会長会見
2022.01.27大久保会長会見
【日 時】 2022年1月27日(木) 午後2時~2時30分
【場 所】 民放連地下ホール
○年頭にあたって
◆記者:年頭にあたって、1年の抱負・所感をうかがいたい。
◆大久保会長:昨年に続き、今年も新型コロナウイルスの感染拡大で経済社会が甚大な影響を受けており、先の見通せない厳しい年明けとなってしまった。民放連会員社はコロナ関連の報道に全力で取り組んでいる。昨年秋に全国紙が世論調査を行ったところ、民放テレビはコロナに関する情報を得るうえで特に信用しているメディアのトップに挙げられた。インターネットは情報を得るうえで便利なツールだが、フェイクニュースや社会を分断する弊害が目に付くようになっている。これにしっかりと歯止めをかけて健全な民主主義社会を維持していくためには、事実に基づいた信頼される情報を常に国民に届けていくメディア、新聞社、通信社、そして放送事業者が必要だと思う。民放事業者もこれまで以上に視聴者・リスナーに信頼される情報を提供しなければならないと思っている。このことがテレビ離れと言われる最近の傾向に歯止めをかけ、放送の価値を再認識してもらうことにつながると思う。放送業界の課題はたくさんあるが、今年もこうした気持ちで一つ一つ取り組んでいきたい。放送制度改革への対応、民間放送事業を維持発展させるための民放連としての支援活動、広告媒体としての価値向上を図る活動などにしっかりと取り組んでいきたい。
○総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」について
◆記者:総務省の検討会で、マスメディア集中排除の原則が議論されているが、民放連としてどのように考えているか。各社からはどのような要望を届けてほしいとの声があるか。
◆大久保会長:昨年12月の検討会のヒアリングで、民放連は各社の要望を幅広く汲み取って議論してもらうよう総務省に要望した。 そのうえでフジ・ メディア・ ホールディングスとテレビ朝日ホールディングスの2社が、個社の経営戦略や系列のネットワーク戦略を踏まえて先日、意見を述べた。民放事業者の経営の選択肢の拡大につながることを前提として議論が行われることを歓迎する。総務省は出された要望を汲み取り、放送界全体の発展につながるかたちでの議論を進めてほしい。民放連として各社の要望をとりまとめているわけではないので、各社の具体的な考えについてコメントできない。
◆記者:インターネット上にフェイクニュースが存在する中で、総務省検討会の有識者は情報の健全性を担保し、メディアの使命を果たすために放送事業者はインターネットに進出すべきだとする意見を強調しているように思うが、どのように受け止めているか。
◆大久保会長:放送事業者がインターネット事業をどう展開していくかは、各社それぞれ関心を持ち取り組んでいるが、各社個別の経営判断に基づくものなので、民放連会長としてコメントすることは控えたい。検討会での有識者の発言は詳細を把握していないので、どのような意見があるかは改めて把握して参考にしたい。
◆記者:NHKとの放送設備に関する協力も議論されているが、私見があれば教えてほしい。
◆大久保会長:昨年の国会に提出された放送法改正案にNHKとの協力について盛り込まれていたが、廃案となり実現しなかった。今通常国会で再提出されると聞いているので、NHKと民放の協力が前進していくのであれば基本的には歓迎したい。地上波放送局の設備の共用やブロードバンド代替がテーマになっているようだが、コスト負担や技術的な問題、条件不利地域のブロードバンドの整備状況など多くの課題があると認識している。検討が深まれば具体的な選択肢として採用できるかどうか見えてくると思うが、現状では実現の可能性を慎重に見極める必要があると思う。総務省はできるだけ関係者の意見をよく聞いて進めてほしい。
○ NHKの予算と事業計画について
◆記者:NHKの次年度予算案と事業計画案が明らかになった。民放連としてどう受け止めているか教えてほしい。特に社会実証への考え方を聞きたい。
◆大久保会長:支出規模を圧縮して収支均衡の予算になったと聞いているが、2023年度には受信料値下げと衛星波の1波削減が予定されている。2022年度の事業計画や予算案は、改革の道半ばと受け止めている。改革の行く末を注意深く見守っていきたい。「社会実証」はいつからどれくらいの規模で、どのようなコンテンツを流すのか、具体的なことが明らかになっていない。計画を練っているところだと思うが、具体的な計画はできるだけ早く公表して、関係者の意見を聞きながら進めてほしい。
○ 北京冬季五輪について
◆記者:まもなく北京冬季オリンピックが開かれる。コロナ禍での開催となるが、どのように対応するのか。視聴率の期待も教えてほしい。
◆大久保会長:コロナ対策を講じつつも、基本的には従来の大会と同じ対応を行うべく準備を進めている。今日あたりが各局のスタッフが現地入りするピークだと思う。コロナ対策で取材面等で制約を受ける場面もあると思うが、東京大会の経験も生かし、国民の皆さんの期待に応えられる放送をお届けしたいというのが携わっている者たちの一致した気持ちだ。視聴率について現段階で具体的なことを申しあげられるような材料はないが、時差が1時間しかなく、日本人選手に相当活躍してもらえるという期待感が高まっているので、多くの皆さんにご覧いただけると期待している。
○ 放送のインターネット同時配信について
◆記者:キー局の同時配信の開始が遅れているとの報道があるが、どのように受け止めているか。TVerから聞いていることがあれば教えてほしい。
◆大久保会長:TVerのことはTVer社に聞いていただければわかると思う。
◆記者:民放連としてはTVer社に「早くしてほしい」といった働きかけはしないという理解でよいか。
◆大久保会長:その通りだ。
○ 視聴データの収集について
◆記者:総務省では視聴データ収集について検討会が続いている。インターネットにつないだテレビで視聴データを集めることについて、視聴者に告知する民放連のモデルは、いつどういったものを示すのか。
◆大久保会長:具体的対応は放送計画委員会で検討している。総務省の検討会ではヒアリングに答えているが、民放連としての正式な対応はこれからだ。
◆記者:視聴データをどのように取得するかなど、取り扱いに関する考えを教えてほしい。
◆大久保会長:同じコンテンツでも放送と通信の伝送路で得られるデータは相当異なる。放送コンテンツの価値向上や広告費の増収につながるのではないかと考え、調査研究を民放連で進めている。個々の具体例で分析する必要があり、一般論として説明はできない。
○ 会長任期について
◆記者:民放連会長の任期が今年の6月で満了する。次期会長選出のスケジュールや大久保会長自身の続投の意志を教えてほしい。
◆大久保会長:6月に私の2期目の任期が終わる(6月10日の定時総会終結時まで)。本日の民放連理事会で会長推薦委員会の設置が決まった。今後は会長推薦委員の皆さんが私の後任の会長の選考に当たってくれると思う。私に続投の意思があるかないかということだが、続投の意思はない。任期中の責任をしっかり果たしたいと思う。
(了)