表彰番組・事績
日本民間放送連盟賞/2005年(平成17年)入選・事績
平成17年日本民間放送連盟賞 ”NAB Awards 2005” 入選・事績
日本民間放送連盟賞は12年度から次のように変更されています。
- 番組部門の種目中、ラジオ・テレビとも「娯楽番組」を「エンターテインメント番組」と改称しました。
- CM部門のテレビについて、第1種・第2種を併せて一本化しました。
番組部門 †
↑ラジオ報道番組 †
↑最優秀 <大阪放送> 戦後60年特別番組「足が生えてこなかった」 †
↑プロデューサー 吉村直樹 ディレクター 川島広明、杉浦広計 ナレーター 原田年晴
60年前の大阪空襲は、一般市民をも戦火に巻き込む「じゅうたん爆撃」と呼ばれるものだった。番組は、実際に空襲の被害にあった人々を取材。現在は70歳前後となった、当時の子どもたちが受けた空襲の恐怖や戦後の苦しみを生々しい肉声で描き出す。空襲で失った足が「生えてくる」と信じて生活していた人、後遺症による差別を受けた人など、国家や軍の視点ではなく、民間人の側から、戦争のむごさや戦後生活の悲惨さを伝えている。戦争を知らない若者向けの時間帯に放送するなどの工夫からも、戦争体験を風化させないための意思が強く伝わってくる、意欲あふれる作品。
優 秀 <北海道放送>はちく ~玉砕連隊、前線の証言者たち~ †
↑プロデューサー 田中正人 ディレクター 森内 満 ナレーター 島森則夫
「破竹連隊」とも呼ばれた「歩兵第89連隊」は、旭川の部隊から多くの兵員補充を受けていた、北海道ゆかりの連隊。太平洋戦争末期の沖縄戦で敵兵への総攻撃を行い、壊滅的な打撃を受けた。番組では、生存する当時の隊員への綿密な取材を通じて、無謀な作戦の実態や前線での人間心理などを明らかにしていく。たくさんの北海道出身者が遠く離れた沖縄で犠牲になったという意外な事実を掘り下げ、リアルな戦争を語り継いでいる。
優 秀 <文化放送>ザ・ステージ 文化放送報道スペシャル 小児臓器移植の壁 †
↑ディレクター 峰岸宏枝 ナレーター 鈴木純子 構成・脚本 石井 彰 技術 奥沢賢一
日本では15歳未満の小児患者に対する脳死臓器提供は認められておらず、小児患者たちは海外での手術に希望を託すほかない。なぜ、医療技術も施設も整っている日本で手術ができないのだろうか。日本での小児臓器移植をめぐる法律と医療体制をわかりやすく伝えるとともに、厳しい現実の中で必死にわが子の生存への道を探る両親の姿などを追う。問題提起にとどまらず、番組としての考えを提示する手法も斬新だ。
優 秀 <新潟放送>中越地震から半年 ~雪解けのふるさとは今~ †
↑プロデューサー 高橋京子 ディレクター 山中景子 ディレクター・司会進行 鍵冨 徹 ナレーター 石塚かおり
避難者10万人、住宅損壊9万棟にものぼる被害を出した中越地震。19年ぶりの大雪が被害をさらに大きくした。壊れた自宅の再建はどうすればいいのか、雪に埋もれていた田畑は修復できるのかなど、震災から半年を経ることで明らかになった被害の実態や復興への取り組みを伝える。被災者や専門家への丹念な取材から問題点を浮かび上がらせるとともに、復興に向けての提案も忘れない。地域に根付く放送局ならではの視点が随所に見られ、スタッフの地域に対する愛情が感じられる。
優 秀 <北日本放送>守れなかった幼い命 ~通学路の第四種踏切~ †
↑プロデューサー 尾崎義文 ディレクター 木原和夫 取材・編集 数家直樹、寺崎英幸
2003年12月24日、富山県黒部市の踏切で、登校中だった小学校1年生が列車にはねられ死亡した。遮断機も警報機もない「第四種踏切」での出来事だった。なぜ、通学路の踏切で危険が放置されていたのか、幼い命を守れなかった原因は何なのか。子どもを亡くした両親へのインタビューを中心に、鉄道、行政、学校などへの取材を実施。検証結果は、地域社会だけでなく、全国4000ヵ所にのぼる「第四種踏切」への警鐘ともなっている。
優 秀 <山口放送>人生の現役でいよう ~心に届く介護 そして医療を~ †
↑ディレクター・構成 村田俊子 ナレーター 池内博子、竹重雅則、村瀬ひとみ
山口市のデイサービスセンター「夢のみずうみ村」は、バリアフリーならぬ“バリアアリー”。家でも活発な生活ができるよう、あえて施設内にバリア(障害)を設け、不自由な体でドアを開閉する方法などを教えている。一方、高齢者が多く住む、周防大島郡の病院「おげんきクリニック」では、相手を両手で抱きしめる「ハグ」を実践。終末期の患者と短期間で親しくなることに成功している。ユニークな取り組みの現場から、高齢者が本当に求める介護や医療を探る。暗くなりがちな問題を明るく、前向きに問いかけた秀作。
優 秀 <南日本放送>正子さんの青空 ~星塚65年目の春~ †
↑プロデューサー 御幸良臣 ディレクター 新名主聡 ナレーター 植田美千代 編集 山下浩一郎
上野正子さんは、2001年5月に注目を浴びた「ハンセン病裁判」原告の一人。1940年、13歳の時に国立療養所「星塚敬愛園」に隔離されて、65年目の春を迎える。療養所での結婚、夫の断種手術――。貴重な証言を基に、想像を絶するような過酷な半生と、時代が生んだ非人間的な医療政策を浮き彫りにしていく。明るい語り口ながらも、当事者しか語り得ない悲しみや憤りが、聴取者に重く、しっかりと伝わってくる。
ラジオ教養番組 †
↑最優秀 <熊本放送>戦後60年特別番組「60年目の告白」 †
↑プロデューサー 筬島一也 ディレクター 高野泰宏 原作・構成 村上雅道 出演 佐野浅夫
熊本に司令部のあった旧日本陸軍第六師団は1943年、南太平洋のブーゲンビル島に転戦、補給の絶たれた島で、多くの兵士が餓死した。同師団にいた父の「事故死」に疑問を持った娘が、父の死の真相を追う。そして、父の上官だった男性と出会い、真実を知らされる。父は戦闘中にジャングルで食料を探していたという「敵前逃亡」の疑いから、終戦間もない8月末に師団の上層部の命令で、軍法会議にもかけられずに銃殺されていた。
これまで知られなかった真実を明らかにしただけでなく、ノンフィクションドラマとすることで、夾雑物のない、わかりやすい形で戦争の悲惨さを伝えている。
優 秀 <東北放送>TBCラジオドキュメンタリー「満州 幻のイーハトーブ」 †
↑プロデューサー 田中日出夫 ディレクター 三瓶明子 ナレーター 小川範子 構成 菊池 豊
戦時中に旧満州国が創設し、終戦とともに崩壊した「建国大学」は、日本を含むアジアの5民族による“五族協和”を掲げていた。しかし、日本人学生は次第に、その理想と国家・民族間の争いという現実に直面する。一方で当時、学生に広まった宮沢賢治の精神歌は、ロシアのセルゲイ・セリョートキンさんら卒業生の心に今も残り続けている。
“負の歴史”ともいえる満州の知られざる事実を伝えるとともに、現代日本のグローバリゼーションのあり方にも問題を投げかけた。
優 秀 <エフエム東京>21世紀のピノキオ ~ボクハ ラジオ デス~ †
↑プロデューサー 木村達彦 ディレクター 服部 准 ナレーター あがた森魚 取材・演出補助 柴田幸子
日本にラジオが登場して80年を迎えた2005年、「IT企業によるラジオ局買収騒動」や「デジタル・ラジオの本放送前倒し」など、話題にのぼる機会の多かった「ラジオ」。その本質とは?――番組では、「ラジオ」からリスナーに問いかける。
“ラジオのパーソナル性”をキーワードに、その歴史から、インターネットとの融合など、ラジオを取り巻く環境を検証するとともに、ラジオの未来・可能性を考えた番組。
優 秀 <新潟放送>最後の瞽女(ごぜ) 小林ハル 歩きつづけた人生 †
↑プロデューサー・ディレクター 高橋京子 ナレーター 増山由美子 朗読 近藤丈靖
2005年4月に105歳で亡くなった小林ハルさんは、最後の越後瞽女と呼ばれた人。瞽女とは目の不自由な「旅芸人」で、娯楽の少ない時代、村人はその唄や民謡を聞いて楽しんだ。だが、社会の偏見などもあり、その人生は厳しく、辛いものだったという。
番組は、新潟放送に保存されていた多くのハルさんへの取材テープや、その生き方に惹かれた人々へのインタビューを通じ、壮絶な人生を乗り越えたハルさんの、人となりを伝える。ハルさんの歌う瞽女唄は、それだけで説得力に満ち、感動を誘う。
優 秀 <福井放送>時を越えて…あぁ青春のDSK ~だるま屋少女歌劇団~ †
↑プロデューサー 福本 実 構成・ディレクター 重盛政史 ナレーター 谷戸礼子 出演 高田 富
1931年、福井に北陸初の少女歌劇団「DSKだるま屋少女歌劇団」が誕生した。わずか5年間の活動だったが、市民に愛され、連日連夜の公演は多くの人々を魅了した。
番組の主人公は、2005年に米寿を迎えた元DSK女優の高田富さん。インタビューでは往年の舞台が生き生きと語られるとともに、秘蔵のパンフレットなどから当時の様子が甦る。さらに、高田さんの記憶に残る歌のメロディーを譜面に起こし、地元・仁愛女子高校の生徒との再演が実現した。昭和の大衆文化を地域とのつながりの中で描いた好企画。
優 秀 <大阪放送>日本初の私鉄電車と松本重太郎 †
↑プロデューサー・構成・脚本 高橋征二 ディレクター 志知直哉 ナレーター・出演 笑福亭小松
1885年に開業した日本初の私鉄、阪(はん)堺(かい)鉄道にまつわるエピソードを、創業者の松本重太郎の功績を中心に紹介する。重太郎は紡績業などを次々と興こし、当時の大阪の経済界で「この人あり」と言われた人物。鉄道の事業化においても、阪堺鉄道沿線の通行量調査を行うなど緻密な戦略家であり、またアイディアマンでもあった。
開業当時の機関車が120年前を回想する形で進行し、唱歌や汽笛の音などを効果的に使いながら、当時の経済や時代背景などを含めた幅広い知識をわかりやすく伝えている。
優 秀 <四国放送>山下勇 風に吹かれてスペシャル ~ウミガメ 遥かなる旅 †
↑プロデューサー・ディレクター 降旗哲也 出演 山下 勇、福井和美
地元・徳島が産卵地となっているアカウミガメ。その生態を童話「ウミガメ ケン太の冒険」の朗読を交え紹介する。「砂の温度で性別が決まる」といった豆知識とともに、ウミガメの保護、さらには環境保護についても考えさせられる内容となっている。
ウミガメの一生を描いた童話の朗読は、リスナーを想像の世界に誘う。また、童話の作者でもある番組進行役の山下勇さんの語り口も魅力的だ。
ラジオエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <北海道放送>HBCラジオメイキングスペシャル ラジオ ~そのイメージの世界 †
↑プロデューサー 鎌田 強 ディレクター 松田耕二 構成・補筆 合田一道 構成・補筆・総合プロデユーサー 守分寿男
音だけの世界、聴く者のイメージを創造するラジオ――その魅力を効果音の実演で解説する導入部と、それらの音の集大成であるドラマとの2部で構成した、ラジオならではの番組。ドラマ『明日をください』は71年前の函館大火をモチーフにした現代版ラブロマンスで、公募したシナリオ大賞を受賞したもの。ヒロイン役も公募している。
導入部からドラマへ違和感なくつなげる構成は卓越しており、臨場感あるドラマの台詞と効果音は、リスナーが描くイメージを次々と深化させる。聴取者を掴んで離さない企画とメイキングは素晴らしく、ラジオドラマを作る楽しみが伝わる力作である。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ> TBSラジオ お宝音源スペシャル“マイクはそこにあった” †
↑プロデューサー 池田卓生 ディレクター 千葉胤直 出演 荒川強啓、小島慶子
1951年に開局した同社が、過去に放送した膨大な音声素材の中から“第一報を報じたニュース音源”を発掘し、その時代や事件・事故にラジオがどう向き合ってきたか、エピソードを挟んで検証する。倉庫には、マイクが記録した、国内・海外の事件・事故報道だけでなく、時の大物国会議員への大胆なインタビュー取材や宇宙からの音源もあった。
“音の年表”にはリアリティーと迫力がある。同時に、歴史とともに生きてきたラジオの存在価値を伝え、ラジオジャーナリズムの原点への想いを強く感じさせる秀作である。
優 秀 <静岡放送>インビテーション・トゥ・ジャズ ~ジャズが若かった頃~ †
↑プロデューサー・ディレクター・ナレーター・構成・脚本・出演 今村政司
1977年に始まった同番組のポリシーは、「人がいるところには音楽があり、音楽があるところには人がいる」。30年余に出演したミュージシャンたちの同録を聞き直し、彼らが楽しそうに“ジャズに懸ける情熱”を語っていることに注目。演奏では知ることのできない人間模様をヒューマン・ドキュメントとして抜粋し編集した。
マスターテープの音が驚くほど良質に保存されており、懐かしい青春時代がリアリティーをもって伝わってくる。番組制作者の熱意と愛情が感じられる内容に仕上がっている。
優 秀 <エフエム愛知>名古屋人はやっぱりシャチだがね~尾張名古屋はシャチでもつ、金シャチが愛されるわけ †
↑プロデューサー 伊藤榮一郎 ディレクター 吉田 浩 構成 高橋真裕美 出演 矢野きよ実
名古屋人はなぜ金のシャチホコが好きなのか――そのワケを、400年前の名古屋城築城時に誕生して以降の歴史を紐解きながら、数々のエピソードを金シャチ自身に語らせる。尾張藩の財政難を救済したほか、国内外の博覧会への巡業、名古屋城博では地上に舞い降り、愛・地球博の開会式にも“出席”して人気を奪うなど、自慢話は尽きない。
地域のお宝「金シャチ」に真正面から迫り、奥深い名古屋の魅力を探る手法は、わかりやすく面白く、まさにラジオエンターテインメントと呼ぶに値する番組である。
優 秀 <エフエム大阪>POWER NUTS SPECIAL ~レモンさん、すべては子供たちのために~ †
↑プロデューサー 須田 淳 ディレクター 木津川久男、藤岡愁一郎 ナレーター 寺立知可 出演 山本シュウ
深夜番組のDJ(山本シュウ)が「娘の小学校のPTA会長を務めている」と喋ったことに、番組スタッフが関心を持った。しかも、PTAではレモンの被り物を着用して「レモンさん」というキャラクターで活動しているという。番組は、彼が教育問題にどのように興味を持ち周囲の人々を巻き込んでいったのか、その活動ドキュメントを綴る。
多発する学校内での事件・事故を背景に、教育問題を身近に捉え、明確なメッセージで伝えた力作。
優 秀 <四国放送>岡本和夫のトコトンラジオ ~阿波踊りお囃子考~ †
↑プロデューサー・ディレクター 降旗哲也 出演 岡本和夫 ゲスト 岡田寛斎、安田久美子
400年の歴史があると言われながら、起源や踊り方などに関する文献が少ない阿波踊り。それは、為政者ではなく、民衆によって受け継がれてきたからで、踊りは現在も変化し続けている。番組は、阿波踊りの“お囃子”を通じて、その変遷や魅力の真髄を探る。
お囃子が沖縄や熊本県牛深市の踊りと類似していること、1960年代に流行したエイトビートの影響を受けたことなど、伝統文化の変遷を音で表現する秀逸な番組である。
優 秀 <RKB毎日放送>ガクランを着た乙女達 †
↑プロデューサー・ナレーター 安田瑞代 ディレクター・構成・脚本 津川洋二 技術 安増高志
戸畑高校応援団の伝統を一人で守るのは中村香奈さん。男子だけで構成してきた応援団は、女子のみの応援団へと変貌し、団員も一人になった。そこに一人の男子が入団してくる。香奈さんは戸惑いながらも、甲子園に向けて男子を指導していく――。番組では、ガクラン姿で伝統を守ってきた歴代女子応援団員の奮闘ぶりを描く。高校生の価値観の変化というテーマは新鮮で、リスナーに“若者の心情”を考えさせる内容に仕上がっている。
ラジオ生ワイド番組 †
↑優 秀 <IBC岩手放送>のりこの・週刊おばさん白書 †
↑プロデューサー 藤沢 光 ディレクター・構成 高橋博道 パーソナリティー 後藤貴子 アナウンサー 江幡平三郎
日曜午後2時~4時30分の番組。“おばさんの、おばさんによる、おばさんのための”をコンセプトにスタートしたこの番組が、2005年6月に200回を迎えることから、「歩く公開生放送~のりこの盛岡中津川物語」を5月8日に放送。パーソナリティー3人が、自由で気楽な“歩きながらの公開生放送”を繰り広げた。中津川のせせらぎの生音を聴かせたり、リスナーが飛び入り参加するといった生放送の魅力をたっぷりと楽しめる。
優 秀 <ニッポン放送>「森永卓郎の朝はモリタク!もりだくSUN」「うえやなぎまさひこのサプライズ!」「テリー伊藤のってけラジオ」 久米宏と一日まるごと放送局 †
↑ディレクター 節丸雅矛、白川陽子、小山有希子 構成 清水 覚、長谷川浩司
2004年9月20日の朝から夕方までのワイド番組を縦断しての生放送。ラジオからそのキャリアをスタートさせた久米宏が、「ラジオの中継リポート」から始まり、「テレビとのメディアミックスで行った公開記者会見」に臨む姿までをドキュメントとして伝えた。目に見えたものをそのまま描写していく、久米宏ならではの話術が圧倒的で、“次に何が出てくるのか”と期待感を持って楽しめる番組である。
優 秀 <新潟放送>週末情報バラエティ キンラジ †
↑プロデューサー 高橋京子 ディレクター 平澤 正 出演 近藤丈靖
金曜午前9時~午後2時54分の番組。2005年5月20日の放送は、中越地震によって休業に追い込まれた長岡市の旅館「和泉屋」常務の金内智子さんに、8月の営業再開に向けた取り組みを聞き、復興へのメッセージをリスナーに伝えた。このほか、チーム数が日本一との噂もある「新潟の早起き野球事情」や、「今すぐ使える新潟弁」など、硬軟織り交ぜた話題を盛り込み、リスナーとともに楽しもうという姿勢が伝わってくる。
優 秀 <中部日本放送>つボイノリオの聞けば聞くほど †
↑総合演出 加藤正史 ディレクター 高臣文代 出演 つボイノリオ、小高直子
月~金曜午前9時~正午の番組。2005年5月23日の放送は、古くからのリスナーのお祝いメッセージによって、放送回数が3000回にあたることが判明するところからスタート。そこから、リスナーからの便りをベースにつボイノリオが番組を進める。1日平均で500~600枚を超える便りの中から、番組で取り上げる話題は、すべて生活と密着した“いま”そのものである。リスナーが発信する情報の面白さが傑出しており、それが番組のパワーとなっている。
優 秀 <大阪放送>NEWSワンダーランド †
↑プロデューサー・ディレクター 上野公嗣 構成 吉村直樹 出演 里見まさと、坂崎優子
朝刊ネタから夕刊ネタ、ローカルな話題から世界のニュースまでを、里見まさとが独自の視点で、聞いて楽しい情報に変換する。2005年3月7日の放送で、小学校の性教育の問題が国会で取り上げられたことを話題にすると、放送日以降もリスナーから意見が相次ぐなど、大きな反響を呼んだ。パーソナリティーによって、“ニュースはこんなに面白く、かつわかりやすく伝えることができる”ということを実証した。
優 秀 <南海放送>「まいど!」~癒しの音万博~ †
↑プロデューサー 田中和彦 ディレクター 藤岡飛鳥、山内美帆子 出演 林 浩彦
「まいど!~癒しの音万博~」と題し、癒しの音を“聴く”“作る”“探す”といった柱で番組を構成。のこぎり奏者を迎え、のこぎりによる幻想的な音色を生演奏で披露してもらったり、リスナーから募集した「あなたの癒しの音」をメッセージとともに実際に聴かせ、それぞれの「音と想い」を伝える。ラジオで最も大切な“音”を集め、それを情報番組として巧みに再構成し、リスナーの想像力に訴えている。
優 秀 <RKB毎日放送>あべちゃん トシ坊!こりない二人 ~南極特集~「日産ワイドサタデー」&「Oh!キュ~ット倶楽部」 †
↑プロデューサー・ディレクター 永田伊久万 パーソナリティー あべやすみ、仲谷一志、技術 塩塚実納
土曜午後1時~5時の番組。誰もが知っているが、身近に考えるには遠大すぎる「南極」をあえてテーマに設定。南極昭和基地隊員の工藤栄さん、元昭和基地隊員の神沼克伊さんに、南極の現状や基礎知識を聞いた。さらに、『面白南極料理人』の著者でもある海上保安官の西村淳さんに南極基地での人気メニューを教えてもらい、実際にスタジオで料理を試食する。二人のパーソナリティーがゲストのコメントをうまく引き出しており、続けて聞きたくなる魅力的な番組となっている。
テレビ報道番組 †
↑最優秀 <山口放送>祖父の国 父の国 ~祖国を訴えた日本人移民~ †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ディレクター 長尾 聡 ナレーター 伊藤惣一 構成 長尾 昌
第二次大戦後、国策で海外へ渡った日本人移民。中米のドミニカ共和国には1956年から4年間に249家族・1319人の日本人が渡った。しかし、それから半世紀、当時の募集要項で約束された「18ヘクタールの土地を無償供与」はいまだ果たされていない。借金苦と高齢化で将来に不安を抱いた彼らは2000年、国に謝罪と損害賠償を求める。
親から子、子から孫へ――三世代にわたる移民たちを長期取材で追い、それでもなお誇りを持って生きる姿を浮き彫りにした。“人間の尊厳”に映像の力で迫り、60年を経てもなお終わらぬ“戦後”への静かな憤りが感じられる。
優 秀 <北海道文化放送>ある出所者の軌跡 ~浅草レッサーパンダ事件の深層~ †
↑プロデューサー 吉岡史幸 ディレクター 後藤一也 ナレーター 勝村政信 構成 高橋 修
栃木県の黒羽刑務所には、2000人の服役者のうち、身体障害者や軽度の知的障害を持つ受刑者が400人いる。番組は、ここを出所したばかりの身寄りのないある男性に密着取材。2001年に東京・浅草で発生した通り魔事件の容疑者の背後に横たわる現実をもオーバーラップさせた。そこからは、犯罪者更正のための社会的システムの欠如や、出所者が抱える不安などの矛盾が浮き彫りになる。取材対象者との距離感のとり方が秀逸で、視聴者の「何かをしなければいけない」という気持ちを強く揺さぶるメッセージ性の強い作品。
優 秀 <テレビ東京>日経スペシャル ガイアの夜明け「農村少女と昇龍の3年」 †
↑プロデューサー 福田一平 ディレクター 大久保直和、アロハン 構成 水谷和彦
レギュラー番組「ガイアの夜明け」の3周年を記念して、これまで数回にわたり取り上げてきた中国経済の動向を集大成した。3年前、貧しい家計を支えるため、内陸部の農村から都会の工場へと出稼ぎに出た18歳の少女の成長と、北京オリンピックに向けて投資目的で高級マンションを買い漁る富裕層・温州人の姿をオーバーラップさせながら、貧富の格差が拡大する中国経済の“光と影”を巧みに浮かび上がらせた。
優 秀 <信越放送>SBCスペシャル 祖国よ!償いを ~高齢化する中国残留孤児~ †
↑プロデューサー 麻山智晃 ディレクター 笠井直美 ナレーター 三島さやか 撮影 伊藤康雄
敗戦後の混乱で中国に取り残され、数十年を経て祖国への帰国を果たした中国残留孤児たち。老後を迎えた彼らの多くは、日本語も十分に身に付かず、健康にも不安を抱え、わずかな年金で不安な生活を余儀なくされている。帰国者の実情に配慮した老後の生活保障制度の確立を求めて、国を相手に謝罪と損害賠償を求めて立ち上がった残留孤児とその家族の姿を通して、60年を経ても終わらぬ戦争と、この国の形を問いかけた。
優 秀 <中京テレビ放送>郵便兵と絵手紙 ~孫娘が語り継ぐ祖父の戦争~ †
↑プロデューサー 大脇三千代 ディレクター 栗本直弘、戸田 誠 ナレーター 山本耕史
第二次大戦下、“野戦郵便隊”として激戦地のビルマに派遣され戦死した祖父を持つ、ピアニストの石塚まみさん。祖父が戦地から家族に宛てて送り続けた絵手紙には、当時のビルマの穏やかな風景や子どもたちの様子が描かれている。石塚さんは、この絵手紙に曲をつけピアノで弾き語りをするコンサートを全国各地で続けている。戦後60年を機に、石塚さんは、祖父の足跡を辿る旅に出た。これまであまり知られていなかった“郵便隊”の実態を発掘しながら、戦争体験を若い世代にどう継承していくかを考えさせる。
優 秀 <朝日放送>終わりなき葬列 ~発症まで30年、いま広がるアスベスト被害~ †
↑プロデューサー・ディレクター・構成 石高健次 ディレクター 藤井容子、野崎朋未 撮影 大久保慶一
潜伏期間30年、発症から1年以内の死亡確率が高いと言われる悪性中皮腫。その原因として、注目され始めたのがアスベスト。大手アスベスト会社の従業員に大量の被害者が出る一方、工場の周辺住民からも健康被害が報告されつつある。有効な特効薬もなく、労災の申請から認定の間にも病状が刻一刻と進行する。アスベストが使用された古い建築物の多くが解体される時期にありながら、その影響についても明確な基準が打ち出されていない。緊急を要する事態に果敢に斬り込み、ドキュメンタリーの醍醐味を感じさせる。
優 秀 <熊本放送>井上家の裁判 ~国と闘い続ける中国残留孤児家族~ †
↑プロデューサー 村上雅通 ディレクター 薛 力夫 ナレーター 福島絵美
日本に永住帰国を果たした中国残留孤児が呼び寄せた家族の中には、上陸許可を取り消され、強制退去処分を受けるケースも少なくない。いずれも、残留孤児が中国で結婚した配偶者の連れ子や養子たちである。熊本県の井上鶴嗣さん家族も、中国人妻の連れ子である長女と次女家族が退去命令を受ける。家族として呼び寄せることの法的根拠を“血縁関係”に求める日本の法制度に対し、“家族の絆”を盾に処分取り消しを求めて裁判を起こした井上さん一家を追いながら、60年を経てもなお残る戦後対応の不備を鋭く突いた。
テレビ教養番組 †
↑最優秀 <フジテレビジョン>桜の花の咲く頃に †
↑プロデューサー・ディレクター・構成 横山隆晴 撮影 遠藤一弘 音響効果 田中政文 編成 種田義彦
北海道の東の果て、別海町。人口約1万7000人で、12万頭の牛を擁する酪農とオホーツク海の沿岸漁業が支える町である。その町にある唯一の高校、北海道立別海高等学校は、生徒数約500人で、もともとは開拓者の子どものための酪農専門高校として創設された。別海高校3年生の卒業までの1年間を、家族や教師の思いも織り交ぜながら取材した。
それぞれの登場人物の生き方を、北海道の四季折々の情景とともに、魅力的に映し出している点が高く評価された。
優 秀 <山形放送>第19回民教協スペシャル「あなた また戦争ですよ」~残された妻たちの手記~ †
↑プロデューサー 五十嵐重明 ディレクター 大沼 潤 構成 南海子 カメラ 三澤光宣
戦争で若くして夫を失った妻たちが、昭和の戦争と戦後を語り継ごうと1988年から手記を綴り始め、文集や単行本を毎年発行している。メンバーの平均年齢は80歳代半ばとなり、彼女たちは現在、孫に囲まれ幸せな日々を送っている。しかし、その手記には、長女が生まれたその日に夫が出征したことや、戦地からは紙切れ一枚しか入っていない夫の骨箱だけが戻ってきたことなど、それぞれの過去が綴られている。戦争が市井の人々に何をもたらすのかを、丁寧な取材で明らかにしている。
優 秀 <信越放送>SBCスペシャル 響け!いのちの言葉 ~失語症患者たちの挑戦~ †
↑プロデューサー 麻山智晃 ディレクター・撮影 手塚孝典 撮影 伊藤康雄 編集 塚田敏康
ある日、突然、言葉が失われる失語症は、脳出血などの後遺症で、脳の言語中枢が損傷して発症する。外見だけでは相手に気づかれることがないため、一般にはなかなか理解されにくい障害である。2004年の秋、長野失語症友の会のメンバーは、自分たちの気持ちを詩で訴えようと、詩劇「いのちの言葉・響かせて」を上演した。それぞれ事情を抱えながらも詩劇に取り組む登場人物の表情がしっかりと捉えられ、それが視聴者への明確なメッセージとなっている。
優 秀 <東海テレビ放送>黒いダイヤ †
↑プロデューサー・ディレクター 阿武野勝彦 ナレーター 石倉三郎 撮影 村田敦崇 編集 西野 博
2005年2月、中部国際空港が愛知県常滑市沖に開港した。空港から南へ3㎞、海域の漁業権を持つ愛知県美浜町の野間漁協は、「空港建設によって海が変わり、仕事が奪われる」として、空港建設に強く反対してきた。番組は、かつて“黒いダイヤ”とまで言われた海苔養殖を中心にしてきた野間漁協が、海苔養殖に影響を及ぼすであろう空港建設に合意するまでの苦悩を見つめる。国際空港開港の一方で、海に生きる小さな漁協の静かな怒りが、懸命に生きる漁師の姿を通して映し出される。
優 秀 <朝日放送>嗚呼(ああ)…友よ 父よ ~真珠湾攻撃の特殊潜航艇発見 64年目の真実~ †
↑プロデューサー・ディレクター・構成 石高健次 ディレクター 吉原宏史 撮影 西 一樹 ナレーター 福寿 淳
2002年8月、真珠湾沖の海底で海洋調査をしていたハワイ大学の深海探査艇が、旧日本海軍の特殊潜航艇を発見した。潜航艇は真珠湾奇襲攻撃に参加した5隻のうちの1隻であることが判明。さらに旧海軍戦闘記録から、真珠湾沖でこの艇を送り出した整備兵の存在が明らかになった。生き残った兵士たちは戦友の死を引きずり、それが次の世代にも陰を落としている。多角的な追跡取材を基に、事実を丁寧に掘り起こしている。
優 秀 <山口放送>遥かなる波濤 人間魚雷 回天 †
↑プロデューサー 竹村昌浩 ナレーター 伊藤惣一 構成 黒田道則
太平洋戦争末期、旧日本海軍が開発した「人間魚雷 回天」は、搭乗員が乗ったまま敵艦に体当たりする特殊兵器であった。1945年7月、ルソン島北方海域で「回天」が駆逐艦アンダーヒルを撃沈させ、112人のアメリカ兵が戦死した。この「回天」の添乗員だった中尉が残したアルバムから、一人の特攻隊員の青春を追った。日米双方の関係者を取材し、複眼的な構成とすることで、見応えのある作品となっている。
優 秀 <長崎放送>太鼓山の夏 ~コッコデショの131日~ †
↑プロデューサー 大田壽満夫 ディレクター・構成・脚本 下妻みどり ナレーター 平松誠四郎
370年の伝統を誇るお祭り“長崎くんち”。7年に1度だけ出番が回ってくる各踊り町の中で、樺島町のコッコデショは、龍踊りと並んで人気が高い。「コッコデショ」とは、重さ1トンの太鼓山を空高く放り上げる時の掛け声である。2004年6月1日の稽古始めから、10月のくんち本番までの131日間を密着取材し、36人の担ぎ手たちの日々を追った。
迫力のある映像と音声で、コッコデショをありのままに伝えている。同時に、長崎の“現在”を生き生きと映し出している点も評価された。
テレビエンターテインメント番組 †
↑最優秀 <BSフジ>HIT SONG MAKERS ~栄光のJ-POP伝説 †
↑プロデューサー 立本洋之、波多野健、浜川久美 ディレクター 倉沢尚宏 企画 金光 修
J-POPの基礎を築いた作家やプロデューサーに焦点を当て、その功績と手法、作品をじっくり紹介するレギュラーシリーズ。番組はその第1回で、無数のヒット曲を残しながら、これまでマスコミの取材にはほとんど応じることのなかった作曲家・筒美京平を取り上げる。彼へのロングインタビューと、なかにし礼、松本隆、酒井政利、白川隆三、いしだあゆみ、太田裕美ら関係者へのインタビューや、彼の代表曲の演奏と歌唱により構成する。日本の大衆音楽史に大きく貢献した筒美の歩みの全体像が理解できる、優れたエンターテインメント作品である。
優 秀 <北海道文化放送>新選組。永倉新八からの伝言 †
↑プロデューサー 石澤 智、松田晋一 ディレクター 杉村和紀 ナレーター 坂本サトル
幕末・維新の動乱期を新選組幹部として生き、維新後の半生を新選組の顕彰活動に費やした永倉新八を追った番組。ディレクターは、新八のひ孫である同社の杉村和紀。杉村は、新八が建立に奔走した近藤勇らの墓碑をはじめとする、ゆかりの地を訪ね歩く姿を自ら映し出していく。曽祖父の事跡をほとんど知らなかった彼が自らのルーツを探す旅を通して、激動の時代を真摯に生きた新八の思いが伝わってくる秀作である。
優 秀 <長野放送>大道芸の世界へようこそ ~パフォーマー・サンキュー手塚の挑戦~ †
↑プロデューサー・ディレクター 春原晴久 ナレーター 佐藤正宏 構成 木村 仁
サンキュー手塚は、音楽に合わせたストーリー仕立てのパントマイム芸で「大道芸ワールドカップin静岡'99」チャンピオンにも輝いた。番組は、早稲田大学を卒業後、パフォーマーを目指し、上野、新宿、原宿などでのストリートで芸を磨いてきた手塚の足跡を辿る。彼の芸を支える妻や父母の姿が描かれ、サンキュー手塚の温かい人柄も伝わってくる。紹介される数々のパフォーマンスは、豊かな表現と緻密な構成で人々を魅了する。大道芸の魅力を余すところなく伝える一級のエンターテインメント作品である。
優 秀 <中京テレビ放送>カッタケ †
↑プロデューサー・ディレクター・構成 栗田美和 ナレーター 磯部悦子
世界遺産に登録された岐阜県白川村の村民は、多くの観光客を迎えることで生活に変化を余儀なくされていた。白川村荻町区長の川田裕は、村が変質してしまうことを心配し、同じように遺産登録された南イタリアのアルベロベッロ市を私費で視察に訪れる。カメラは彼に密着し、土産物屋の女主人マリアとの出会い、マリアの白川村訪問、村とアルベロベッロ市の姉妹都市提携の成立までをドキュメントする。伝統と観光の両立という今日的問題とその解決の方向性をも示唆される。二人のカッタケ(死に物狂いで頑張る人)が育んだ友情と交流が感動を呼ぶ。
優 秀 <毎日放送>あっぱれ! 親の顔が見たいSP(スペシャル) †
↑プロデューサー 原田義之、井口岳洋 ディレクター 松本真樹 構成 博多ヒトシ
今どきの若者の意外な一面が浮かび上がる良質のエンターテインメントである。リポーターが町で見かけたカップルに声をかけて、「彼女の親御さん」に会うために、お宅訪問を敢行。普段は言いにくい彼氏の気持ちを父親に一緒に伝えに行くという、交際カップル応援番組。このスペシャルでは、3組のカップルが登場する。見かけとギャップのあるピアニスト志望の青年、中国人の彼女の実家を上海に訪ねる青年など、多彩な内容が楽しい。
優 秀 <山陽放送>宝木(しんぎ)争奪! 春を呼ぶ男たち †
↑プロデューサー 石野常久 ディレクター・構成 新小田弥樹 ナレーター 石田好伸 撮影 古谷裕之
西大寺会陽は、1対2本の宝木をめぐって裸の男たちが肉弾戦を繰り広げる奇祭である。番組は、激しい肉弾戦の模様をリポートしながら、全治6か月の怪我を押して妻の安産祈願のために参加する赤坂さん、過去に何度も宝木争奪に成功した樽井さん、前年の宝木をとった69歳の松谷さんの3人に焦点を当て、これに参加する男たちの熱い思いを描く。理屈では割り切れない人間の思いが伝わってくる感動作である。
優 秀 <琉球放送>ワタブーショー ~照屋林助のチャンプラリズム~ †
↑プロデューサー 大盛伸二 ディレクター・脚本 小濱 裕 ナレーター 比嘉京子 構成 松石 泉
2005年3月に亡くなった照屋林助は、沖縄の古典芸能をパロディー化した芸で一世を風靡したエンターテイナー。番組には、彼の十八番である三線の曲弾きの様子、米軍占領下でその名を轟かせた漫談芸「ワタブーショー」、生前の彼へのインタビューなど、貴重な映像が織り込まれている。彼の原点は、沖縄戦直後にトラックで移送される沖縄人捕虜たちの歌声だったという。痛烈な批判や風刺の精神に富んだ思いを沖縄の言葉で伝える芸人、故照屋林助の芸と人生を追うことで、沖縄の戦後史を描いた素晴らしい作品である。
テレビドラマ番組 †
↑最優秀 <WOWOW>4TEEN †
↑プロデューサー 青木竹彦 監督 廣木隆一 脚本 斉藤ひろし 原作 石田衣良
『池袋ウエストゲートパーク』シリーズで人気の作家・石田衣良の直木賞受賞作をドラマ化。一人ひとりの顔が見えず、リアリティーを失いつつあると言われる現代の子どもたち。特に大人にとって不可解な存在である“14歳”をクローズアップした。東京の月島を舞台に、14歳の“4人のヒーロー”を主人公に、周囲の大人たちとの交流を通じて、いつの時代も変わらない“仲間との友情”や“人間としての矜持”を描いた。
難病や引きこもり、複雑な家庭環境など、現代が抱えるさまざま問題も網羅され、リアルな作品世界が構築される。自転車が街を駆け抜けていく疾走感に象徴される小気味のいいテンポ、アップを避けロング&ミディアムショットのカメラワークで切り取られた少年たちの姿は、まるで一陣の風を送ってくれるかのようだ。
優 秀 <東京放送>3年B組金八先生 †
↑プロデューサー 柳井 満 ディレクター 福澤克雄 脚本 清水有生 原作 小山内美江子
東京・足立区の桜中学校3年B組を舞台に繰り広げられるシリーズも、開始から四半世紀。2004年に始まった第7シリーズは、低年齢化の進むドラッグ汚染を取り上げた。番組は、シリーズのクライマックスとなる全22話中の18話と19話。
覚せい剤中毒に陥った生徒と、彼を救おうとする金八先生と生徒たちの奮闘が感動的だ。ドラッグという難しい問題に正面から挑み、それを視聴者に馴染みのある舞台設定の中で物語として成立させることと戦った姿勢は、評価に値する。さらに、ドラマを通じて社会的メッセージを発信することの重要性を再認識させた。今後も、常にタイムリーなテーマでの継続が期待される。
優 秀 <テレビ東京>テレビ東京開局40周年記念 市原悦子ドラマスペシャル「黄落(こうらく)、その後」 †
↑チーフプロデューサー 佐々木彰 監督 石橋 冠 脚本 鎌田敏夫 出演 市原悦子ほか
1997年5月放送の「黄落」は、市原悦子扮する主婦が義母を看取る介護の姿を描き、平成9年民放連賞〔テレビドラマ番組〕優秀受賞など高い評価を得た。その続編とも言える本作は、義母の死後、奔放で頑固な90歳の義父が天寿をまっとうするまでを嫁の目を通して描いた。
徘徊、失禁、被害妄想――痴呆の進行と、それと格闘する家族たちを、小林桂樹、市原悦子、愛川欽也ら芸達者たちがユーモアを交えながらリアリティー豊かに演じ、誰もが避けては通れないテーマであることを実感させられる。かつて若者向けドラマで一世を風靡したスタッフ陣が、こうしたテーマに正面から挑んでいることも、示唆に富む。
優 秀 <毎日放送>阪神淡路大震災10年特別企画 悲しみを勇気にかえて †
↑プロデューサー 薮内広之 ディレクター 竹園 元ほか 撮影 関 照男ほか 出演 西田敏行ほか
阪神・淡路大震災から10年。被災地の人々が苦境を乗り越えながらも前向きに生きてきた軌跡を、ナビゲーターによる紹介と膨大なドキュメンタリー映像を織り込みながら、実話に基づいた4話のオムニバスドラマで構成した。
誰の記憶にもまだ生々しい事実をベースに、ドラマとドキュメントを融合させる難しい作業を克服して、説得力を獲得した。何より、インタビューに登場する被災者たちのひたむきな生き方と勇気が感動的だ。
優 秀 <読売テレビ放送>社長をだせ! †
↑プロデューサー 田中壽一、畠中基博 ディレクター・脚本 岩松 了 撮影 浜田 毅
あるカメラメーカーのクレーム処理担当の女性を主人公に、ヤクザや愉快犯など、クレームに訪れる一癖も二癖もある人々との人間模様を描いた。物語は、クレーム処理に訪れた男との恋愛関係を中心に展開する。バツイチで“負け犬”の主人公が、正体不明のおかしな男に惹かれていく過程がスリリングだ。
ヒロインを演じる鈴木京香の魅力もふんだんに生かされており、劇作家でもある岩松了らしい。作品世界と“大人のドラマ”への可能性が感じられた。
CM部門 †
↑ラジオCM 第1種(20秒以内) †
↑最優秀 <山口放送>おぶつだん・お墓の翠心堂“仏壇・仏具・墓石販売/チンして篇”(20秒) †
↑プロデューサー 村田俊子 ディレクター 佐々木忠義 構成・コピー 山野雅子(フリー) 録音技術 香川慶一(KRYプロモーション)
外から帰ってきた子どもが、母親におやつをねだる。「おじいちゃんのところにおまんじゅうあるから、いただきなさい。」(おじいちゃんのところ?)「チンして食べるのよ」(まんじゅうを温める?)電子レンジで温めるのかと思いきや、「チーン…」、仏壇の鈴(りん)の音が響く。母と子の日常の会話をとおして、生活に溶け込んだ仏壇の存在感をうまく表現した暖か味のある秀逸な作品である。
優 秀 <札幌テレビ放送 (注)>札幌グルメフーズ“ジンギスカンキャラメル/100円のジンギスカン”(20秒) †
↑プロデューサー・ディレクター・アイディア・企画・構成・コピー 岡崎みどり 出演者 長屋俊明(札幌グルメフーズ)、急式裕美 音楽・サウンド・エフェクト・録音技術 大針三治
今や全国ブームとなった北海道グルメの定番「ジンギスカン」。これを甘いキャラメルと融合させた強烈なお菓子が「ジンギスカンキャラメル」である。作品は、試食者のリアルな「ああっ…まっずいっ!」「何これ!気持ち悪い!」という声に、製造・販売元の札幌グルメフーズ・長屋社長の「まずくても、売れています」という殺し文句が続く。意外性と話題性で勝負するアイディア商品のイメージを生かした作品である。
(注)平成17年10月1日より「STVラジオ」として、札幌テレビ放送よりラジオ免許を承継。
優 秀 <エフエム東京>ジャパン・ピアノサービス“企業PR/エリーゼ 起きて!”(20秒) †
↑プロデューサー・アイディア・企画 林屋創一 ディレクター・構成・コピー 山口景子
出演者 池田 穣(クリエーターゼロ) 音楽・サウンドエフェクト 亀川浩未(インクルード・ピーディー)美しいピアノの音が奏でる「エリーゼのために」が、突然「ガー」「グォォー」とイビキのSEでかき消される。その後、終電で寝過ごした乗客を起こすように「起きてくださぁい」とコメントが…。ジャパン・ピアノサービスは中古ピアノを買い取り、メンテナンスして美しい音色をよみがえらせる企業である。家庭で長年弾かれることがないピアノをイビキをかきながら眠っている人に見立て、ピアノの目を覚まさせ、美しい音を復活させようとコミカルに訴える作品である。
優 秀 <朝日放送>朝日放送“阪神淡路大震災10周年記念キャンペーン“ボイスオブ117”/未来 篇”(20秒) †
↑プロデューサー 小田寿一、田結荘斎治 ディレクター 大西寿典 アイディア・企画 浦田 拓(フリーマン)
阪神淡路大震災から10年。作品は阪神エリアでの街頭インタビューにより構成された7本の連作CMのうちの最後の一つで、テーマは「未来」。「震災を体験するまで死とか生きるということを考えていなかった」などといった震災体験者の言葉をそのままリスナーに聞かせることにより、震災の教訓を深く刻みつけるとともに、運命の中の人間のあり様も考えさせる作品となっている。
優 秀 <エフエム熊本>見上(けんじょう)カントリークラブ“見上(けんじょう)カントリークラブ宇土コース/ノーキャディ・システムのゴルフ場”(20秒) †
↑プロデューサー 竹内信也 ディレクター 高瀬裕章 構成・コピー 山本雅治(フリー) 録音技術 陣内 稔(中央録音システム)
「ノーキャディ・システム」というキャディがつかないことで、安心価格が売り物の見上カントリークラブ。作品は、このシステムの特徴を社内ゴルフをモチーフにドラマ風に仕立てた。社長、専務、部長などが同一の組でラウンドする風景を、画のないラジオならではの方法でユーモラスに表現し、堅苦しくなく楽しめるゴルフ場の雰囲気を演出した。
ラジオCM 第2種(21秒以上) †
↑最優秀 <ニッポン放送>日本音楽著作権協会 “企業PR/コインになった音楽家”(90秒) †
↑プロデューサー 関 孝一(日本音楽著作権協会)、高橋晶子
ヴィバルディ、モーツァルト、ムソルグスキー…音楽の教科書にも出てくるような有名な音楽家である彼らは、今はそれぞれ生国の銀貨等のコインに肖像として生きている。しかし、実際の彼らはその名声とは無縁の貧しく悲惨な最期を遂げた。彼らの時代にJASRACがあったなら…。「コインになった音楽家が、コインに愛されたとは限らない」。シンプルながら秀逸なコピーで、著作権とJASRACの意義を表現した作品。
優 秀 <エフエム東京>東芝“企業PR/変な爺さんの物語”(120秒) †
↑プロデューサー 林屋創一 アイディア・企画 中村由美 構成・コピー 中山佐知子(ランダムハウス) 音楽・サウンドエフェクト 森田仁人(キューテック)
作品の「変な爺さん」は東芝の創業者である田中久重のこと。幕末の発明王であり、今でも和時計の傑作といわれる万年時計や、蒸気船、電信機など作ったが、なによりも「変」なのは彼のまっさらな志である。77歳で創業した時、会社の看板には「役に立つ機械を作って世の中のためになりたい」と書いてあったという。この「変な爺さん」の志は今でも同社に引き継がれている。企業イメージを豊かに表現した逸品である。
優 秀 <中部日本放送>江上クリーニング店“企業PR/昔の恋人”(60秒) †
↑プロデューサー 羽雁 彰 ディレクター 江良純治 出演者 細井 治(アーツビジョン)、丹野みどり
男がバーで昔の恋人に再会する。彼女は、自分のもとから去ったことで前よりもきれいになっていた。そんな彼女に嫉妬を覚えて、情けなくも男は自らの心を真っ白にしたいと復縁を迫るが、「それは無理」と断られる。クリーニングに出した服が新品のようにきれいになって手元に戻った時の感動を、男女の恋愛感情の機微になぞらえ、ハードボイルド風に仕立てた作品。
優 秀 <朝日放送>大辰(だいたつ)水産“大辰(だいたつ)水産のハモ/関西人の心 篇”(60秒) †
↑プロデューサー・ディレクター 大西寿典 ディレクター 野本友恵、大串隆男 構成・コピー 浦田 拓(フリーマン)
関西の夏の旬の味覚、鱧(ハモ)。上品で淡白な味わいは関西の夏には欠かせないものだ。しかし、その美味さを言葉で表現するのは難しい。作品では、関東から来た嫁が繰り返すハモについての勘違いに、関西人の義父が最初はひとつひとつ「それではない」とやさしく対応するが、とうとう最後に堪忍袋の緒が切れ、ハモとはどのようなものかを言葉で言いうる限り怒鳴りちらす。それによって、関西人のハモに対する並々ならぬ思い入れと、ハモ自体の魅力を同時に伝えようとする。
優 秀 <エフエム大阪>大阪市市長室・広報課“光のルネサンス/光のルネサンス篇”(95秒) †
↑プロデューサー 三木茂雄 ディレクター・アイディア・企画・構成・コピー たけお秀幸(ビッグフェイス)
出演者 Pooly(ごろっぴあ)、内田詳子(ごろっぴあ)12月の大阪・中之島。仕事帰りの夫が妻を呼び出す。妻が久しぶりに訪れた中之島は、市役所前のクリスマスツリーやライトアップで光り輝き、ロマンティックな空間に変わっていた。夫は妻を「ちょっと歩こう」と誘う。毎年12月の初めからクリスマスまで行われている光のイベント「光のルネサンス」のPR。慌しい年末に、ちょっとだけ優しい気持ちを思い出させてくれそうな心温まる作品である。
優 秀 <和歌山放送>和歌山放送“音へのこだわり(自社PR)/謎の「荒城の月」”(95秒) †
↑プロデューサー・ディレクター・アイディア・企画・構成・コピー 三宅良治 出演者 赤井由賀里(フリー)
瀧廉太郎作曲の「荒城の月」。小学校や中学校の音楽の授業で習い、誰でも知っている有名な曲だが、私たちの知っている「荒城の月」は、作曲家・山田耕筰が編曲したものだという。作品では、瀧廉太郎が作曲した原曲と山田耕筰の編曲した曲の違い「レの♯」に注目。小さな違いがもたらす微妙なニュアンスの変化を取り上げることで、和歌山放送の「音」へのこだわりを丁寧に表現した。
テレビCM †
↑最優秀 <中部日本放送>愛知県経済農業協同組合連合会“JAあいち経済連のお米/ごはんを食べよう!”(90秒) †
↑プロデューサー 藤井 稔 ディレクター・アイディア・企画 二村久美子 構成・コピー 高野史枝(フリー) ナレーション 小堀勝啓
学校給食で、子どもたちが白いごはんを残している。原因は、並べられたものを一皿ずつ順に平らげる「ばっかり食べ」。日本人は、おかずとごはんを口の中で混ぜ合わせて味を調節する「口中調味」ができる世界でも数少ない民族である。しかし、今の子どもたちの中には、この口中調味をうまくできない子が増えているらしい。伝統的な食文化である口中調味を失い、ごはんを上手に食べられない日本人が増えることに警鐘を鳴らす秀逸な作品である。
優 秀 <新潟放送>新潟放送“キッズプロジェクト(自社PR)/読み聞かせリターン「ありがとう」篇”(60秒) †
↑プロデューサー 榎並直登 ディレクター・アイディア・企画 橋良行 出演者 田巻直子 事業担当 板垣 忍
昨年10月に新潟を襲った中越地震は甚大な被害とともに、人々の心にも大きな傷跡を残した。新潟放送では子どもたちの心のケアをテーマに、社員の有志とアナウンサーによる絵本の読み聞かせを被災地各所で行ってきた。この活動には、全国から読み聞かせに使う絵本が贈られるなど広がりを見せ、今後も継続される予定である。作品は、この活動に参加してくれた子どもたちや関係者へのお礼と自社の活動ポリシーを表現した。
優 秀 <読売テレビ放送>読売テレビ放送“『10チャンネル』キャンペーン/『10(ジュウ)シィーなお肉』篇”(15秒) †
↑プロデューサー 藤本美歩、西川章洋 ディレクター 小林達行(東映CM) 企画 岡田文章(博報堂)
読売テレビでは、2005年から自社の『10チャンネル』というブランド表示のキャンペーンを展開している。街のステーキ屋さんで目の前で焼かれる美味しそうなお肉に夢中になって「ジュウ、ジュウ」とつぶやく子ども。カメラが引くと、お肉が「10」の形なっている。子どもが夢中になる姿を通して、「ご覧のチャンネルは10チャンネルです」というメッセージを、非常にシンプルに表現し、自社ブランドをアピールした作品。
技術部門 †
↑最優秀 <東京放送>デジタルFPU方向調整支援システム「見っける君」の開発 †
↑研究・開発担当者 梶原 巧、深澤知巳
デジタルFPUのOFDM方式特有の信号波形に着目し、微弱電波であってもノイズに埋もれた伝送信号を検出してメーター表示する技術を実現し、これに送信機の識別表示機能や電波伝搬状態に適した伝送モードの判別表示機能などを付加したデジタルFPUの方向調整支援システムを開発・実用化した。
これにより、デジタルFPUを用いた中継回線の構築が迅速かつ容易に行えるようになり、報道・番組中継技術の高度化に大きく貢献した。
優 秀 <札幌テレビ放送>災害情報システムの開発と実用化 †
↑研究・開発担当者 金子長雄、島 昌弘、近藤定紀、松平 修
地震・台風・大雪等の災害や大事故発生時の災害情報をデータベースで一元管理して最新情報を社内で共有し、テレビ放送のL字画面やラジオ放送等に活用するとともに、インターネット・携帯電話向けサイトへ自動配信を行う災害情報システムを開発・実用化した。
これにより、地域住民へ各メディアを通して正確かつ迅速な災害情報が提供可能となり、報道機関にとって重要な災害情報システムの発展に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン>HD中継用多機能多重化装置「Smart MUX」の開発 †
↑研究・開発担当者 廣野二郎、池川秀彦、佐川幸栄、梅川修三
SDTV用伝送回線を束ねてHDTV素材を伝送できるバルク機能、伝送断が生じても映像・音声にショックなく自動切換できるダイバーシティ機能、複数素材を1つの回線にまとめて伝送できる多重機能を備えたHDTV中継用多重化装置を開発・実用化した。
これにより、FPUや光ファイバー、SNGなどの既存SDTV用伝送設備を活用しつつ、高品質かつ信頼性の高いHDTV伝送が可能となり、番組制作技術の発展に貢献した。
優 秀 <フジテレビジョン>モーションコントロールカメラシステム「Camsat」の開発・運用 †
↑研究・開発担当者 関 克哉
カメラ雲台を曲線アームに取り付けて昇降させながら、固定テーブル上の被写体の周りを回転させることで、さまざまな角度からの移動撮影を可能としたモーションコントロールカメラシステムを開発・実用化した。
これにより、人物と背景(実写・CG)との複雑な映像合成や生番組での遠隔地間同期合成などが低コストで可能となり、テレビ放送における映像表現技術の向上に貢献した。
優 秀 <中京テレビ放送>監視カメラと民生用HDD録画機によるマルチカメラシステム †
↑研究・開発担当者 川本哲也
外部同期機能を備えた監視カメラと高性能化・低価格化が進む民生用HDD録画機を組み合せることで、数年前から研究に取り組んできた“タイムスライス映像”の撮影・再生システムの画質や運用性などの改善を図ったマルチカメラシステムを開発・実用化した。
これにより、スポーツ中継番組などにおけるマルチアングルのカメラ設置・撮影が安価で可能となり、テレビ放送におけるカメラ撮影技術の向上に貢献した。
優 秀 <毎日放送>映像・音声・受信状況データ全てをTSで出力するデジタル/アナログ両対応FPU受信機の開発 †
↑研究・開発担当者 山本一義、柴山武英
FPU受信基地のデジタル化対応のため、アナログ伝送時であっても、デジタル伝送時と同様に、映像・音声・受信状況データの全てをMPEG-2のTS信号形式で出力するアナログ・デジタル両方式対応FPU受信機を開発・実用化した。
これにより、FPU受信機以降の伝送システムをデジタル系統に一本化でき、デジタル・アナログ両方式FPUの混在運用期間における設備効率・運用効率の向上に貢献した。
優 秀 <読売テレビ放送>データ放送チェッカーの開発 †
↑研究・開発担当者 谷知紀英
デジタル放送受信機のリモコンをパソコンで自動制御することで、地上デジタルテレビ放送のデータ放送の全ページを巡回しながら、画像認識技術を用いて異常時のエラー検出を行うデータ放送のオンエア監視システムを開発・実用化した。
これにより、データ放送の送出システムから独立した安価な自動監視システムの構築が可能となり、地上デジタルテレビ放送の送出業務の省力化・効率化に貢献した。
放送活動部門 †
↑ラジオ放送活動 †
↑入 選 <青森放送>あおもりTODAY・月曜ラジオバザール リスナーと共につくりあげたアクションラジオ その放送活動と成果 †
↑実施責任者 三浦明子
リスナーが考えた番組・イベント企画に番組スタッフや他のリスナーが協力。「りんご園でりんご箱ステージコンサート」「子ども合唱団づくりと歌唱指導、発表会」「ねぷた応援」などの“アクション”を実施している。スタジオを飛び出し、リスナーとともに作り上げた企画を番組として放送することで、放送局と地域の人々だけではなく、地域の人々同士の一体感を高めることにも成功している。
入 選 <文化放送>クリーンライフ みのりの箱 キャンペーン †
↑実施責任者 森忠 荘
1977年から続く「みのりの箱」募金活動を母体に1985年からスタートした、放送エリア内のクリーニング店、約9000店の協力による募金活動。店主自らスポットCMに出演し、店頭に設置した募金箱への募金を呼びかける。集まった募金総額は1億3000万円を超え、募金を寄贈した福祉施設の数は1375か所にのぼる。また、地元住民の生活に日頃から密接なつながりを持つクリーニング店の特長を生かし、放送エリア内400店と災害時の情報ネットワークも結んでいる。生活に密着したメディア、ラジオの特性を生かした活動。
入 選 <山梨放送>商店街応援キャンペーン しあわせ商店街 ラジオがおこす再生の風 †
↑実施責任者 山田 歩
古くからの商店街を再び活性化させるための応援企画。午前、午後の二つのワイド番組で、それぞれの視点から一つの商店街を紹介していく企画「しあわせ商店街」を中心に、商店街や地域の話題を紹介している。また、歴史的な名所や商店街を歩きながら巡る「ふるさとウォーク」、ラーメン店との協力による新商品の開発など、商店街に人をひきつけるイベントなどを多角的に実施。新たな地域の魅力を発見・創造し続けている。
入 選 <ZIP-FM>LOVE OUR PLANET CAMPAIGN †
↑実施責任者 善積紀恵
「温暖化」「エネルギー問題」など、地球環境はさまざまな課題を抱えている。そんな中、まずメディア自身が行動を起こすべきとの考えから、2002年にスタートしたキャンペーン。DJ全員による「環境に配慮するライフスタイルへのメッセージスポット」や「街頭クリーンアップ活動」などを実施しているほか、環境マネジメントシステム国際規格である「ISO14001」認証を取得するなど、企業としての努力も怠らない。世界共通の課題を自らの行動を通じて、声高ではなく、優しく地域に訴える活動。
入 選 <京都放送>もしものそのとき、地域のいのちと心を救えるラジオに。防災キャンペーン †
↑実施責任者 仁木義人
大規模な自然災害に対して、地域の「いのちを守る」「暮らしを守る」ために何ができるのかを考えて展開したキャンペーン。専門家とともに、地域に密着した災害対策を検証する番組『災害シミュレーションラジオ』を中心に、災害への備えを訴える。また、キャンペーン・スポット「ことわざ防災メモ」の放送など、親しみやすい方法で防災知識を啓発。防災問題を地域の特性に引き寄せて捉え、多角的に展開する好企画。
入 選 <四国放送>ふるさとラジオ小説 †
↑実施責任者 新井明美
徳島を拠点に活動する作家たちが、故郷の歴史を小説に書き残そうと1980年に発足した「阿波の歴史を小説にする会」。そこで創作された歴史小説を『ふるさとラジオ小説』として、1986年から毎週放送し続けている。放送にあたっては、時代考証をはじめ、ラジオ番組ならではの伝え方についても作家たちと議論を尽くす。郷土の作家と放送局が一体となり、新たな歴史を発掘していく活動には、故郷に注ぎ込む愛情が強く感じられる。
入 選 <宮崎放送>MRT環境スペシャル「みやざき川物語」 †
↑実施責任者 湯浅和憲
「MRT環境スペシャル『みやざき川物語』」は、聴取者とともに、宮崎県内の河川とその流域の人々の暮らし、歴史、文化などを振り返り、河川の役割と将来のあるべき姿を考える番組。川にまつわる伝説・昔話をドラマ化して紹介するなど、親しみやすい方法で流域の文化を伝えている。また、流域で行われるイベントなどにも積極的に参加、紹介するなど、その活動はスタジオ内にとどまらず、地域を巻き込んだ環境運動となっている。
テレビ放送活動 †
↑入 選 <札幌テレビ放送>災害報道活動 ~住民の生命、財産を守るための報道を目指して~ †
↑実施責任者 萬谷慎太郎
「災害情報システム」は、災害時に収集した情報をすべてデータベースで一元的に管理し、テレビ、ラジオ、インターネット、携帯サイトで自動配信を行う。2003年に発生した十勝沖地震での報道を丹念に検証した結果、“内容の重要度を見極め、複数の情報ツールで時差なく同質の情報を提供できるシステム”の構築に至った。日々の防災啓発活動に加え、災害時にマスメディアは何ができるかに焦点を絞った取り組みは評価される。
入 選 <東京放送>「みのもんたのサタデーずばッと」年金食いつぶしシリーズ †
↑実施責任者 森島邦夫
2003年2月からほぼ毎週「シリーズ年金食いつぶし」コーナーを放送し、社会保険庁による年金の無駄使い、納入業者との癒着などを指摘してきた。職員専用のマッサージ器が年金で購入されていた事実は、番組のスクープとなった。しかも、番組はこうした問題点を厚生労働大臣、社会保険庁長官など責任者たちに直接ぶつけてきた。一つのテーマを60回以上継続している報道姿勢は評価に値し、社会保険庁改革にも一定の影響を与えていると言える。
入 選 <信越放送>SBC元気だ!信州キャンペーン「大豆100粒運動」 †
↑実施責任者 田中哲郎
日本の食を支える大豆の自給率はわずか5%。“自分の食は自分で支えていかなければ”という料理研究家・辰巳芳子さんの思いに共鳴し、「大豆100粒運動」を2004年から展開している。100粒の種から1.5㎏の大豆ができ、5㎏の味噌ができる。「大豆を育てて日本の食を見直そう」と呼びかけ、信州産の大豆100粒をプレゼントする企画に、初年度は長野県下32の小学校をはじめ約2000人が参加した。大豆の収穫後も、企画はさまざまな形に発展しており、キャンペーンの広がりを実感できる。
入 選 <テレビ金沢>『ラララ白山』でふるさと教育 †
↑実施責任者 金本進一
『ラララ白山~かつ先生のふしぎ教室~』は、石川のシンボル“白山”の魅力を子どもたちに伝えていくために、2004年4月から始まった15分番組。白山という広大なフィールドを一つの自然学校に見立て、動物や植物、地質、気象などの「ふしぎ」を“理科”という視点で見つめ直す。番組をビデオ副読本として活用できるよう工夫していることや、番組ナビゲーターが小学校を訪れる「出前教室」など、学校教育との積極的な取り組みも評価される。白山の自然と子どもたちの表情を捉えたハイビジョン映像も新鮮である。
入 選 <読売テレビ放送>「震災10年 10Days Remember ~そして未来へ~」 震災報道と防災 継続的な報道活動 †
↑実施責任者 藪田正弘
阪神・淡路大震災からの10年間を振り返るとともに、次の10年を見据える年として、番組・イベントに取り組んでいる。特に2005年1月17日に向けた10日間は、「震災10年 10Days Remember~そして未来へ~」とし、集中的に番組を放送。また、震災を知らない世代が育ちつつあることから、神戸市、神戸大学などと共同で「震災教育」の教材づくりプロジェクトを立ち上げた。バランスのとれた取り組みを、文字通り継続的に進めている。
入 選 <中国放送>被爆60年 ヒロシマの記憶 †
↑実施責任者 大原健嗣
日本映画新社が保存する、被爆2か月後の広島・長崎の様子を撮影した3時間の未編集フィルムを、新たにハイビジョンテープにダイレクト転写した。これに開局以来の映像資料や新たな取材などを加え、3分30秒の番組に構成。被爆後2か月後に撮影された広島の映像に、新たな映像資料を加えることで、視聴者が“現在”と連続して捉えることができるようにした。圧倒的な迫力で原爆の非人道性を伝える鮮明な映像からは、地元の報道・映像メディアの使命感が伝わってくる。
入 選 <福岡放送>めんたいワイド「こいぬのココロ」 †
↑実施責任者 高橋理雄
犬・猫の殺処分数が、7年連続全国ワースト1の福岡県。その数は年間およそ2万3000頭にのぼる。「こいぬのココロ」は、情報番組『めんたいワイド』の週1回のシリーズ企画として放送。“処分される犬・猫のほとんどは飼い主が持ち込む”“処分方法は、安楽死ではなく炭酸ガスによる窒息死”などの実態を伝えた。2年間の取り組みの結果、獣医師会が不妊去勢手術の推進に取り組むとの宣言を表明するなど、前進の兆しもみられる。重いテーマを現実から目をそらさず根気強く取り上げており、制作者の熱意が感じられる。
統一キャンペーンスポット部門 テーマ:「守ろう地球環境」 †
↑ラジオスポット †
↑最優秀 <ニッポン放送>3秒(60秒) †
↑制作責任者 高橋晶子
環境問題を考える際、真正面から取り組むと、未来を悲観してしまったり、難しく大変なことのように思えてしまう場合がある。この作品では、ほんのちょっとしたこと、身近な“なんだか自分にも出来そうなこと”に着目し、たった「3秒」、みんなが車のアイドリングをやめることで、温暖化の防止をはじめ想像以上に大きな効果があることを訴えている。派手な効果音を使うことなく、静寂と車のエンジン音、鳥の声などを効果的に使い、ラジオならではの奥行きのある音の世界を見事に描いている秀作である。
優 秀 <北海道放送>世界自然遺産編(60秒) †
↑制作責任者 澤出 寛
「自然を守る」=「人間が足を踏み入れないように、手つかずのまま守る」という発想を転換し、「人がいても美しくある自然」が存在することを紹介し、自然と人間の“距離”を考えた視点が秀逸である。自宅を熊に押し入られた経験を持つ婦人の語り口により、“自然を守り、調和して暮らすためには、まず自然の姿をあるがままに受けとめることが大切だ”というメッセージが素直に伝わる作品となっている。
優 秀 <TBSラジオ&コミュニケーションズ>MOTTAINAI(60秒) †
↑制作責任者 大手ひろみ
国連の場で、突然「もったいない」という日本語が脚光を浴びたことを取り上げ、その言葉の持つ多様な意味をもう一度考えることによって、環境問題を考えることを訴えている。外国人の発する「もったいない」という言葉の響きを通じて、現代の日本人がその意味を日々の暮らしの中で感じているかを問い、いわば“言葉の逆輸入”現象を使って環境問題を考えさせた優れた作品である。
優 秀 <エフエム東京>校歌斉唱(60秒) †
↑制作責任者 中村由美
誰もが一度は歌ったことがある小学校の「校歌」。そこには、故郷の自然が歌われているものが多いことに着目。聴く人の心にその風景を呼び起こし、自然の大切さ、そしてそれを次世代へ責任を持って渡すことの大切さ、などを実際に校歌の一節を歌う人の声とそのエピソードを盛り込みストレートに訴えている。「あの頃、体いっぱいで感じた自然は、今、どうなっていますか?」という作り手のメッセージが郷愁とともに心に深く伝わり、印象に残る作品となっている。
優 秀 <J-WAVE>ロンドンの夜の雨(60秒) †
↑制作責任者 大谷恭代
お正月番組のBGMとして親しまれている、邦楽の名曲「春の海」。この作曲者であり、盲目の芸術家であった宮城道雄の手になる標題の筝曲に光をあて、彼の作品を通じて自然を感じることの大切さを伝えている。目を閉じて、雨音に耳を澄まし、自然の中に満ち溢れる“音楽”を感じること―― そこからはじめて見えてくる世界を、ラジオならではの様々な音の表現で描き、自然を感じることが環境問題を考える第一歩だというメッセージが深く伝わる秀作である。
優 秀 <朝日放送>ママは、地球(60秒) †
↑制作責任者 大西寿典
「食べられなければ、残せばいい」。そんなレストランでの何気ない会話を通じ、日常の暮らしの中で、いかに“何気なく”資源の無駄使いをしているかを考えさせる作品。環境保護の感覚のない“親”と、それを戒める“子供”という、一見逆転した関係設定により、嫌味のない新鮮な演出効果をあげている。単に「食べ物を大切に」というだけでなく、その輸送にも莫大なエネルギーが必要なことなど、ユーモア仕立ての中に問題提起を忍ばせた、優れた作品である。
優 秀 <朝日放送>笑いごとやないで!(60秒) †
↑制作責任者 大西寿典
出囃子が鳴り、漫才が始まる―― その小気味よいテンポで聴取者を一気にラジオの世界に引き込み、いわば“温暖化漫才”から環境問題を考えさせるという、斬新な手法が楽しい作品。何気なく過ぎていく日常の暮らしの中で、冗談では済まされぬスピードで、地球の温暖化が急速に進んでいることを提起しながら、アイドリング・ストップや電気製品の廃棄に注意するなど具体的なメッセージを盛り込んだ、秀逸な作品である。
テレビスポット †
↑最優秀 <IBC岩手放送>おらほのまちのもったいない宣言(60秒) †
↑制作責任者 角舘郁也
北上山地の山間にある過疎の小さな町、岩手県葛巻町。ここでは、町の活性化を図るため、自然エネルギーの活用に取り組み、風力発電や間伐材の有効利用など、次々と斬新なアイデアを実現させ、現在ではエネルギーの自給率は78%を達成している。日本のどこにでもあるような小さな町の、独自の環境問題への取り組みを軽快な語り口で紹介し、そこから見えてくる現代社会の問題点と可能性を「もったいない」をキーワードに考えた、秀逸な作品である。
優 秀 <札幌テレビ放送>翻弄される知床の鳥たち(60秒) †
↑制作責任者 菊地璋子
原始の森の姿を残すと言われ、世界自然遺産にも選ばれた知床には、絶滅危惧種である天然記念物のオオワシやオジロワシが多く生息し、「鳥の楽園」と言われている。しかし、その実態は人間が出すゴミやエサに集まっているに過ぎない。そんな知られざる現実を取材し、鳥の数だけで自然の豊かさをはかることのむなしさ、そして人間のエゴによる“不自然な生態系”が形成されている現実を伝え、静かに心に響く優れた作品となっている。
優 秀 <中部日本放送>「ずっと遠くの、どこかで…」(60秒) †
↑制作責任者 藤井 稔
南太平洋に浮かぶ小さな島、ミクロネシア連邦・コスラエ島では、近年、地球温暖化の影響で海面が上昇し、砂浜に立つヤシの木が次々と倒れている。ここに住む老婆は「ずっと遠くの、どこかで起きていることが原因だから、私にはどうすることもできない」と嘆く。同様にグリーンランドでは、冬でも北極海が凍らなくなった。私たちが日本で行ったことが、遠くのどこかを苦しめているという現実に警鐘を発する示唆に富む作品である。
優 秀 <中京テレビ放送>「海面を走る花」(60秒) †
↑制作責任者 織田忠士・松下昌興
西表島の浅瀬に生息するウミショウブは、夏の大潮の日、最も潮が引いたほんの数時間の間に雄花を海面に散らせ、風に乗せて雌花へと走らせるという不思議な習性を持つ。自然環境を巧みに利用して生きている、この貴重な映像を効果的に使い、太古から続く自然の営みの不思議さ、そしてそのかけがえのなさをストレートに伝えている。視聴者の興味を惹起させる構成は秀逸で、美しい映像とともに心に残る素晴らしい作品となっている。
優 秀 <毎日放送>湧き水の郷(60秒) †
↑制作責任者 越智 暁
陰影に富む美しい映像で、誰もが心に描く日本の原風景のような旧中山道の小さな宿場町を静かにとりあげた作品。ここでは、旧街道に沿って流れる「湧き水」が生活に欠かせない存在となっている。その水の流れは、絶滅が心配される水中花や小さな魚などが生きる世界でもあり、この美しい水でしか生きることが出来ない動植物がいる。そんな美しい自然を描くことで、私たちの周りにある貴重な自然に目を向けさせ、自然の恵みへの感謝の気持ちを喚起させる優れた作品である。
優 秀 <読売テレビ放送>リンゴの教訓(60秒) †
↑制作担当者 小俵靖之・吉川秀和
山から下りてきた熊によって、自分の大切なリンゴ1万個を食い荒らされた農園主は、その怒りが治まった後、ふと「何故、熊は山を下りてきたのか」という疑問を抱く。食べ物が無くなり、必死の思いで人里へ下りて来なければならない熊の姿と、自ら被害にあいながらも、その熊を助けようと餌になるドングリを蒔き、苗木を植える農園主。その姿を対比して描き、人間と自然との共生への希望を伝えた、心温まる秀作である。
優 秀 <熊本県民テレビ>海の森(60秒) †
制作責任者 竹藤栄利子
人間が海に流した水銀によって、一度は「死の海」となった水俣湾。その海は想像を超えた生命力を発揮して復活し、今ではたくさんの魚が戻っている。自然の持つ強靭な自浄作用と、それを手助けしようと海藻を育てる地元の漁師たちの努力を映像に収め、「人間だからできること、人間にしかできないこと」というメッセージを率直に伝えている。その卓越した企画・構成とともに、水俣病の認定から50年という節目の時に、メディアとしての責任を果たそうとする姿勢も高く評価される。