2026.3.19 早河会長定例会見

【日 時】 2026年3月19日(木) 午後4時30分~5時10分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○次期会長候補者として選定された所感

◆記者:2025年を振り返っての所感を聞かせてほしい。

◆早河会長:昨年5月の就任以降、フジテレビ事案への対応に追われた。民放への信頼、信用が大きく揺らいだ事案であり、人権尊重・コンプライアンス遵守・ガバナンス強化などに対応してきた。会員社や関係各所のサポートもあり、自律的な対応策をまとめることができた。次期は対応策を的確に実行し、民放への信頼を確かなものにしたい。また、メディア環境の変化を踏まえ、民放業界が直面する課題の解決に力を尽くしていきたい。

 

○同一放送対象地域における複数テレビ局の支配

◆記者:総務省の有識者会議は、同一放送対象地域における複数テレビ局の支配を可能とする方向で提言をまとめているが、いわゆる「1局2波」に関する民放連の考えを聞かせてほしい。

◆早河会長:総務省有識者会議は、早ければ年度末にも第4次取りまとめ案を策定する見通しと認識している。昨年12月の有識者会議で、民放連は地上テレビ127社のアンケート結果を提出し、「1局2波」に関する考え方が会員社の中でも分かれていることを説明した。アンケート結果では「経営の選択肢として兼営・支配を認めることが望ましい」が39社(31%)、「変更は必要ない」が30社(24%)、「どちらとも言えない」が58社(46%)だった。民放連「放送計画委員会」において複数回にわたって議論している状況だ。

 

○国際的なスポーツイベントにおける放送の役割

◆記者:冬季オリンピックやWBCが終了したが、国際的なスポーツイベントにおける放送の役割について、民放連会長としての考えを教えてほしい。

◆早河会長:冬季オリンピックは日本人アスリートの活躍が目覚ましく、その映像を無料で視聴者に伝えた。人々の関心に応えるとともにスポーツや文化の発展・普及に寄与することが放送の重要な役割と認識している。一方、放送権料の高騰は止まらない。広告収入で生計を立てる民放事業者としては、消費者ニーズだけでなく、経営の観点も重視しなければならない。番組制作の予算によって判断せざるを得ない面があり、悩ましい問題だ。オリンピックに関しては、NHKと民放がコンソーシアムを組んでいるが、前回のサッカーW杯はそうではなかった。この傾向は今後も続くのではないか。

今回大会をNetflixで視聴した人数は公表されないだろうが、東京ラウンドで日本戦が配信されたことによる地上波視聴率への影響は一定程度わかっている。(試合があった時間の)NHKと民放の視聴率は3日間すべてで減少しており、独占配信の影響を受けているのだろう。

テレビ朝日の視聴者センターには「WBCのような国民的関心の高い大会は地上波でも見られるようにしてほしい」「民放局や関係各社で連携して放送権を確保してほしい」「高齢者など非ネット利用者にも配慮した視聴環境にしてほしい」といった意見が寄せられた。WBCの次回大会に関する放送権について決まっていることはないと思うが、イギリスのように国民的イベントには有料ではなく、無料でストレスなく接触できるようにしてほしいとのニュアンスの意見が届いていた。

◆記者:昨日のNHK会長会見では、WBCを地上波で放送できなかったことについて、民放事業者やさまざまなスポーツ団体などの関係者間で前向きな議論を行う場が設けられるのではないかとの趣旨の発言があった。民放も含めて議論を呼びかけているような発言だったが、例えばオリンピックと同様にWBCの放送権をジャパンコンソーシアムで獲得することはあり得るのか。

◆早河会長:井上会長から民放に対して呼びかけがあったとは認識していない。この件は国会でもNHKに対して質疑があったが、今回大会が独占配信となって一番ショックを受けているのは、これまで大会に貢献してきたTBSとテレビ朝日だ。

ジャパンコンソーシアムといっても、WBCは予選を含め(日本の試合は最大で)全7試合しかないので、オリンピックとは事情が異なる。WBCの地上波放送に関する問題は次回大会でも議論になるのだろう。

◆記者:総務省に対してユニバーサル・アクセス権の導入を要望する考えはないか。

◆早河会長:正式に要望する段階にはない。重要なのは、国民的なイベントの映像をどんな人でも無料でストレスなく視聴できるかどうかだ。この点がイギリスの制度のエッセンスだろう。映像へのアクセス権は基本的人権のひとつであるとの考え方だ。

民放連としては各局のコンセンサスを得ることが前提だ。まずは制度に関する勉強を進めてから次のアクションを考えていくことになるのではないか。

 

○違法アップロードコンテンツと広告に関する実態調査

◆記者:本日公表された「第2回違法アップロードコンテンツと広告に関する実態調査」の結果について、受け止めを聞かせてほしい。

◆早河会長:報道発表資料に記載のとおりだが、権利侵害コンテンツを掲載する媒体や違法アップローダーへの広告費の流出は、単に民間放送の収入減の問題にとどまらず、日本のコンテンツ産業の持続可能性に影響をおよぼす問題だと考えている。コンテンツの制作にかかわった多くの関係者に正当な対価が還元されるよう、広告主の皆様には引き続きご理解をお願いするとともに、プラットフォーム事業者には権利侵害行為に対する真摯な対応を求める。

 

○BS4K

◆記者:本日、BS民放5社が4Kコンテンツを「WOWOWオンデマンド」で無料配信するとの発表があった。BS4K放送が置かれた現状について考えを教えてほしい。

◆早河会長:報道発表のとおりだが、WOWOWとBS5社がタッグを組んで4K配信を盛り上げていく。BS5社は4K番組の制作は継続するということだ。

◆記者:番組の出口が放送から配信に変わることへの受け止めはどうか。

◆早河会長:技術面でのコスト負担が大きいのは間違いなく要因のひとつだ。

 

○ブルーレイレコーダーの生産終了

◆記者:ソニーは、エンタメ事業へのシフトや採算の関係で、ブルーレイレコーダーの生産からの撤退を表明した。仮にブルーレイレコーダーがなくなった場合に、民放業界が受ける影響があれば教えてほしい。

◆堀木専務理事:動画を配信で視聴することが当たり前になりつつある中で、撤退を判断したのだと推察する。

 

○ハラスメントに関する業界横断的な調査

◆記者:フジテレビ事案を受け、ハラスメントに関する業界横断的な調査が不十分として、民間団体らが放送業界に勤務する方を対象にアンケート調査を行った結果と提言を公表した。今後、民放連が追加の調査を行う考えはあるか。

◆早河会長:調査結果は真摯に受け止める。フジテレビ事案は人権侵害の問題から始まり、法令遵守などの問題につながった。会長に就任してからの1年はハラスメントの根絶などに向けた対策に終始した。会員207社に対してハラスメントや人権侵害は経営の最優先事項として対応してほしいと繰り返しお願いしてきた。調査結果も参考にしながら、引き続き努力を継続していく。

◆記者:フジテレビの社内改革、ガバナンスや人権意識の変化をどう評価しているか。

◆早河会長:再建に向けて取り組んでいるものと認識している。

◆記者:フジテレビ事案以降も、番組出演タレントのコンプライアンス問題が続いたが、どのように受け止めているか。

◆早河会長:事例ごとに各社が対応してきたと認識している。社長が何度も記者会見を開くなどの対応を重ねたケースもある。

 

○ローカル局の経営

◆記者:ローカル局の経営が厳しくなる中で、どのような対策を講じるべきと考えるか。

◆早河会長:経費削減などのシンプルな対策はすでに講じていると思う。テレビ局の宿命でもあるマスター機材の更新などの支出をどのようにカバーしていくかという大きな問題もある。テレビ全体の広告収入が漸減する中で、人口が減少している地方はより深刻な状況にある。各系列でさまざまなシミュレーションを行っていると思うが、解決につながる決定打がなかなか見つからないのが現状だろう。

 

(了)