きな課題である。どのようなデータや知見が得られるか注目している。NHKにはできるだけ早く具体案を示して、関係者の意見も聞きながら丁寧に進めるようお願いしたい。得られたデータは民放事業者も含めて広く共有いただくことをお願いしたい。

◆記者:NHKがパブリックコメントを実施しているが、具体案が判明してから表明したいということか。

◆大久保会長:NHKには具体的な計画を早く示してほしい。パブリックコメントに対しては民放連の放送計画委員会が会員社の意見を聞き、見解をまとめることになっている。

 

 

○ 総裁選報道について

◆記者:立憲民主党の幹部が「衆院選が近づく中でテレビ報道が自民党の総裁選一色になっていることに懸念がある」と発言している。番組をチェックするとの考えも示しているが、どう受け止めているか。

◆大久保会長:個別の番組内容にかかわることについて私から述べることは控えたい。一般論として、放送事業者は「放送基準」や「報道指針」などに基づき、国民の関心事を分かりやすく、バランスをとって報道することに日々注力し番組制作している。

◆記者:発言は放送局への圧力とも捉えられるがどう考えるか。

◆大久保会長:具体的な話を伺っていないのでコメントは控えたい。

 

 

○ 放送のインターネット同時配信について

◆記者:著作権法が改正され、キー局をはじめ放送のインターネット同時配信の実施に拍車がかかると思う。地方局の懸念もあると思うが、法改正を受けて業界団体として取り組むべきことがあるか。

◆大久保会長:改正著作権法には基本的に賛成の立場だが、同時配信の実施と結びつけて個々の事業者がどうするかのコメントは控えたい。

 (了)