聴取率と視聴率の違い
「聴取率」はラジオが聴かれていた割合、「視聴率」はテレビが見られていた割合。
どちらも見聞きされていた割合を示す数字ですから、どうしても単純に比較してしまいたくなってしまいます。でも本当はこれらの数字を単純に比較するのは問題があるのです。
どのような問題か、あなたはご存知ですか?
問題の答えを考える前に、まず「聴取率」とは何かを考えてみましょう。
聴取率とは個人聴取率のことで、ある時間帯にラジオが個人に聴かれていた割合です。
7時から8時までの1時間の聴取率を求める場合を表にして考えてみます。

7時から8時の間に、15分単位の枠は4個あります。
4個×5人=枠の数は20個です。
上の例では、20個の枠のうち聴かれていた枠の数が9個となっているので…
聴取率 = (9÷20)×100 = 45.0%
となります。※
※実際には5分単位の枠で算出した率を足し、求める時間帯の枠数で除算して聴取率を求めます。上の例はほぼ同じ考え方で、ほぼ同じ率が計算されます。
次に「視聴率」とは何か、考えてみましょう。
一般的に使われる視聴率とは「世帯視聴率」で、ある時間帯にテレビが世帯で見られていた割合です。
7時から8時までの1時間の視聴率を求める場合をラジオと同じように表にして考えてみましょう。

一人一人の視聴状況はラジオと全く同じです。
ところが、一般的に「視聴率」と呼ばれるものは「世帯」単位で考えられているので、視聴状況は「世帯では何時から何時まで見られていたのか」を見なくてはいけません。
世帯ベースで視聴状況を見た場合は下の表のようになります。
つまり、7時から8時の間では、枠4個×2世帯=枠の数は8個です。
この例の場合、テレビが見られていた枠の数は7個なので
視聴率 = (7÷8)×100 = 87.5%
となります。

※実際には視聴率は1分単位で調査されています。
上の例の通り、個人ベースで考えると全く同じ接触状況でも聴取率と視聴率では異なる率になる、ということがわかりますね。
ですから、聴取率と視聴率を単純に比べるのは問題がある、ということになるのです。
「ラジオの聴取率って低いなぁ」と感じていらっしゃるあなた、テレビの視聴率と単純に比較してそう感じていませんか?
聴取率はあくまでも「個人に」どれくらい聴かれているのかを示す数字です。そう考えると…
ん?普段聴いてるあの番組って…ものすごく聴かれている番組ということ???