一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2023.09.21遠藤会長定例会見

【日 時】 2023年9月21日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○ジャニーズ事務所について

◆記者:ジャニーズ事務所の新しい経営体制についてどう思うか。

◆遠藤会長:今回の事案のような人権侵害が許されないことは言うまでもない。過去にジャニー喜多川氏が少年たちにおこなった数々の行為が性加害であり、重大な人権侵害であるとの認識を、民放を含む多くのメディアが持てなかったことは事実で、反省しなければならない。人権に関する認識が不足したまま、何らアクションを起こさずにビジネスを続けていた。今後このようなことを繰り返さないようにしなければならない。民放連は、従来から自ら定めた報道指針で「報道活動は、公共性、公益性に基づいて、あらゆる権力の行使を監視し、社会悪を徹底的に追及する」との基本姿勢を掲げている。再発防止特別チームから「マスメディアの沈黙」と指摘されたことは、この基本姿勢に照らして重く受け止めている。人権に関する民放連の基本姿勢をあらためて議論し、確認し、アップデートした形にしなければならないと考えている。何をニュースとして報道するかは、各社が自主・自律的に判断するものであるので、過去の報道姿勢についてはそれぞれの社がかえりみるべきだ。所属タレントの起用については、ジャニーズ事務所の今後の対応を見ながら各社が判断することだと思う。所属タレントが出演するCMの放送についても、広告主企業にいろいろな考え方がある中で、各社が広告主の意向を尊重して対応することなので、民放連としてのコメントは控える。いずれにせよ、被害者への救済・補償が早期になされることが最も肝要だ。来月初めには、ジャニーズ事務所から更なる対応が発表されるとも聞いているので、その対応を注目している。

◆記者:民放連としてジャニーズ事務所に対しての要望や検証を行っているか。

◆遠藤会長:民放連が特定のプロダクションに要望することはないが、人権に関しては重たいテーマなので冒頭で発言した。

◆記者:各社の10月改編でのジャニーズ事務所のタレントの起用についてどう考えているか。

◆遠藤会長:キャスティングを継続している社もあれば、スポンサーの中にはCMを打ち切る社もある。ある形に落ち着いていくと思うが、被害者の救済を含めた今後のジャニーズ事務所の方針が大きな要素だと思う。

◆記者:当事者の会がメディア各社も資金を供出する形での被害者の救済を提案している。民放連として何か考えはあるか。

◆遠藤会長:民放連加盟社には様々な社があり、全国ニュースを制作していない社もあれば、大手事務所と恒常的な付き合いがない社もある。民放連としてという形で考えることは難しい。

◆記者:遠藤会長が民放連の立場でフジテレビに何か提案することはあるか。

◆遠藤会長:ない。民放各社は公式あるいは非公式にジャニーズ事務所に申し入れ等をしている。

◆記者:人権に関して新たな基準を作るなど具体的な考えはあるか。

◆遠藤会長:具体的には決めていない。会員社が人権やハラスメントについて考える際のよすがとなるようなものを早期に考えたい。

◆記者:報道に関してはどうか。

◆遠藤会長:民放各社が独自に判断するべきだと思う。

◆記者:来月のジャニーズ事務所の会見の後に民放連として何かコメントを予定しているか。

◆遠藤会長:現時点で予定していない。

 

○10月改編について

◆記者:来月から各社で10月改編が始まる。ここ数年のテレビ各社の編成を見ていると、ドラマ枠が増えたり、バラエティ番組がすぐに交替したりしているが、遠藤会長は最近のテレビ編成をどのように見ているか。

◆遠藤会長:TVerやプラットフォームなどでの収益性が高いので、ドラマ番組は増えたと思う。バラエティ番組は若い世代のニーズが細分化されており、腕の見せ所である一方、高い視聴率を継続することが難しくなったと思う。

 

○NHKについて

◆記者:総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」でNHKの役割やNHKと民放との関係について議論されていた。稲葉NHK会長が就任して半年以上経つが、この間、遠藤会長は稲葉会長と放送の課題について深く話し合ったことはあるか。

◆遠藤会長:稲葉会長とはいろいろなイベントでご一緒することが多く、お話する機会があった。具体的な話をここで紹介するのは差し控えたいが、民放とNHKの二元体制のもと、ともに放送の価値を引き上げていかなければならない思いは共有していると思う。

◆記者:総務省の検討会では受信料制度に関し根本的な議論が無かった。遠藤会長は放送法64条についてどのように考えているか。今の時代にも継続すべきと考えるか。

◆遠藤会長:受信料制度の考え方をどう再構築するかはテーマとして突き付けられている。NHKのインターネット活用業務が進展する中で、NHKのあるべき姿は浮き彫りになっていくのではないか。受信料を放送全体の発展のために使うことはリーズナブルだと思う。受信料制度の是非についてきょうお話することは控えたい。

◆記者:総務省の検討会がとりまとめたNHKのインターネット活用業務の必須業務化への受け止めを教えてほしい。

◆遠藤会長:まだ積み残しの部分があると思う。我々にとって最も切迫しているのは公正競争の部分。法的な枠組みがないと何かあった時のよすががない。理解増進情報は無くなるが、NHKにはこれまで以上に、何をやって何をやらないのかを明確にしてもらう必要がある。公正競争のための第三者的な組織を設置すると思うが、まだわからない部分も多く、今後注視したい。

◆記者:公正競争の枠組みについて民放連の考え方を教えてほしい。

◆遠藤会長:(公正競争確保に関するNHKの責務を)法定化してほしい。

 

(了)