【日 時】 2026年6月12日(金) 午後4時~4時35分
【場 所】 民放連地下ホール
○2期目の抱負
◆早河会長:3月の会見で申しあげたとおり、昨年5月に会長に就任してから、これまで人権尊重、コンプライアンス徹底、ガバナンス強化に向けた施策を検討・推進してきた。今期はこれらの施策を踏まえ、会員各社がそれぞれ、自主的に取り組みを進めていくことになる。あらためて会長に選定されたので、引き続き、会員各社の取り組みを全力でサポートし、民放への信頼がさらに深まるように務める。
○同一放送対象地域における複数テレビ局の支配
◆記者:総務省の有識者会議でいわゆる「1局2波」が認められることになった。同一放送対象地域における複数テレビ局支配が可能となることについて、民放連の受け止めを教えてほしい。
◆早河会長:「1局2波」について、民放連は総務省の有識者会議の取りまとめに対して「将来の選択肢のひとつとして理解できる」と評価した。すぐに1局2波を希望するテレビ社があるかどうかはわからないが、総務省は民放事業者の経営基盤の強化につながる規制緩和を進めたい意向だろうし、民放としても経営の選択肢が広がることは望ましい。
民放連意見について説明すると、「地域内外への情報発信の担い手の役割をローカル局が引き続き果たし続けるためには、必要に応じて経営基盤の強化に繋がるような対応が取れるよう、なるべく多くの選択肢を事前に準備しておくことも重要」との有識者会議の認識に触れたうえで、理解できると述べた。また「多元性・多様性・地域性の確保に留意する必要がある」との記述は重要かつ的確な認識と評価したうえで、放送エリアの実情をよく理解し地域社会に貢献してきた地元テレビ局同士が合意のうえで、これを選択することが大原則であり、意に反した再編・統合を強要されることがあってはならないとした。
民放連が地上テレビ127社に行ったアンケートでは、「経営の選択肢として兼営・支配を認めることが望ましい」が31%、「変更は必要ない」が24%、「どちらとも言えない」が46%だった。この結果を見ても、「1局2波」が差し迫った状況にあるとは感じていない。
○スポーツ中継の在り方
◆記者:スポーツ庁と総務省は5月に、スポーツ中継の在り方について議論する有識者会議の初会合を開いた。「ユニバーサルアクセス(UA)制度」もテーマとして秋にも論点整理をする予定だが、改めてUA制度を導入することについて、民放連の考えを聞かせてほしい。 また、前回の会見では総務省に対してUA制度の導入を要望する考えはないかとの質問に、「その段階になく、各局のコンセンサスを得ることが大事。まずは制度に関する勉強を始めてから」との回答があったが、前回の会見からの進捗などがあれば教えてほしい。
◆早河会長:「スポーツを観る機会の確保及びスポーツ放映に関する検討会」はUA制度の導入を前提にした会議ではないと理解している。先月の初回会合では日本オリンピック委員会や日本サッカー協会などとの意見交換を行い、第2回会合には民放連とNHKが出席した。現在、視聴者の関心が極めて高い国際的なスポーツイベントは、個社あるいは複数社で対応し、オリンピックはジャパンコンソーシアム(JC)の形態で放送されている。オリンピックは2032年までの4大会分のメディア権をJCで取得している。第2回会合で民放連は、視聴者が無料で視聴できる機会が実質的に確保されているとの趣旨で、国際的なスポーツ大会の放送実績を紹介した。放映権の獲得は最終的には放送事業者の判断によるべきであり、民放事業者としては適正な収支の確保を目指しつつ、視聴者の期待に最大限応えたい旨も表明した。
「国民的スポーツイベント」を誰もが視聴できる環境を整えるのは大事だが、「『何が』国民的なのか」「それを『誰が』決めるのか」は大きな論点だ。
このほか、諸外国のUA制度の現状に関する報告と意見交換も行われたが、一方で、UA制度の導入が必ずしも議論の目的ではないとの説明もあった。日本の放送制度とUA権の相性は必ずしも良くないとコメントした有識者もいたようだ。制度の創設ありきではなく、関係者が知恵を出し合って、誰もが視聴できるための手立てを考えることが求められているのではないか。
○ジェンダー平等推進に関する提言
◆記者:提言では現状に対する強い危機感が示されているが、今後、会員社には何を期待するか。
◆早河会長:「ジェンダー平等推進プロジェクト」座長の檜原副会長(=ニッポン放送社長)を中心に会合を重ね、有識者の意見などを踏まえて提言を取りまとめた。プロジェクトの真摯な姿勢と努力に敬意を表したい。「ジェンダー平等」を経営課題として捉え、真剣に取り組まなければ意味がない。檜原副会長は、さきほど開催した会員社の代表者が集まる「会員協議会」でもその点を強調して説明していた。民放連としても業界全体の男女の不平等の解消に取り組んでいきたい。本プロジェクトは、昨年5月の理事会で決定した「民放連・緊急人権アクション」の一環として、「人権尊重・コンプライアンス等特別委員会」の下部組織として設置した。フジテレビ事案の背景には、民放業界におけるジェンダーバイアスが背景にあるとの指摘があり、これを契機に男性優位の構造を改革するための提言を公表した。プロジェクトの取り組みを高く評価している。
◆記者:会員社がどのような方向に向かうことを期待しているのか。
◆早河会長:一朝一夕で達成するのは難しい。提言が強調しているのは、経営が先頭に立って取り組むことの重要性だ。ここからがスタートだと思う。
◆記者:民放連に対する提言も含まれているが、民放連が会員各社の旗振り役となる決意表明と捉えてよいか。
◆早河会長:そのとおりだ。提言の公表はあくまでスタートで、会員社における番組制作や営業活動の現場でジェンダー平等を達成していくためには、個社の努力、特に経営努力が必要だ。この点を民放連として促していきたい。
◆記者:提言を踏まえ、業界横断的な調査を行う考えはあるか。
◆早河会長:まずは提言の内容を会員社が実践することが大事だ。ハラスメントに関しては「ジェンダー平等推進プロジェクト」とは別に対応を進めてきた。この1年間で人権尊重、コンプライアンス徹底、ガバナンス強化にさまざまな形で取り組んできた。
◆記者:提言の5ページに「会員社が本提言と照らして、どのようにジェンダー平等推進に取り組んでいるかなど、各社の実情を把握するための調査を実施してはどうか」とあるが、調査は実施するのか。
◆早河会長:提言に沿って具体化していくが、内容は多岐にわたる。ひとつずつクリアしていく。
◆記者:民放連への提言の中で、特に重要と思う項目はどれか。
◆早河会長:自然にジェンダー平等につながっていくような雰囲気作りが重要だと思う。
○Netflixに対するNHKドラマの提供
◆記者:NHKが過去に制作したドラマをNetflixに提供することについて、受け止めを聞かせてほしい。
◆早河会長:NHKの名作ドラマを国際的に露出させたいのだろう。受信料で制作したコンテンツを海外の配信事業者に販売することの是非はNHKに尋ねてほしい。民放では同様の事業をすでに行っており、「NHKだけはダメだ」とは言えない気がする。受信料で制作したコンテンツであることを踏まえれば抑制的であるべきと思う一方で、過去に「おしん」が世界70か国で放送されたことなどを踏まえれば、一定程度は許容できるのではないかとも思う。
○放送事業者とアクティビスト
◆記者:いわゆる“アクティビスト”とされる投資家がテレビ朝日ホールディングスの株を取得していることが分かったが、この動きに関する受け止めを教えてほしい。こうしたアクティビストの動きがある中で、放送業界において自主自律を確保する観点から、どのようなルールの在り方が望ましいと考えているか。
◆早河会長: “アクティビスト”をめぐる個社の問題に関しては、当事者間でないと分からない事情もあるので、民放連会長としてコメントすることは控える。
○サッカーW杯への期待と放送の役割
◆記者: サッカーW杯が開幕した。放送することの意義や見どころを教えてほしい。
◆早河会長: 地球規模の国際的スポーツ大会であり、日本代表が目標に掲げる「優勝」の可能性もあると期待している。UA権に絡めて言えば、国民の期待に応えるためにNHKと民放2社が放送権を取得したということだと思う。
○総務省「放送政策委員会」の設置
◆記者:総務省が設置した「放送政策委員会」は幅広い議題を掲げているが、民放連の受け止めを教えてほしい。
◆堀木専務理事:これまで情報流通行政局長の私的諮問機関との位置づけで「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」などが開催されてきたが、「放送政策委員会」は「情報通信審議会」に総務大臣が諮問して設置された組織だ。“情報空間の多様化に対応した”今後の放送事業の在り方について諮問されたのが目新しい。情報空間全体の議論を入り口とすることは良いことだと思う。
○「あのちゃんねる」の終了
◆記者:テレビ朝日の「あのちゃんねる」が終了した一件を踏まえ、民放連として制作現場に対するガイドラインを作成するなどの対応は考えているか。
◆早河会長:すでに当該社において対応済みと理解している。
○プロレスを放送することの意義
◆記者:地上波でのプロレス放送の動きが広まっているが、どのように捉えているか。
◆早河会長:テレビ黎明期から現在まで人気があり、息の長いコンテンツだと感じる。IPの時代において、国際的に人気なコンテンツでもある。
(了)