会長会見
2022.11.18遠藤会長定例会見
【日 時】 2022年11月18日(金) 午後2時~2時25分
【場 所】 ホテルグランドアーク半蔵門
○NHKの経営計画修正案について
◆記者:NHKの経営計画修正案において、受信料の大規模な値下げが示されたが、三位一体改革についてどのように評価しているか。
◆遠藤会長:前田会長のリーダーシップの元で、事業収入の圧縮と、将来的な業務のスリム化に一定の道筋をつけたものと考えている。経営計画修正案に対する民放連意見はホームページで公表しているとおりであり、今回の受信料の値下げについて評価しながら、三位一体改革の推進を引き続き期待している。受信料・業務・ガバナンスを、公共放送として常に意識してほしいことに変わりはない。
◆記者:NHKが繰越金を民放との協力のために充てるとしているが、どのようなことを期待するか。金額の規模は適正か。
◆遠藤会長:まだNHKから具体的な提案は出ていないように思う。提案を頂いたら検討し、是々非々で申し上げたい。インフラ面を中心に協力できることは喜ばしい。
◆記者:民放大会のあいさつで民放同士や民放とNHKとの協調について発言していたが、この真意を聞きたい。
◆遠藤会長:海外メディアが(日本に)進出し、さまざまなインフラが発展するなど、この数年でいろいろなことが起きている。民放同士で切磋琢磨する側面はもちろんあるが、テレビ収入が毎年2ケタ伸びていた時代とは違い、競争領域よりも協調領域が増えたと実感している。
◆記者:NHKに対する民業圧迫や肥大化への危惧や警鐘があまり聞かれなかったように思うが、どうか。
◆遠藤会長:(放送ネットワークの維持など)技術面での協力はNHKにリーダーシップをとってほしい。一方で、NHKのインターネット業務などに対する向き合いは是々非々で考えたい。
○FIFAワールドカップについて
◆記者:明後日(11月20日)からサッカーのワールドカップが開幕する。日本代表へのエールを聞かせてほしい。
◆遠藤会長:2018年はベスト8まであと一歩だった。強豪リーグに入ったので、ドイツやスペインとどんな戦いをしてくれるか期待している。一視聴者に立ち戻って拝見したい。
○ 2022年を振り返って
◆記者:2022年の放送界を振り返っての所感を聞かせてほしい。
◆遠藤会長:民放大会でもお話ししたが、テレビとラジオはそれぞれ従来の放送を中心としながらデジタルメディアをも扱う複合的な事業に変貌しており、今年もそれがより一層進んだと思う。民放連としての取り組みではないが、今年は民放テレビ5系列が揃ってリアルタイム配信をスタートさせた年だ。視聴者の利便性に応える民放の新しい取り組みは進んでいくと思う。私自身は6月に民放連会長に就任し、「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」を発表した。社会のあらゆる変化に対応し、視聴者・リスナー、地域社会からのニーズに応え続けなくてはならないし、それがメディアの使命だと思う。例えば、視聴者・リスナーに信頼される放送を守っていくために、民放連放送基準の改正を5月に決定した。来年4月に施行するが、ネットメディアとの競争を勝ち抜くための新しいルールにしたい。字幕付きCM普及推進協議会のロードマップに沿って、10月からすべての放送枠で字幕付きCM素材の受け入れを開始した。より多くの方々にテレビCMをお楽しみいただけるようになってきたと思う。総務省の有識者会議では、▽マスメディア集中排除原則の緩和、▽放送ネットワークインフラの将来像――について活発な議論が行われ、これまでにない大胆な提言が行われた。スピード感が強くなり、放送に関する既成概念から脱却し始めたと感じる。ウクライナ情勢を受けた原材料価格の上昇、円安など、非常に厳しい状況だが、放送に関わる全ての人と知恵を出し合いこの難局を乗り切りたい。
○ ネットフリックスの広告付きサービスについて
◆記者:ネットフリックスが広告付き視聴プランを開始したことへの問題意識を聞きたい。
◆遠藤会長:ネットフリックスの広告付き視聴プランの開始は、大変唐突であり、進め方が非常に強引だったとの印象を持っている。大変残念であり、不快に思っている。コンテンツ提供の前提条件が唐突に変わってしまったことについて、ネットフリックスから民放事業者に対して事前に十分な説明や調整が無かったことが原因だ。放送局側が意図しないCMが放送コンテンツと一緒に流れることは非常に大きな問題である。民放にとっては初回放送時の提供スポンサーとの競合の懸念や、放送局が行うCM考査が機能しなくなるなど、さまざまな問題が発生しており民放各局が対応に追われている。NHKはCMを削除するよう対応していると思うが、NHKのコンテンツにCMが流れることは「NHKインターネット活用業務実施基準」に抵触し、より深刻な問題だ。ネットフリックスには問題の解決に向けて、放送事業者としっかりと向き合ってほしい。
○ 日本民間放送連盟賞について
◆記者:日本民間放送連盟賞のグランプリ受賞作についてどのような印象を受けたか。
◆遠藤会長:グランプリ候補作品は非常にバラエティーに富んでおり、以前の番組コンクールと比べると多彩になった印象だ。地方局の制作力が向上していると感じる。
(了)