一般社団法人 日本民間放送連盟

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トピックス

大久保会長年頭あいさつ

 

 

 一般社団法人 日本民間放送連盟

 会 長  大 久 保 好 男

 

謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 

 平成から令和へと時代が変わり、初めての新年を迎えました。新春の清々しい空気に心をあらたにして、私たちが考えていかなくてはならない課題と展望について、所感を述べたいと思います。

 

 今年の最大の話題は、言うまでもなく東京オリンピック・パラリンピックの開催です。日本中がスポーツの感動と興奮にわき立ち、いつにもまして熱気に包まれた夏となることでしょう。全世界の人々の注目を集めるオリンピックというイベントは、メディアの発展の歴史と重なってきました。戦前のラジオによる実況と記録映画の時代を経て、1964年の東京オリンピックは衛星生中継が世界に向けて行われた初の大会として記録されております。

 

 そして今回の東京オリンピックでは、放送開始から1年を経過した4K衛星放送を通じて、より高精細な画質でオリンピックを簡単に見ることができるようになります。また、民放ではgorin.jpなどを通して、インターネット配信を積極的に行っていく予定です。私たちは東京大会を、テクノロジーの進展を取り入れながら、新たな放送メディアのあり方を模索するチャンスと捉えています。

 

 その一方で、放送が“伝える内容”にも改めて目を向ける必要があると考えています。来年は民間放送が始まって70年の節目の年を迎えます。信頼できる情報と生活に潤いを提供する娯楽を、日本中の視聴者・聴取者にお届けできる社会インフラを、民間放送事業者は構築してきました。視聴者・聴取者、そして民間放送を支えるスポンサー企業の理解と協力によって成し遂げたものです。

 このインフラは、国民の社会的生活、経済的活動の基盤であると同時に、この国の民主主義の発展を支える屋台骨の1つであり、これからも守り抜いていかねばならない貴重な共有財産です。インターネット空間にフェイクニュースなど真偽の定かでない情報があふれ、社会の相互不信や分断の危険性が高まる現在だからこそ、放送事業者が提供する確かな情報の重要性はますます高まっています。

 その役割の大切さは、災害時に最も顕著に現れます。昨年も過去最大級の台風などにより、各地で甚大な被害が発生しました。国の機関や各自治体でも、ウェブサイトの開設やメール・SNSの活用など緊急時の情報提供に尽力しており、情報を提供する経路は多様化しています。しかし、一斉に遅延なく情報を提供できる放送の役割は非常に重要で、その公共的使命を十分に果たしていかなければなりません。

 

 一方で、私たち民間放送事業者の経営的土台を揺るがしかねない状況が現出していることも事実です。民放連研究所は昨秋、スポット広告の低迷を受けて今年度の営業収入の見通しを下方修正しました 。このように激変するメディア環境、経済状況の中、民放連は現在、“放送の未来像は、自分たち放送事業者自身の手で描いていく”という考えのもと、「放送の価値向上・未来像に関する民放連の施策」に取り組んでいます。すでに、テレビ視聴指標に関する研究プロジェクトは中間とりまとめを行い、会員各社との情報共有を実施、AMラジオ放送のFM放送への転換・併用に関する制度整備の道筋もつけました。また、会員社の人材採用に役立てていただくための「MINPO.WORK」ウェブサイトを立ち上げるなど、民放連の各委員会での充実した議論は一定の成果を上げています。これらの取り組みは、今後も継続して実施していかなくてはなりません。民放連では引き続き、会員社の明日を切り拓くために役立つ情報の提供や活動の展開に努めてまいりますので、会員各社のご協力をお願いしたいと思います。

 

 昨年11月に開催された民放大会では、安倍首相からビデオメッセージをいただきました。この中で安倍首相は、ラジオやテレビが災害時に国民の安心・安全を支える重要な社会基盤であることを強調した上で、「時代を先取りし、放送コンテンツの海外展開やインターネットを活用したコンテンツの配信など、新たな時代の成長産業としての放送事業のさらなる発展に大いに期待しています」と述べました。これは、国民・視聴者からの期待でもあります。その際、重要な要素になるのが、「放送の二元体制」の維持発展です。

 NHKは「公共メディア」を目指すことを標ぼうし、テレビの常時同時配信をはじめとするインターネット展開を加速させようとしています。民放連はかねてから市場の自由な競争を阻害しない、抑制的な対応をお願いしているところです。NHKには、「放送の二元体制」をしっかり維持してゆくためにも、民放連・民間放送事業者の声にも真摯に耳を傾けていただき、自由な議論と十分な情報交換を改めてお願いしたいと思います。

 

 民放連は、今年も直面する課題に「挑む勇気と使命感」を持って取り組んでいきたいと考えていますので、民放連加盟各社には、変わらぬご支援をお願い致します。2020年が皆さまにとって充実した一年になりますよう、そして放送界にとって明るい年になることを願って、新年のご挨拶とさせていただきます。