会長会見
2023.06.09遠藤会長定例会見
【日 時】 2023年6月9日(金) 午後3時30分~4時
【場 所】 ホテルニューオータニ
○NHKについて
◆記者:NHKはBS番組をNHKプラスで配信することを前提とした支出を計画していた。この問題に関する見解を伺いたい。総務省の公共放送WGでNHKがネット業務の必須化についての考え方を示しているが、これまでの説明で十分理解できたか。説明が足りない点はあるか。
◆遠藤会長:(民放連の見解は)6月7日の総務省の公共放送WGでご説明したとおりだ。NHKのガバナンスおよび内部統制に問題があったのだろう。再発防止を含め、NHKが今後どう取り組むかを注視していきたい。NHKのインターネット活用業務の必須業務化が必要か否かの議論は、NHKの情報の公開を前提に行ってほしい。前回の会見でも具体的にいくつかのポイントを申し上げて、NHKに説明をお願いした。実感としてはまだそれが果たされていない。5月のNHKの会長会見で稲葉会長は、記者からの質問に対し、「『具体的に』というのはなかなか表現が難しいが、抽象的にもう少しくっきりとは言える」と話されていた。NHKは何をおやりになって、何をおやりにならないかをもう少し発信してもらうことが肝要だ。放送におけるNHKと、インターネットにおけるNHKが、全く同義になってしまえば、結果として際限のない業務の拡大に至ってしまう。NHKにやることとやらないことを提示してもらうのは、この問題を解くために欠かせない。
◆記者:一部の役員の稟議で重要な決定が行われていたことをどう考えるか。
◆遠藤会長:再発防止策を含め、NHKから経緯や今後について、詳細が示されると思うのでそれを待ちたい。
◆記者:経営委員会のあり方についてどう考えるか。
◆遠藤会長:経営委員会の議事録を見たが、会長と経営委員長のやり取りについて私がコメントするのは適当でない。
◆記者:仮にNHKがネットでBS番組の配信を行った場合、民放にどのような影響があるか。
◆遠藤会長:本来認められていないBS番組の配信を予算に盛り込むことを承知していなかった。この問題をクリアにしてもらうことが先だ。
◆記者:NHKは予算の執行前に是正したので違法性は解消したと主張しているが、どう受け止めているか。
◆遠藤会長:NHKとはさまざまなことを俎上に載せて議論を行っている中で、過去の問題とはいえこのようなことが浮上してくることには心穏やかではない。
◆記者:総務省の公共放送WGでの議論に影響はあるか。
◆遠藤会長:直接BSのことを話し合っているわけではないのでダイレクトにはないと思うが、こうしたことが起きるといろいろな推測を呼ぶ。クリアな説明をいただきたい。
◆記者:新聞協会は総務省の公共放送WGにもう少しじっくり議論するよう求めているが、民放連の考えはどうか。
◆遠藤会長:議論の前提となる答えが(NHKから)来ていないのではないか。
○改正放送法・電波法について
◆記者:改正放送法・電波法が成立した。異なる放送対象地域で同一番組を放送できるようになった。この制度に何を期待するか。
◆遠藤会長:放送局、特にローカル局の経営は年々厳しくなっているが、新しい制度が決まったからといって、すぐに何か動きがあるわけではないと思う。
◆記者:中継局の設備を共同利用することも可能となった。今後具体的にどのように進みそうか。民放に協力することになっているNHKへの期待も教えてほしい。
◆遠藤会長:話し合いが始まったところだ。民放にとって非常に大事なプロジェクトなので今後慎重にNHKと進めたい。
○ジャニーズ事務所の問題について
◆記者:ジャニーズ事務所の問題に関連し、ハラスメント全般に関して業界としてどのような姿勢で臨んでいくか。業界として再発防止策は考えられるか。
◆遠藤会長:放送番組は放送局や制作会社、芸能プロダクションなどさまざまな方の協力を得て作られている。放送局だけでなく、ご協力を頂いている方とともに十分留意しないと番組を毀損することがある。お互いに注意していくことが肝要だ。
◆記者:ジャニーズ事務所創業者の性加害問題について、民放の報道での扱いが遅かったことが、ネット上でテレビは信頼できないとの言説が広まった原因ではないかと考えるが、どのように受け止めているか。
◆遠藤会長:非常に厳しい、デリケートな問題でもあるので、扱い方は十分注意する必要があったのだと思う。個別の案件の取り上げ方についてはコメントを差し控えたい。
◆記者:業界団体として事務所に対して発表や会見を求めないのか。
◆遠藤会長:性被害は告発する権利もあるし、沈黙を守る権利もある。事務所側がどのくらい完全な解明ができるかは非常に微妙なところだ。
○BPOについて
◆記者:BPOが7月で設立20年を迎える。BPOの存在で放送がどう変わったと感じるか。
◆遠藤会長:放送の自主・自律を担保するための一定の役割を果たしていただいたと思う。
◆記者:インターネットでもBPOのような存在が必要ではないかとの指摘についてどう考えているか。
◆遠藤会長:意見がわかれる問題だ。議論は始まったばかりだと思う。
○記者会見のあり方について
◆記者:この会長会見は今回から人数制限がなくなったが、行政の会見などで、記者会見の人数制限がコロナ以前に戻っているところとそうでないところがある。報道する立場でどのように考えているか。
◆遠藤会長:状況が許すのであれば従来の形に戻すのが良いと思う。記者と直接対峙して息遣いを伺いながらお話するのが良いと思う。
◆記者:キー局の社長会見では会見の参加人数の制限を残している社があることをどのように考えているか。
◆遠藤会長:マスクの着用が個人の判断となっているように、どれが正しくてどれが正しくないということではないので、各社の判断を尊重したい。
(了)